更新日:2023/03/17
ベンチマークとは?業界や分野ごとに異なる言葉の意味と注意点を解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
「ベンチマーク」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。
ビジネスシーンにおいてよく使われる「ベンチマーク」という言葉ですが、実は言葉の意味が業界や分野によって異なることをご存知だったでしょうか。
こちらのコラムでは、業界や分野によって異なるベンチマークの意味をわかりやすく解説していきます。
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ベンチマークとは?
「ベンチマーク」という言葉は、もともと測量の業界において使われる単語でした。
測量を行う際に、建築物の高低差や位置の基準点や水準点を表す言葉として使われていました。
そこから派生して株式市場での指標や基準として使われるようになってきたのです。
それでは4つの業界や分野において、どんな使われ方をしているのかを解説していきます。
IT業界におけるベンチマークの意味とは?
IT業界におけるベンチマークの意味とは、指標を表します。
例えば、コンピューターのハードウェアやソフトウェアの性能や動作速度などを測定する際の指標として使用されます。
一つまたは複数のプログラムを実行して、その結果を比較します。
プログラムを実行して出た結果のことを「ベンチマークスコア」と言います。
また、実際にコンピューターの製品比較を行うことを「ベンチマークテスト」と呼びます。
ベンチマークテストにおいては同種類の製品を比較するテストになります。
具体的に数値化することで評価を行いますのでシステム全体の性能評価に繋がります。
具体例としては、オンラインゲームなどでは企業が「ベンチマークテスト版」をリリースすることもあり、動作検証を行う目的があります。
さらに、ベンチマークテスト版をリリースすることによる宣伝効果も期待できます。
自動車業界におけるベンチマークの意味とは?
自動車業界におけるベンチマークの意味とは、目標を表します。
つまり、自動車業界におけるベンチマークとはメーカーが次期車種を開発する上で「目標となる車」になります。
自動車業界のベンチマークの特徴は、頻繁に「目標となる車」が変わるということです。
例えば、新車発表会で自動車評論家が完成度の高い車という判断をすれば、その車が目標となり次期車種の開発が行われるようになります。
古い車であっても評価が高い車であれば、「目標となる車」となり続けることになります。
したがって、どのメーカーも「目標となる車」を超えるような車の開発に力を入れます。
自社の開発した車が高評価を受け、「目標となる車」になればメーカーとしての評価も上がり、車の話題性が高くなることから売上増加にも繋がります。
投資分野におけるベンチマークの意味とは?
投資の分野におけるベンチマークの意味とは、市場平均を示す指標を表します。
例えば、日本株で運用を行う投資信託などの場合、日経225種平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった指標がベンチマークにあたります。
投資分野においては、指標を上回っているや下回っているといった使い方をされることが多く、上回っている場合はよい結果となり、下回った場合にはよくない結果ということになります。
また、指標を数値で判断できるため、その後に投資を継続するのか?それとも解約するのか?などの判断材料の1つになります。
しかし、あくまで指標になりますので、目安程度で考えて市場動向や経済状況なども加味したうえで判断していくことが必要になります。
経営分野においてのベンチマークの意味とは?
経営分野におけるベンチマークの意味とは、他社の戦略や指標を表します。
競合他社と比較して、自社の経営状況を改善していく活動においてもベンチマークという言葉を使用するケースがあります。
比較する競合他社は自社と事業内容が同じ業界であったり、企業規模が近い優良企業を指す場合が一般的になります。
また、自社の利益であったり、商品やサービスを比較して自社における課題を見つけるためにベンチマーク分析ということを行います。
ベンチマーク分析では業界内での自社における現状の立ち位置を把握することができるようになり、粗利益率や営業利益率などを今後、どこまで上げていくことができるようになるのかということを把握することができます。
つまり、客観的に自社の立ち位置を把握できるようになるいうことです。
ベンチマークの注意点
ベンチマークにおいて最も注意することは、あくまでも目安であるということです。
そのため、ベンチマークしている指標や基準、目標をすべて鵜呑みにせずに常に分析を行い、どうやって改善していくのかということを真剣に考えて活用することが重要になります。
また、ベンチマークしている企業を意識しすぎて、自社の強みを消してしまうようなことだけは絶対に避けなければなりません。
昨今のビジネスシーンにおいては、画期的なアイデアや斬新な企画などを生み出すことが大切になってきておりますので、企業が成長をする際には「差別化」ということは非常に重要な要素になります。
ベンチマークしている企業を参考にして、自社にとって有益な状況を作れるようにしていくことが一番のポイントになります。
まとめ
ベンチマークという言葉が、4つのの業界や分野によって意味が変わる言葉だということをご理解いただけたと思います。
それぞれの業界や分野での使い方をしっかりとマスターして、ベンチマークという言葉を使う際には間違えないようにしていただきたいと思います。
また、競合他社や業界において、自社の立ち位置などを分析する際には有効な指標となるので、是非ベンチマーク分析を行い、現状での課題の洗い出しなどに活用してみてはいかがでしょうか。
エトゥーこの記事の執筆者