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SFA JOURNAL by ネクストSFA/CRM

CRMの成功事例から学ぶ!顧客情報を売上と満足度につなげる使い方

株式会社ジオコード クラウド事業 責任者 庭田 友裕

【監修】株式会社ジオコード クラウド事業 責任者
庭田 友裕

CRMの成功事例を自社に活かすには、成果の数字だけでなく、その前に変えた業務を読むことが重要です。顧客情報を揃えたうえで、連絡方法や提案内容、部門間の引き継ぎを変えた点に注目しましょう。

同じツールを導入しても、顧客層や運用体制が違えば結果は変わります。本記事では公式の導入事例をもとに、情報を売上や顧客体験の改善へつなげる考え方を解説します。営業・マーケティング・サポートの責任者が、自社で試す施策を選ぶための内容です。

CRMの成功事例は課題・施策・成果を分けて読む

CRMは、顧客との関係を継続的に管理し、対応を改善する取り組みです。顧客台帳を作ることと、情報に基づいて行動を変えることを分けて考えましょう。

ツールの導入と業務の改善を区別する

成功事例には、システム導入と同時に進めた運用の変更が含まれています。入力ルール、担当分担、連絡のタイミングなども成果を読むうえで大切な要素です。

例えば、問い合わせを記録するだけでは、返信の遅れは解消しません。未対応を確認し、担当者へ引き継ぎ、完了を確かめる仕組みが必要になります。

事例を読む際は、導入前に何ができず、導入後に誰の行動が変わったかを整理しましょう。CRM、SFA、MA、サポート機能が組み合わされる場合もあります。製品の名称だけで、成果を生んだ範囲を決めつけないことが重要です。

売上・継続・満足度・業務効率の指標を混ぜない

返信率の上昇は、返答を得られた割合が高まったことを示す指標です。その数字を、そのまま成約率や売上の増加に読み替えることはできません。

売上へのつながりを見るなら、返信後の商談、契約、継続まで確認します。満足度は、回答者の評価や自由記述など、顧客からの反応で確かめる必要があるでしょう。

工数の削減も、対象業務の範囲を見てください。レポート作成の短縮と、営業活動全体の生産性向上は同じ意味ではありません。比較期間、対象者、基準となる数値が不明な場合は、分からない条件を補って推測しないことが大切です。

顧客情報を活かしたCRMの公式成功事例

ここでは、課題の異なる企業の取り組みを紹介します。公表された内容と、自社で応用する際の考え方を分けて確認しましょう。

SmartHR:重複する顧客情報を整理して営業の手間を減らす

SmartHRの事例では、営業基盤の整備と周辺アプリの連携が取り上げられています。着目したいのは、データの重複を減らし、日常の修正作業を抑えた点です。

同社はSales Cloudを軸に、名刺管理や企業情報の整備に使うアプリを連携しました。法人単位だけでは扱いにくい施設や拠点も識別し、表記揺れによる重複を整理する取り組みです。

公式事例は、重複データの統合作業が不要になった効果を報告しています。時間の節約は、1日1人あたり30分以上とされています。

※参考:Salesforce.「株式会社SmartHR」. 入手先 https://www.salesforce.com/jp/customer-stories/smarthr/ ,(最終更新日不明、情報時点:2023年7月、2026年10月15日閲覧).

対象は、重複データの統合作業に関する時間です。記事では対象人数や計測期間の詳細は示されておらず、全社員の削減時間へ拡張することはできません。会社全体の売上成長を、CRMだけの効果とみなすことも避けましょう。

自社への応用では、顧客を会社、拠点、担当者のどの単位で管理するかを揃えます。重複を見つけた後の確認と統合の担当も必要です。入力する前に同じ顧客が見つかる仕組みがあれば、後からの修正を減らせるでしょう。

ランスタッド:相手が返信しやすい連絡手段へ変える

ランスタッドの事例は、求職者との連絡方法を見直した取り組みです。CRMに情報を集めるだけでなく、相手が使いやすい接点へ変えています。

従来の電話、メール、SMSでは、登録者の求職状況を把握しにくい課題がありました。同社はHubSpotとLINEを連携し、やり取りを記録できる仕組みを整えています。

公式事例では、従来のSMSでも返信率はよくて20%程度だったと説明しています。LINE登録者の平均返信率は80%前後と報告されました。

※参考:HubSpot.「HubSpot導入事例|ランスタッド株式会社」. 入手先 https://www.hubspot.jp/case-studies/randstad ,(最終更新日不明、2026年10月15日閲覧).

比較対象は従来の連絡と、LINEに登録した求職者への連絡です。記事には同一集団での比較期間や母数が示されていません。この差を、全登録者の成約率や売上の改善率として使うことはできない点に注意してください。

事例では、利用者から連絡の負担が小さいという反応も紹介されています。ただし、顧客満足度の共通指標として比較できる数値は掲載されていません。自社では連絡の希望を確認し、返信しやすさと配信停止の状況を併せて測りましょう。

アルペンローゼ:購買後の情報提供を顧客の状態に合わせる

アルペンローゼの事例は、直営店の接客をオンラインの情報提供に活かした取り組みです。購入直後に何を伝えると役立つかを、購買データから考えています。

同社はSynergy!を導入し、ECの購買情報の分析と継続的な施策検討を行いました。初回購入者向けには、ブランドの紹介やシャンプーの使い方を伝えるメールを配信しています。

公式事例では、こうしたメールへの反応と購入の発生が報告されています。定例会で結果を確認し、次の企画へつなげた点も特徴です。詳細はシナジーマーケティングの導入事例で確認できます。

この事例の取材は2020年12月です。メール施策全体の対象人数や、導入前後の売上の比較条件は記事から確認できません。

※参考:シナジーマーケティング.「アルペンローゼ株式会社」. 入手先 https://www.synergy-marketing.co.jp/showcase/alpenrose/ ,(最終更新日不明、取材時点:2020年12月、2026年10月15日閲覧).

学べるのは、一斉に購入を促す前に、商品を使うための情報を届ける考え方です。自社でも初回購入者と継続利用者を分け、困りやすい場面を洗い出しましょう。記事中で将来の構想として語られる店舗とECの情報統合を、実施済みの成果に含めないことも大切です。

日本ピザハット:接点別の施策と効果確認を続けやすくする

日本ピザハットの事例では、メールやアプリを使った顧客との接点づくりが紹介されています。配信施策に加え、結果を確認する作業も見直している点が特徴です。

同社は、一律のメルマガから、属性や購買行動に合わせた内容へ展開しました。Marketing Cloudの関連機能を使い、アプリ通知やロイヤルティ施策にも取り組んでいます。

データ集計を自動化した結果、レポーティング作業の概ね7割を削減できたとの担当者の説明があります。これは、従来の表計算による集計を含む報告業務についての報告です。

※参考:Salesforce.「日本ピザハット株式会社」. 入手先 https://www.salesforce.com/jp/customer-stories/pizzahut/?bc=OTH ,(最終更新日不明、情報時点:2023年7月、2026年10月15日閲覧).

厳密な計測期間や、報告業務全体の削減前の時間は示されていません。また、売上の伸びには宅配需要の増加という外部要因も言及されています。購買頻度や継続利用の改善を、CRM単独の因果効果として読むべきではありません。

自社では、配信の設定だけでなく、振り返りのための集計を簡単にできるか確認しましょう。担当者が毎回データを加工する状態では、改善が続きにくいためです。作業を減らして生まれた時間を、顧客の反応を読むために使う設計が参考になります。

成功事例に共通する顧客情報の使い方

事例に共通するのは、蓄積した情報を次の対応へ結び付けていることです。収集する項目は、改善したい行動から逆算して決めましょう。

顧客を識別する単位と情報の更新元を揃える

同じ相手の情報が分かれていると、購入や問い合わせの履歴を正しく読めません。会社、店舗、個人、契約などの単位を整理することが先決です。

法人営業では、会社名が同じでも拠点や担当部署で課題が異なります。個人向けサービスでは、家族で連絡先を共有している場合もあるため注意してください。名前やメールアドレスの一致だけで自動統合する設計は慎重に扱いましょう。

住所や連絡先をどのシステムで更新するかも決めます。異なる部署がそれぞれ修正すると、正しい情報が分からなくなるためです。変更日と確認元を残し、誤登録を訂正できる担当を用意してください。

顧客の状態に応じて次の行動を決める

顧客の状態を分ける目的は、相手に合う対応を選ぶことです。分類を細かくするだけでは、顧客体験の改善にはつながりません。

例えば、初回購入後の使い方の相談と、契約更新の相談では必要な情報が違います。問い合わせが未解決の相手に追加購入の案内を続けることも避けたい対応です。購入履歴と対応状況を確認し、連絡する目的を決めましょう。

状態ごとに、担当者、連絡の目安、案内内容、次の確認事項を整理します。これが運用の判断基準です。反応がない相手への連絡を増やす前に、希望する手段や連絡頻度を見直してください。

部門をまたぐ引き継ぎで顧客の説明負担を減らす

営業とサポートが必要な情報を共有できると、対応の引き継ぎに役立ちます。重要なのは、過去の全履歴を読むことではなく、未解決の用件を見つけられることです。

記録には、相談の要点、約束した内容、対応期限、次の担当者を含めましょう。担当が変わるたびに同じ説明を求める状態を減らすための工夫です。

引き継いだつもりでも、受け手が確認していない場合があります。通知、受付、回答、完了を区別し、止まっている用件を確認してください。解決までの時間と再問い合わせを併せて見れば、処理件数だけでは見えない課題を探れます。

必要な情報に絞り、利用目的と閲覧権限を守る

顧客理解を深めることと、あらゆる個人情報を集めることは同じではありません。対応に必要な情報を決め、目的に応じた閲覧範囲を設けることが基本です。

個人情報の扱いは、個人情報保護委員会の通則ガイドラインなどを確認してください。外部サービスへの連携では、提供先、委託関係、利用条件の整理も必要になります。

特に健康や資産に関する情報を、一般的な営業メモへ無条件に集める提案は避けましょう。自由記述欄に保存しない情報を決めることも大切です。AI機能へ渡す情報や外部への出力は、通常の閲覧とは別に確認してください。

CRMの事例を自社の売上と満足度につなげる手順

事例を取り入れる際は、自社で解決したい課題を絞って試します。最初から全社の業務を変えるより、比較できる範囲で行動の変化を確かめましょう。

困っている場面から目標と対象顧客を決める

最初に決めるのは、顧客のどの場面を改善するかです。売上を増やすという大きな目標だけでは、入力する情報や担当が決まりません。

  • 問い合わせ後の連絡が遅い:担当決定から初回対応までを見直す
  • 購入後の相談が多い:利用開始時の案内と説明内容を見直す
  • 更新前に連絡できない:契約時期と次回対応の管理を見直す
  • 同じ顧客へ重複連絡する:顧客の識別と部門間の引き継ぎを見直す

対象を決めたら、現状の件数や対応の流れを記録しましょう。BtoBでは意思決定に関わる人や検討期間、BtoCでは購入頻度や接点が比較の条件になります。同業の事例でも、自社の課題が違えば優先する機能は変わります。

行動の指標と事業の成果を組み合わせる

指標は、運用が回っているかと、顧客に変化があったかを分けて置きます。入力率が高いことだけで、導入成功と判断しないようにしましょう。

  • 運用:未対応の件数、記録の更新状況、重複データの発生
  • 行動:返信、面談、問い合わせの解決、商品の利用開始
  • 事業:契約、継続、再購入、対象顧客の売上や粗利
  • 顧客体験:満足度の回答、再問い合わせ、苦情、配信停止

売上だけを追うと、値引きや配信増加で顧客の負担が増えても気付きにくくなります。成果と負担を併せて見ることが大切です。満足度調査を行う場合は、回答者数や回答率も確認し、回答した人の偏りを考慮してください。

同じ条件で試し、結果から運用を修正する

比較では、対象顧客、期間、商品、集計方法をできるだけ揃えます。季節や価格変更の影響を、CRM施策の成果と取り違えないためです。

可能なら、従来の対応を続ける群と新しい対応を行う群で比較しましょう。条件を揃えられない場合は、その違いを記録して結果を読みます。事例の数字をそのまま目標値にせず、自社の現状から改善幅を考えてください。

試行後は、効果がなかった原因も分けて確認します。案内内容が合わなかったのか、対象データが誤っていたのか、担当者が使えなかったのかで対処は異なるためです。結果を見てから対象を広げると、不要な作業の拡大を避けられるでしょう。

成功事例をまねる前に避けたい導入の失敗

CRMの導入を急ぐと、記録が増えても日常の対応が変わらない状態になりがちです。機能の選定と同時に、使う人と運用の責任を決めましょう。

入力項目を増やしすぎて現場が使わなくなる

将来使うかもしれない情報を必須にすると、入力が負担になります。まず、次の対応に使う情報と管理上必要な情報に絞ることが大切です。

会議で使わない項目や、他のシステムと重複する記録は見直してください。記録を減らせる連携機能も候補になります。ただし、自動取得した内容が正しいか確認する担当は必要です。

現場への説明では、管理者の集計が楽になるという理由だけでは不十分でしょう。過去の相談を探しやすい、引き継ぎが楽になるなど、日常の利点を示します。担当者が実際の仕事で使い、改善点を伝えられる場を用意してください。

成果が出た会社と同じ機能だけを選んでしまう

成功企業と同じ製品でも、自社の既存システムや運用人数に合うとは限りません。導入支援、データ移行、連携、保守まで含めて比較します。

デモでは、自社の問い合わせや商談を模したシナリオを使いましょう。登録から引き継ぎ、集計までを現場担当者が操作することが重要です。標準機能で対応できる範囲と、追加設定が必要な範囲も確認してください。

小規模な企業でも、対応が個人に集中しているなら改善の余地があります。反対に、利用体制がないまま多機能な環境を整えても使い切れません。企業規模より、解決する業務と運用できる範囲から判断しましょう。

CRMの成功事例を顧客への次の行動に活かそう

CRMの成功事例から学ぶべきなのは、顧客情報をもとに対応を変える仕組みです。データの重複解消、連絡手段の見直し、購入後の案内、振り返りの効率化を自社の課題に照らして選びます。

公表された成果には、対象や期間、他の施策の影響があります。条件を確認したうえで小さく試し、売上と顧客の負担の両面から改善を続けましょう。

SFAは活用されてこそ意味がある

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