更新日:2023/05/19
ファイブフォース分析(5F分析)とは?戦略構築・活用方法をご紹介!
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
今回は、マーケティング手法の一つである、業界分析ツール「ファイブフォース分析」についてお話ししていきます。
企業のさらなる成長や、新規事業立ち上げのために、フレームワークを活用し抵抗とお考えの方、マーケティングを学ぼうとお考えの方へ向けた記事となります。
ファイブフォース分析のロジック、メカニズムを解説し、より理解が深まるための情報を紹介しますので、是非参考にしていただければ幸いです。
この記事の目次はこちら
ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析とは、業界分析を行うフレームワークです。
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 競合他社(同業者間)との敵対
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
上記5つに分類し、競合要因を分析することで、競争に優位性を決める構造の特徴を明らかにします。
このファイブフォース分析は、史上最年少でバーバード・ビジネススクールの教授となったマイケル・E・ポーター教授によって提唱された力関係を表している業界の構造を把握する為のフレームワークです。
ファイブフォース分析の力関係
ファイブフォース分析の力関係は、「弱ければ弱いほど、業秋の収益性は高く、強ければ強いほど収益性が低い」となっています。
これを行う一番の理由は…
「自社が扱うorこれから参入する業界の現状を知る」ために活用します。
業界を明確に、収益を上げるために現状を知ることで、自社が生き残るために必要な対処法や戦略、参入するべきかなどが見えてきます。
ファイブフォース分析はマーケティングを行う際のプロセスの中では「環境分析」に位置しています。
ファイブフォース分析の重要性
業界の競争状態は、企業の戦略に大きな影響を与えます。
様々な業界がある中、最も同業種の競争についての把握はマーケティングを行う上で、必要不可欠です。
ただ、これは同業間だけでなく、その業界に少しでも近しい企業も含まれます。
ひと昔前 ↓
電話=携帯電話
ゲーム=ゲーム機
音楽=オーディオプレーヤー
映画=ビデオorDVD
現在 ↓
スマホ=電話・ゲーム・音楽・映画
このように、時代の流れによって前までは同業では無かった異業種まで、収益に影響する可能性が大きく出てきているのです。
そのため、「市場の動きを知り、自社に有利になるように競争要因を把握できる」ファイブフォース分析は非常に重要なのです。
要因を分析し、業界の収益性の構造が分かるようになれば、経営戦略時に大きく役立るので、ファイブフォース分析をマスターしましょう。
ファイブフォース分析の5つの要因
では、ファイブフォース分析の5つの要因について説明します。
1, 新規参入の脅威
新規参入の脅威は、「競合企業の増加を招く可能性」「シェア率の分散&減少」などがあるため、業界内の競合に影響を与えます。
特に参入障壁の低い業界は、大きな新規参入の脅威となりうる可能性があるので、障壁が低い業界であれば、新規参入企業に高頻度で調査分析しましょう。
- ブランド力&知名度
- コスト
- 流通チャンネル
etc…
2, 代替品の脅威
代替品の脅威とは、自社のサービス・商品自体は異なるものでも、提供価値において同等と言えるサービス・商品などを指します。
これは、自社製品と同等または低価格&高品質の優れたニーズを満たすサービスや商品が現れた場合、脅威が強くなります。
- 家庭用ゲーム機の代替品→スマートフォンやタブレット
- ハンバーガーチェーンの代替品→牛丼チェーン・コンビニエンスストア
3, 競合他社(同業者間)との敵対
競合他社(同業者間)との敵対とは、直接的に業界内で競合となるライバル企業を指します。
業界内の価格競争などが激化すれば、自社の利益が減る可能性が出てきます。
競合他社がいないことはほとんどありませんが、業種によっては敵対関係が激しくなる可能性もあるので、新規事業立ち上げの際は、要チェックです。
- 競合が多く存在している業界
- コストの高い業界
- 差別化しにくい業界
- 成長するスピードがゆっくりな業界
etc…
4, 買い手の交渉力
買い手の交渉力とは、自社のサービスや商品を買ってくれる、お客様(顧客)を指します。
買い手の力が強ければ強いほど、低価な価格交渉を要求され、収益が減ってしまいます。
また、スイッチングコストが安い場合も、買い手の交渉力が強くなります。
力の強い購買力のあるプレーヤーに販売する際は、利益率が圧迫される可能性があるので注意が必要です。
- 現在のスイッチングコストを確認
- 価格設定の確認
- 価格交渉対策の確認
etc…
5, 売り手の交渉力
売り手の交渉力とは、必要なサービスや部品、材料などを供給してくれる供給事業者のことを指します。
売り手の交渉力が強いと、仕入れコストが高くなり、自社の収益性に悪影響を及ぼす要因となります。
また、売り手の交渉力の強弱は、野菜や畜産物などは、天候で影響を受けやすい業界です。
他に原材料など、売り手の仕入れ値の設定によって企業の収益性が低くなることもあります。
- 市場の経済規模の変化のcheck
- 供給事業者の増減check
- パワーバランスのcheck
etc…
ファイブフォース分析の効果
ファイブフォース分析の効果は、5つの脅威を把握することで、自社を現状の競争環境が明確になります。
そして、自社の課題と強みなどを再認識することに繋がります。
ここから、脅威による収益性の減少に向けた防衛案や対策を講じることで、競争の優位性を気づくことができます。
- 課題・強みの把握&再認識
- 収益性の減少を防ぐ防衛案の考案
- 競争優位性が築ける
ファイブフォース分析の視点
ここまで、ファイブフォース分析の5つの要因と効果についてお話してきました。
では、次に、気を付けるべき分析の方法や視点についてお話ししていきます。
新規参入の脅威の分析
新規参入の脅威について分析する際に重要なのは、新規参入業者にどのくらい取り分を奪われる可能性があるかを把握することです。
必ずしも自分の業界だけに利益が分配されるわけでないことを理解しておきましょう。
業界外からの新規参入企業が多い場合、全体の業界利益が多くても、業界外の参入企業に奪われてしまう可能性があります。
・販売の容易さ
・技術難易度の低さ
に注目しましょう。
・販売の容易さ
販売しやすい業界は、そのあとも多くの企業が参入してくる可能性があります。
どの企業も商品を簡単に販売できる業界であれば、「ECサイト」などのネット通販などがあげられます。
・技術難易度の低さ
技術難易度が低い企業も同じく、さらなる新規参入を招く可能性があります。
技術の難易度が低すぎると、どの企業も似たような商品を簡単に作れると言う事なので容易に新規参入できるということになります。
代替品の脅威の分析
代替品の脅威を分析るつにあたって、重要なのは、利益の取り分をどの程度奪われそうなのかを把握することです。
自社の製品より優れた代替品があれば、その代替品を提供している企業に奪われてしまう可能性があります。
・代替品のコスト
・代替品の数
に注目しましょう。
・代替品のコスト
もし、新規参入しようとしている業界の代替品のコストが低い場合、利益は少ない可能性があります。
よりコストが低く、代替品になるものがある業界の場合は、利益を上げるために差別がが必要になるので、注意しましょう。
・代替品の数
こちらも、代替品の数が多ければ多いほど、利益が少なくなる可能性があります。
代替品の数が多いということは、買う人にとっては選択肢が増えるため、一社当たりの取り分が小さくなるのです。
競合他社(同業者間)との敵対の分析
競合他社との敵対を分析する場合、業界内の競争によってどのくらいの利益取り分があるのかを把握しましょう。
競合他社との競争で、どのくらいの利益の取り分があり、どのくらい減る可能性があるのかは、業界内の競争の増減によって変わってきます。
・撃退障壁の高さ
・直接の競合企業の多さ
に注目しましょう。
・撤退障壁の高さ
撤退障壁が高い業界は、利益の取り分は少なくなりやすいです。
最初に巨額の投資を必要とする業界や公共インフラが高い、社会的責任が求められる業界などは撤退障壁が高いと言えます。
この場合、どんなに赤字であろうが、撤退できずに競争に参加せざる負えず、利益の取り分は減りやすい傾向にあります。
・直接の競合企業の多さ
直接の競合企業の多さは、多ければ多いほど競争が激しくなるため自社の取り分は減りやすくなります。
競合企業が多いということは、選択肢が限られます。
そのため、一社当たりの取り分が小さくなるのです。
買い手の交渉力の分析
買い手の交渉力を分析する際に重要な視点についてです。
ここで、一番重要なのが、売り上げをどうすればあげられるのかです。
売り上げは販売単価と販売数量で決まるため、これから参入する業界なのであれば、どの程度販売単価や販売数が落ちるのかによって力関係が異なってきます。
・差別化しにくくないか
・買い手の寡占度合はどうか
に注目して行きましょう。
・差別化しにくくないか
差別化しにくい場合、販売単価が下落する可能性があります。
買い手からすれば、差別化してない物は「どれでも同じ」ため、購買の決定が価格だけになってしまうからです。
・買い手の寡占度合はどうか
これもまた、販売単価が下落する可能性があります。
寡占状態が進むと、売り上げの大半が同じ買い手しかいなくなるので、1つが値引きや打ち切りになってしまうと
売り手の交渉力の分析
売り手の交渉力を分析する際に重要な視点についてです。
ココで重要なのは、仕入れコストを下げられる業界かどうかです。
参入しようとしている業界はどの程度仕入れコストがかかり、どのような力関係なのかを意識しましょう。
例
・仕入れ品の差別化
・仕入れ品の価格相場
に注目しましょう。
・仕入れ品の差別化
差別化され独自性の強い仕入れ品は、仕入れコストも高くなります。
比較できるくらいの代わりの物がないと、供給事業者に従わなければならなくなります。
そのため仕入れコストが高くなってしまうのです。
・仕入れ品の価格相場
仕入れ品の価格相場がブラックボックスになっている場合、仕入れコストは高くなります。
ブラックボックスになっていると、商品比較がしにくくなるので、どうしても高値で取引をしてしまいやすくなるのです。
まとめ
ここまで、ファイブフォース分析についてお話ししてきました。
ココで、大事なことは、脅威があることを認め、どのような対策が練れるか分析していくことです。
分析を行い、市場の動きや競合、買い手、売り手、代替品の情報を十分に得ることで、どんなビジネスチャンスがあるのかを見つけ出すことが重要となります。
是非ファイブフォース分析で、自社がどのように動き、何をチャンスとするかを、導き出してください。