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更新日:2022/08/16 

セグメンテーションとは?マーケティングに役立つ活用法

この記事ではマーケティング戦略を考えるために必要な、「セグメンテーション」について解説します。

「セグメンテーション」に関係する「ターゲッティング」と「ポジショニング」についても少しだけ解説するので、ぜひご覧ください。

【あわせて読みたい:ビジネスパーソンとして知っておくべきSFAとは】
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セグメンテーションとは?

セグメンテーションとは、「市場や顧客を細分化(分類)する事」です。
年齢や性別、地域、業種等様々な観点でグルーピングしていきます。

マーケティングは「STP分析」と呼ばれる下記手法の中の一つのステップに該当します。

  • セグメンテーション:顧客を細分化してグルーピング
  • ターゲティング:どのグループを狙うか決める
  • ポジショニング:サービスや商品の魅力を伝える(他社との差別化)

ご覧いただいたとおり、最初のステップですね。
2020年5月現在、マーケティングを行う上でセグメンテーションはとても重要と言われています。
なぜ「セグメンテーション」は重要なのでしょうか。

なぜセグメンテーションが必要か

セグメンテーションが必要な理由は、「マーケティングを効率良く行うため」です。
これについては2つのポイントで解説します。

市場ニーズの多様化

従来は「マスマーケティング」と呼ばれる手法が主流でした。
ターゲットを特定せず、全ての消費者に同じ方法でマーケティングを行う手法です。

しかし商品やサービスは充実化し、インターネットの発展により様々な情報へのアクセスが可能になりました。
これに伴い、消費者の価値観は変わり、市場のニーズが多様化しました。

こうなると、マスマーケティングではアプローチに費用がかかる上、対応しきれない消費者ニーズも出てしまいます。
このような経緯で、全ての消費者に向けたマーケティングは非効率になったのです。

セグメンテーションを行うことで、マーケティング対象を「全体」から「グループ」に絞り込むことができます。
アプローチ方法や販売方法をグループに合わせて設定でき、効率の良いマーケティングを可能になります。

こういった背景から、セグメンテーションの必要性が高まっています。

多様化したニーズに応える環境が整っている

インターネットの浸透は、顧客のニーズや行動データの収集・可視化を可能にしました。
また、SNSの普及も加わり、特定のターゲットにアプローチできる環境も整っています。

このようなITの発達はマーケティングの幅を広げ、セグメンテーションの必要性を後押ししました。
無駄を省き、より効率的なマーケティングを可能にしたのです。

セグメンテーション(市場細分化)の方法

では次に、「どうやってセグメンテーションを行うか」説明します。

セグメンテーションでは消費者が

  • どんな属性なのか
  • どんな価値観を持っているのか

を調査し、分類していきます。

分類の方法には、下記4つの定石があります。

  • 地理的変数
  • 人口動態変数
  • 心理的変数
  • 行動変数

ひとつずつ解説いたします。

地理的変数

ジオグラフィック変数とも呼ばれ、下記のような項目でセグメントをきります。

  • 地域
  • 気候
  • 人口
  • 文化
  • 宗教

いくつか、例を見てみましょう。
【地域】
「関東」や「関西」、「国内」や「海外」のような分け方をします。

例えば、全国展開している「うどんチェーン店」では、
関東と関西で味付けを変えていると聞いたことがあります。
これは地域でセグメントを切った後、地域ごとの文化の違いで戦略を決めた結果です。

まさに、地域という切り口を利用した戦略と言えます。

【気候】
「夏は涼しく、冬は暖かい」という瀬戸内の気候と、「夏は熱く、冬も暖かい」という沖縄の気候では、住んでいる人の暮らし方も異なりますよね。
暮らし方が違うと、欲しいサービスや商品も違ってきます。

人口動態変数

ジオグラフィック変数とも呼ぶ切り口です。
年齢・性別など、最も一般的な切り口かと思います。
一例ですが下記のような項目が該当します。

  • 年齢
  • 性別
  • 家族構成
  • 所得
  • 学歴
  • 職業

この変数では下記のようなケースが考えられます。

【年齢】
例えば美容品を取り扱うメーカーが宣伝を行う際、10代と50代とで全く同じ宣伝や広告は行わないはずです。
それぞれ最適なアプローチ方法を検討する必要があります。

【所得】
例えば、食品を取り扱うビジネスを行うとします。
この場合、「高級料理」と「ファストフード」ではターゲットが異なります。

高級料理は高所得な方を対象に「品質」を訴求、ファストフードは比較的所得の低い方を対象に「金額」を訴求、といった形で戦略も変わってくるはずです。

多くの人が金額を気にするからと言って、「激安」をうたっているような高級料理店には行きたくないですよね…

ただし、人口動態変数は注意が必要で、「同じ性別」や「同じ年齢」であっても、価値観が多様化してきています。
「人口動態で分けた集団のニーズが同じ」とは限らなくなってきている点には注意が必要です。

心理的変数

別の呼び方はサイコグラフィックになります。
下記のような感性に基づいた分類を行います。

  • パーソナリティ(性格や価値観)
  • ライフスタイル
  • 購買動機
  • 趣味嗜好

心理的変数の一例は下記になります。
【趣味趣向】

例えば、車販売のビジネスを例に上げると、
「ドイツ車」を好む層と「アメリカ車」を好む層は、趣味・趣向の違いで分類します。

心理的切り口には、
このような心理的なの違いを切り口にする分け方があります。

【パーソナリティ】

例えば、
・新商品をすぐに購入する層:新しい物好きな性格
・同じものを購入する層:保守的で新しいものに興味がない性格

といったように、パーソナリティ(性格や価値観)による違いを切り口にします。
定性的な分類になりますが、個人の消費者に大きく影響を与えます。

行動変数

消費者の実際の行動に基づいた分類方法です。
下記のような項目を指標とします。

  • 頻度
  • 経路
  • 時間
  • 曜日
  • 回数
  • 購買状況(購買経験)

ちょっとわかりにくいですね。
一例を紹介します。

【購買経験】
例えばWebで紅茶を販売するとします。
初めて購入するお客さんには…
・初心者におすすめの商品
・人気商品
・スタッフのおすすめ!
のように、商品選びを手伝う訴求を行うかと思います。

対して何度も購入しているユーザーには…
・新商品情報
・過去の購入履歴
・珍しい茶葉を入荷しました!
といった、一歩踏み入った選択肢を与えます。

予めセグメントをきって対策すれば、上記のようにそれぞれのユーザーに優れたUXを提供することが可能です。

セグメンテーションの原則、4Rとは

セグメンテーションには、注意すべきポイント「4R」が存在します。

4Rとは、下記の4つの頭文字をとったものです。

  • 市場規模(Realistic)
  • 優先順位(Rank)
  • 到達可能性(Reach)
  • 反応の測定可能性(Responce)

市場規模

どれだけいいセグメントでも、市場規模が小さければ意味がありません。
市場規模を無視したセグメンテーションを行わないように注意が必要です。

また、「今は小さくても今後成長していく可能性がある」市場を見逃していないか、「今は大きくても今後縮小していく可能性がある」市場を過大評価していないか、にも注意してください。

「現在」の一点ではなく、ある程度の「期間」から傾向を読み取ることが大切です。
読み取るためには、法の改正やトレンドといったビジネスを取り巻く環境を知ることが重要になります。

優先順位

分類したセグメントに優先順位をつけていきます。
「自社のビジネスにマッチ」していて「影響力が強い」セグメントの優先順位が高くなります。

例えば通販では「地域」の優先順位は低くなるはずです。
※ネットの利用率等で多少影響するかもしれませんが

到達可能性

「そのセグメントに製品やサービスを届ける方法があるか」ということです。
いくらいいセグメントでも、リーチできなければ無意味です。

例えば、海外や離島が該当します。
言語の壁や、郵送手段が限られるといった点から、戦略の検討が必要になります。

反応の測定可能性

マーケティング活動を行う上で、「効果が測定できるかどうか」は重要なポイントです。
マーケティングの結果を測定できないと、セグメンテーションを行った成果が分かりませんよね。

上手くいかなかった場合も、その理由を分析するために効果測定が必要です。
「効果を測定できるセグメントか?」という点も注意しましょう。

注意が必要なポイント

4Rに加えて、セグメンテーションで注意が必要なポイントを紹介します。

細かく区切りすぎない事

例えば

こんなセグメントに合致する人が何人いるでしょうか。

細かすぎるセグメントは、下記のような問題が懸念されます。
ターゲットが少なくなり、マーケティングの価値が下がる
そのセグメントにアプローチする手段が存在しない

「マーケティングを効率良く行う」ためのセグメンテーションが、こうなってしまっては逆に非効率、時間の無駄になってしまいますね…

自社の経営資源を考えながら行う

せっかくのセグメンテーションが机上の空論になってはいけません。
「自社の経営資源ではアプローチできない」セグメントはいくら魅力的でも意味がないですよね。

例えば「海外」のセグメントが考えられます。
海外へのマーケティングは費用がかかりますし、言語の壁もあります。
海外に対応している企業でないと、そもそもアプローチできませんね。

このように、自社がアプローチできないセグメントに注意してください。

セグメンテーションの例

いくつか事例を紹介します。
例えばスノーピークというキャンプ用品メーカーは、セグメントをこう切っています。

参考書籍:[改訂4版]グロービスMBAマーケティング

これらをまとめると、こんな顧客像が見えてきます。

関東に住む家族持ちの父親(30代~40代)、経営者や管理職で所得は平均よりも多い。
休日に家族でキャンプに出かけリフレッシュしつつ、子供がキャンプという非日常を楽しんでいる姿を見て満足している。

これにより、これまで1万円前後の商品しかなかったキャンプ用品業界で、「安全性など品質にこだわった18万円の高級テント」が売れるという仮説が立ち、見事高級テントをヒットさせることができました。

ターゲティングとポジショニングについて

セグメンテーションが完了したら、次はターゲティングとポジショニングを行います。
最初に説明したように、3つをまとめてSTP分析と言います。

セグメンテーションは、後のターゲティング、ポジショニングを決めるために必要で、STP分析は、後のマーケティング戦略を決めるために必要です。

最終的な目的は、戦略をたてて、それを実行する事。
そして、成果を出すことにあります!
セグメンテーションでも、その事を忘れずにゴールから逆算して進めて行きましょう!

まとめ

現在では「全消費者」を対象としたマーケティングは非効率で、セグメンテーションによる絞り込みが重要です。

  • 地理的変数
  • 人口動態変数
  • 心理的変数
  • 行動変数
  • 文化
  • 宗教

上記を参考にして、
自社の商材では、どんな切り口があるか考えましょう。

その時に、4Rや紹介した注意点を意識しながら、意味のあるセグメントに分類していきましょう。

セグメンテーションを行って、市場を分けることが出来た後は、「このセグメントを狙おう!」というターゲッティング、「そのために、こんなマーケティング戦略を打とう!」というポジショニングを設定していきましょう。
※こちらについての詳細は機会があればまた別の記事で…

STP分析を進めると、自然とマーケティング戦略が決まっていく設計になっています。
まずは始めてることが大切、どんどん進めて行きましょう!

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くりす
くりすこの記事の執筆者

SFAは活用されてこそ意味がある

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