マーケティングフレームワーク紹介 – 種類の一覧と活用方法
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
マーケティングにはフレームワークがあり、上手く活用することで仕事を効率化できます。
今回はそんな便利なマーケティングフレームワークを徹底解剖!
基本の説明はもちろん、「どんな種類があるのか」、「上手な活用方法」などしっかりと説明していきます。
この記事の目次はこちら
フレームワークとは?
フレームワークは「考えるための枠組み」の事です。
ビジネスにおけるフレームワークは
「経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組み※」の事です。
(※引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
「この枠組みを埋めていけば、自然に問題解決の方法が浮かび上がってきます!」という、とても便利な枠組みになっています。
例えば、SFAジャーナルで解説している用語の中に、STP分析がありますね。
STP分析は、「セグメント」「ターゲティング」「ポジショニング」という3つの視点からマーケティングを分析するフレームワークです。
3つの項目を埋めていけば、ターゲットユーザーを明確にした上で自社の立ち位置を確立する、「差別化」を行うことができます。
このように、市場分析、企画立案、戦略構築など、様々なマーケティング活動を助けてくれるのが「フレームワーク」なのです。
フレームワークのメリット・デメリット
フレームワークのメリットとデメリットを紹介します。
【メリット】
●分析基準が統一されていて、ブレない
先程もお伝えしたように、フレームワークは「枠組み」のことです。
枠組みに沿って調査や分析を行いますので、行う人間によって差がでにくくなります。
●調査・分析を短時間で行うことができる
効率良くマーケティング活動を実施できるフレームワークは多くの場合、優秀な先人が「こうすればうまくいく!」という勝ちパターンを考え出した枠組みです。
そのため、自分の頭で一から考える必要がなくなります。
考えることや調査することがきまっていますので、マーケティング活動がスピーディーになるのも良い点です。
このように、短時間で成功に向けて進むのであれば、効率が良くなりますね!
●マーケティング施策に「根拠」を与えられる
「誰に」「何を」「どのタイミングで」…
マーケティングにおけるポイントは多々あります。
フレームワークに基づく調査結果はこれらの決定に根拠を与えます。
頭で考えているマーケティング施策がいくら良いものでも、実施できなければ意味がありません。
フレームワークを使って頭にある施策を整理し、形に残して説明してみましょう。
施策を行う価値が伝われば実施させてくれます(社内で通しやすくなる)し、成功にも繋がりやすくなるはずです。
【デメリット】
●関係ないフレームワークを使ってしまう
デメリットというよりはよくあるミスになります。
フレームワークを新しく覚えると、全てのできごとをそのフレームワークに当てはめて考えてしまいがちです。
結果、関係ないフレームワークを使ってしまい、正しい結論を得られなくなってしまいます。
「ハンマーを持つと、全てが釘に見える」という言葉があります。
「フレームワークを覚えると、全てが問題に見えてしまう」となってしまいがちなのは、マーケティングフレームワークの注意点です。
●フレームワークを過信してしまう
「〇〇フレームワークに当てはめた結果△△の結果となりました。」
これが100%正解なわけではありません、必ず吟味するようにしましょう。
- フレームワークで何を得られるのか
- フレームワークを使うのが正しいか
についてはよく考えるようにしましょう。
では、次セクションからは目的別にいくつかのフレームワークを紹介致します。
現状を分析・把握するフレームワーク
【PEST分析】
PEST分析は、自社を取り巻く外的な環境を、政治的(Politics)、経済的(Economy)、社会的(Social)、技術的(Technology)の4つの視点で分析します。
法律や技術的な進化など、外的環境の現状を分析するのに役立ちます。
分析の際は研究結果や報道など客観的な事実に基づく分析を行ってください。
PEST分析の結果は自社で変えることができないことがほとんどですが、場合によっては強い影響となりえます。
【3C分析】
市場・顧客(Customar)、競合(Competitor)、自社(Company)を分析するフレームワークです。
内部環境(自社)と外部環境(市場・顧客、競合)の両方を分析できるフレームワークです。
PEST分析で集めた情報などを参考にしながら分析を行います。
3C分析は、後の戦略策定に役立つKSF(主要成功要因)を得るために行います。
戦略を構築するフレームワーク
【STP分析】
STP分析は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという3つを分析するフレームワークです。
セグメンテーション⇒ターゲティング⇒ポジショニングの順番に行っていき、ポジショニングまで行うことで、競合と比べて自社がとるべき立ち位置を明確にすることができます。
【SWOT分析】
SWOT分析は、Sが強み(Strength)、Wが弱み(Weakness)、Oが機会(Opportunity)、Tが脅威(Threat)を指し、それぞれの項目を掛け合わせて分析を行うフレームワークです。
S・Wは自社の内部環境を、O・Tは外部環境を示し、3C分析で埋めた内容をSWOT分析に落とし込んでいくのがよくある方法です。
4つの項目を埋めた後は、「強み×機会」や「弱み×脅威」というような掛け合わせることで、戦略を策定するためのアイディアを得ることができます。
企画の立案・精査を行うフレームワーク
【4P分析】
4P分析は、SWOT分析やSTP分析の結果をより実践的に企画にしていくためのフレームワークです。
それぞれProduct(製品・サービス)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の頭文字をとったものです。
マーケティングミックスとも呼ばれ、マーケティング施策の実行に役立つフレームワークです。
「どんな製品を」「いくらで」「どういった経路で」「どうアプローチするか」といった部分を明確に立案します。
PEST分析、STP分析といったここに至るまでの分析結果を使って、具体的な製品や、価格、流通方法、プロモーション方法に反映していくフレームワークです。
【SMART】
SMARTは、目標設定のためのフレームワークです。
それぞれ、Specific(具体的に)、Measurable(測定可能な)、Achievable(達成可能な)、Related(経営目標に関連した)、Time-bound(時間制約がある)という意味で、現実的で達成する価値のある目標を設定できます。
例えば…
- 目標:月間30件のl提案、5件の受注…〇
- 目標:利益を増やすために多数の案件を受注する…✕
SMARTを用いることで具体的で、成果が測定でき、経営目標に関連した目標を達成するための企画を策定可能になります。
曖昧な目標や、達成不可能な目標では、やる気も出ないですよね。
根拠ある目標・企画の設定はモチベーションにもプラスに働きます。
計画を実行・改善するフレームワーク
【PDCAサイクル】
計画を立案し、実行し、評価し、再実行していくフレームワークです。
Pは計画(Plan)、Dは実行(Do)、Cは評価(Check)、Aはアクション(Action)で、アクションが終わったら、また計画に戻るという螺旋の形になっています。
繰り返すことを前提としていて、改善を継続するフレームワークですね。
【OODAループ】
OODAループもPDCAと同じく、 観察 (Observe)、情勢への適応 (Orient)、意思決定 (Decide)、行動(Act)を回していくフレームワークです。
PDCAと同じく、行動が終わると観察へ戻り、改善を繰り返す仕組みになっています。
なお、読み方は「ウーダループ」になります。
PDCAとは異なり、元々は軍事用に作られたフレームワークで、「観察」や「柔軟さ」、「臨機応変さ」に重きを置いています。
そのため、予想外の事が起こったり、環境が激変している状態では、OODAループがフレームワークとして力を発揮します。
変化の激しい市場で便利なフレームワークですが、柔軟な発想や的確な観察などを求められます。
フレームワークの活用例
上でご紹介したフレームワークには、それぞれ「項目」がありました。
基本は、フレームワークの項目を考えていく形で進めれば問題ありません。
先程、SMARTというフレームワークを紹介したので、SMARTを例にとって見ましょう。
あなたが営業マンだとして「最近案件少ないぞ!何か考えて来い!」と言われた場合を想定します。
SMARTでは、下記の項目を考えれば良かったですよね。
- Specific(具体的に)
- Measurable(測定可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Related(経営目標に関連した)
- Time-bound(時間制約がある)
テーマ:ECサイトへのリピート訪問・商品購入を増やす
Specific(具体的に)
変更後:6か月後、リピート率20%、リピーターの商品購入率1%
必ず具体的な数字を設定してください。
曖昧な設定にすると、SMARTは成り立ちません。
Measurable(測定可能な)
変更後:受注数、案件数
Specificが数値でも測定できないとNGです。
判断基準が明確な指標にしましょう。
例えば「好感触なユーザーの数」のような指標だと、数値化が難しく目標設定も曖昧になります。
「問い合わせの電話数」も環境次第では微妙で、何件あったかをデータに残すことが必要になります。
Achievable(達成可能な)
変更後:データを見て判断
前提として「計測可能」で「具体的」な指標が設定されていますので、現状を確認しましょう。
改善の余地があり、手が届く範囲の目標でなければ、無意味な目標設定になります。
Related(経営目標に関連した)
例のECサイトなら、「商品の購入」は問題ありません。
変更前の「顧客満足度」も定量的に測れるのであれば、良い指標と言えます。
極端な話ですが、追う数字が「管理人が運営するラーメンブログの購読者数」だったとしたらどうでしょう。
恐らくビジネスに直結せず、恐らくプラスにはならないですよね…
Time-bound(時間制約がある)
変更後:6か月以内
設定なしだと、いつまでに達成するのか分かりませんね。
「なるはや」は一生やらないかもしれません…
「3か月後」「6か月後」など必ず期限を設定しましょう。
フレームワークの項目は全て重要なので、スルーせずしっかりと考えるようにしましょう。
上記目標設定があれば、目標達成のために「何をやるか」、企画できそうな気がしませんか?
こんな風にビジネスにマッチしたフレームワークはマーケティングをサポートしてくれます。
まとめ
ここでご紹介したのは、フレームワークの概要部分です。
それぞれのフレームワークをテーマにした本もあるくらいなので、記事を読むだけで使いこなすのは難しいと思います。
※実践してみてわかることもあるので、まずはやってみましょう!
それでも、フレームワークを意識するだけで、0から自分の頭で考えるよりは、素早く正確な思考ができるはずです。
最後に、繰り返しになりますが、フレームワークを当てはめればすべて上手くいく訳ではありません。
それぞれのフレームワークの役割を理解し、有効なフレームワークを選んで、活用するようにしましょう。
くりすこの記事の執筆者