営業データ分析とは?重要性や分析手法、フレームワークを解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
営業データ分析は、企業が業績を向上させるには欠かせないプロセスです。営業活動に関するデータをさまざまな角度から分析することで、営業戦略の策定や改善に役立ちます。
「業績が伸び悩んでいるが原因がわからない」「営業戦略の策定に悩んでいる」「営業活動が成約まで至らない」などの課題を抱える企業は営業データ分析を活用して解決の糸口を探すのも方法の一つです。
本記事では、営業データ分析の概要や目的、重要性、分析手法、フレームワーク、おすすめのツールなどを解説します。強い営業組織と効果的な戦略策定に、ぜひお役立てください。
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営業データ分析とは
営業データ分析とは、社内の営業活動に関する各種データを収集・分析し可視化することです。分析するデータの種類は営業成績だけでなく、以下のように多岐にわたります。
- 営業担当者の行動データ
- 顧客の問い合わせ履歴
- 商談履歴
- 市場動向
- 競合他社の動向
データを多角的に分析し、自社の営業プロセスを客観的に評価するのが営業データ分析において大切なことです。同時に分析結果を可視化することで、営業担当者のスキルアップや営業戦略の策定にも役立てます。
営業データ分析を実施する目的
企業が営業データ分析を実施する目的は、自社の現状把握や課題点の抽出です。分析の結果、浮き彫りになった課題を解決し、営業成績を向上させていきます。
また、営業データ分析によって、顧客ニーズへの理解も深められます。顧客の行動履歴や購買履歴の傾向を把握すれば、成約率の向上も目指せるでしょう。
このように営業データには有益な情報が含まれているので、分析して日々の営業に活用することが大切です。
営業データ分析が重要視される3つの理由
企業が業績を伸ばすには、営業データ分析が必要です。ここでは、営業データ分析が求められる3つの理由について解説します。
- 顧客ニーズを把握するため
- 営業ノウハウを蓄積するため
- データに基づいた戦略を立てるため
顧客ニーズを把握するため
顧客ニーズは時代の流れや環境に応じて変化が早く複雑化しています。そのため、経験や勘だけを頼りに営業戦略を立てても、自社の商品・サービスを購入してはもらえません。
しかし、営業データ分析を実施していれば、顧客ニーズや購買意欲の変化に対して細かな対応が可能です。データを基に営業戦略を立てることで、根拠のある施策を実施できます。
このように、企業が競争で生き残るには営業データを活用して、顧客のニーズが変化した際に競合他社よりも先手を打つことが重要です。
営業ノウハウを蓄積するため
従来の営業活動では営業担当者の経験や勘に頼ることが多く、スキルやノウハウが属人化していました。
しかし、営業データ分析の実施により、優秀な成績を残す担当者の行動データから営業ノウハウが抽出できます。
失敗例や改善例もデータとして蓄積されているため、新入社員への研修や成績が伸び悩む担当者へのアドバイスにも役立つでしょう。また、分析結果から抽出した営業ノウハウをマニュアルに落とし込めば、組織全体のスキルアップにも効果が期待できます。
データに基づいた戦略を立てるため
営業データ分析を実施することで、売上や改善施策などの結果が予測しやすくなります。予測値と目標値の比較によって、より実行可能な営業戦略の立案が可能です。
従来の営業ではノウハウやスキルが属人化しがちで、課題や原因の特定が困難でした。しかし、データに基づいて検証を行えば、課題や原因を可視化しやすくなります。業績が伸びない原因を明確に特定できるので、原因に対してより効果的にアプローチできるでしょう。
営業データ分析の主な手法と流れ
営業データ分析では、以下3つの手法が活用されています。また、分析の際には動向分析、要因分析、検証分析の順に実施されるので、分析の流れを押さえておきましょう。
- 動向分析
- 要因分析
- 検証分析
1. 動向分析
動向分析は市場や顧客、競合他社の動向を把握するために、図やグラフを用いて状況を可視化する分析手法です。業界や商品、サービスなどの動きを大まかに捉えます。
例えば、自社の商品・サービスに成長が見られた際に、市場全体が成長しているのか、競合他社も自社と同様に伸びているのかなどを分析するのが特徴です。
このように、動向分析は業界や市場における自社の立ち位置を把握するために実施します。
ただし、動向分析は、業界や市場の動きを深掘りするというよりも、大まかな動きを捉える手法として扱われるのが一般的です。そのため、要因分析や検証分析と組み合わせることを前提に実施されます。
2. 要因分析
要因分析は、業界や市場の動きに影響を与える要因を特定するために行われる分析手法です。動向分析で大まかな動きを捉えた上で仮説を立てて、一つずつ要因を検証していきます。
例えば、競合他社の業績が伸びた際に、動向分析によって有名インフルエンサーとのタイアップが要因として浮上したとしましょう。この場合は、同様のマーケティング施策を実施することで、自社も業績を伸ばせる可能性があります。
ただし、業績向上の要因を推定しても、あくまでも仮説でしかありません。可能性の域は出ないので、他にも考えられる仮説を立てて検証分析を行う必要があります。
3. 検証分析
検証分析は、動向分析と要因分析によって立てた仮説を検証する分析手法です。
例えば、競合他社の業績がある期間に向上した場合を考えます。「業績が向上した要因は〇〇なのではないか」といくつか仮説を立てると、以下のような要因が考えられます。
- SNSでのキャンペーン実施
- 実際の商品を使ったワークショップの開催
- アンケート調査の実施
これらの仮説を一つひとつテストや実践を重ねることで正解の仮説を導き出します。ただ仮説を検証する際はコストを考慮して行いましょう。上記の仮説では、アンケート調査がコス面で実施しやすい検証方法なので初めに検証に着手するといった具合です。
検証分析を行う際は、柔軟な発想でアイデアを出すことも重要です。仮説と検証を繰り返して、自社の戦略改善に役立てましょう。
営業データ分析に役立つ7つのフレームワーク
営業データ分析に役立つ7つのフレームワークを紹介します。どのような営業データを活用して分析を行えばよいのかを押さえておきましょう。
- KPI分析
- 行動分析
- エリア分析
- パイプライン分析
- 商談分析
- 顧客分析
- クラスター分析
KPI分析
KPI分析は「Key Performance Indicator」の略で、営業成果を定量データを用いて測定・評価する分析手法です。
企業では平均受注単価率や成約率、クロージング件数など何らかのKPIを設定します。これらの営業目標となる数値を参照して、各KPIの進捗状況をチェックし、営業活動の課題を特定するのがKPI分析の特徴です。
特に、売上目標が未達の場合はトップセールスと比較して、どのアクションが異なるのかを分析することで問題点を洗い出します。例えば、アポイント件数は同程度なのにクロージング件数の差が開いている場合、クロージングの質に問題があると判断できます。
また、KPIを達成しているにもかかわらず成果が見られない場合は、外部要因の分析と組み合わせることも重要です。
行動分析
行動分析は、営業担当者の行動やパフォーマンスに焦点を当てて傾向や原因などを分析する手法です。個々の行動やパフォーマンスを分析することで優秀な担当のノウハウを抽出できるため、営業スキルの標準化に役立ちます。
例えば、市場は成長しているにもかかわらず成約率が伸びない場合は、営業担当者のパフォーマンスに問題があるのかもしれません。アポイントの件数が少ない、顧客とのコミュニケーションが取れていないなど、改善点を見つけられるでしょう。
また、行動分析は顧客ニーズを把握する場合にも役立ちます。購買履歴やSNSでの発言を分析することで、購買行動の予測も可能です。
エリア分析
エリア分析は、自社の商品・サービスのターゲットとなる層の居住地を分析して、地域別の戦略を実施するための手法です。エリアごとの生活様式や交通インフラ、住民の年代などを考慮して調査・分析を行います。
例えば、あるエリアのスーパーマーケットで惣菜の売れ行きが好調だとしましょう。人口統計から共働き世帯が多いと判明した場合、同様に共働き世帯が多い他のエリアでも惣菜がよく売れている可能性が浮かび上がります。
エリア分析は地域ごとの特性を把握できるので、BtoC向けの商品・サービスに有効です。地域に適した戦略の実施により、売上の最適化を狙えます。
パイプライン分析
パイプライン分析は、営業プロセスにおける顧客への接触からクロージングまでのステップをパイプラインに見立てて視覚的に表すフレームワークです。各ステップで実行される潜在顧客の発掘や見込み顧客の抽出を目的としています。
パイプライン全体の流れだけでなく、各ステップを詳しく分析するのが特徴です。ステップごとに細かく分析することによって「どこで潜在顧客が見込み顧客に変わるのか」「コンバージョンが起こりやすいステップはどこか」などが明確になります。
また、課題を特定する際にもパイプライン分析は効果的です。仮説を立てて検証を進めることで、課題を見つけやすくなります。
商談分析
商談分析は、商談の成功率を上げるために活用されるフレームワークです。商談内容や進捗状況、成功・失敗の要因を分析して効果的な戦略を立てる際に役立ちます。「安さと品質のどちらを顧客に訴求したのか」「訴求に対する顧客の反応はどうだったか」などを分析するのが特徴です。
例えば、品質重視の訴求に対する反応が薄い場合は、安さ重視で訴求するように提案資料を見直すとよいでしょう。
また、商談分析の結果を基に顧客の属性に合わせた提案資料やトークスクリプトを作成すれば、組織全体でナレッジを共有することもできます。
顧客分析
顧客分析は顧客の属性や購買履歴などの分析によって、顧客ニーズへの理解を深めるためのフレームワークです。年齢や性別、購入頻度などの情報を分析して、効率的な営業活動を目指します。
分析対象となる顧客層は多様ですが、既存顧客をメインに分析するのが一般的です。
顧客分析は営業戦略を立案する際に、自社の状況を把握する上でも役立つ手法です。顧客の属性やニーズを明らかにできるため、顧客ニーズにマッチしたマーケティング施策を実施できます。
また、分析結果から顧客のペルソナを設定することで、より効果的なアプローチも可能です。
クラスター分析
クラスター分析は、性質が異なるものが混ざりあった集団から共通項を見つけてセグメントに分類するフレームワークです。対象は顧客だけではなく、企業や商品、地域など多岐にわたります。
クラスター分析では対象を分類することで、ポジショニングの確認が可能です。
例えば、新しいスニーカーを販売する際にクラスター分析を実施したところ、「スポーツ愛好家」「ファッション重視者」のグループに分類できました。この分類によって、どちらのグループをターゲットに商品を訴求すべきかを判断しやすくなります。
営業データ分析を行う際の注意点
営業データ分析では、ただ分析を実施するだけでは求めるデータが得られません。ここでは、営業データ分析を行う際の注意点を解説します。
- データ分析を目的にしない
- 分析後は評価を行い結果を活用する
データ分析を目的にしない
営業データ分析を行う際は、まず分析を実施する目的を明確に設定してください。目的を決めずに分析を始めると、データ分析自体が目的になってしまう可能性があります。
営業データ分析は、自社の課題を解決して業績を向上させるための重要なプロセスです。課題を解決するためには必要なデータを絞って収集し、分析や評価を進めなければなりません。
また、目的が曖昧なままでは適切な分析手法を選択するのは難しくなり、求める結果が得られないケースもあるので注意しましょう。
分析後は評価を行い結果を活用する
営業データ分析では、データを分析して終わりではありません。分析後は評価を行い、得られた結果を自社の営業活動に活用することが重要です。
適切なデータを収集できているか、選択した手法で求める結果が得られたかなどを評価しましょう。
また、営業データ分析を行う目的は、自社の現状把握と課題点の抽出にあります。求める結果が得られたからとそこで満足せず、課題の改善に役立てて営業活動を最適化しましょう。
営業データ分析におすすめのツールを紹介
営業データ分析を効率良く進めるには、ツールを活用するのがおすすめです。営業データ分析に役立つツールにはさまざまな種類があるため、自社の状況に合わせて適したものを選びましょう。
- Excel
- SFA
- CRM
- DSR
Excel
専用ツールを導入せず、コストを抑えて営業データ分析を実施したい場合にはExcelの活用がおすすめです。
Excelは利用経験者が多いため扱いやすく、必要な項目をその都度自由に追加できます。すでに自社でExcelを導入している場合は、別途費用が掛かることもありません。
さらに、自社に合わせて集計ファイルを作成できるので、汎用性にも優れています。
ただし、Excelによる管理・分析が適しているのは、取り扱う商品やデータ量が少ない場合です。事業の規模が大きくなるほど、データの管理・分析が煩雑になるため、システムの導入を検討するとよいでしょう。
SFA
SFAは「Sales Force Automation」の略で、顧客情報や案件情報など営業活動に関する情報を一元管理できるシステムです。顧客情報や商談の進捗状況、営業スタッフの活動履歴などを包括的に管理できます。
営業チームの生産性を高める機能として、営業プロセスの自動化や予算実績の管理があります。蓄積された顧客データを活用すれば、個々の顧客のニーズに合わせた最適なアプローチを掛けることが可能です。
見込み客数や商談の成約率といった数値指標の把握が簡単になり、組織全体の営業力向上と顧客満足度の向上につながるでしょう。
CRM
CRMは「Customer Relationship Management」の略で、顧客に関するあらゆるデータをまとめて管理できるシステムです。顧客と信頼関係を築くことを目的としており、顧客関係管理の効率化が期待できます。
顧客の連絡先や生年月日などの個人情報から、購入履歴まで一元管理が可能です。システム内に全ての情報を集約できるため、情報が必要なときにすぐアクセスできます。
CRMの機能で顧客の誕生日にお祝いメールやクーポンを配信することも可能です。CRMを活用すれば一人ひとりの顧客に合わせたアプローチができます。
DSR
DSRは「Digital Sales Room」の略であり、BtoBにおける営業担当者と顧客間のスムーズなコミュニケーションを実現するためのツールです。営業担当者と顧客で営業コンテンツを共有するため、営業活動の効率化が期待できます。
DSRにはチャット機能や関連資料の共有機能、顧客行動の分析機能など、営業データ分析に活用できる機能も搭載されているのが特徴です。
DSRを導入すれば営業プロセスを効率化でき、早期のクロージングが期待できます。
効率的な営業データ分析には「ネクストSFA」を活用しよう
営業データ分析を実施するには、さまざまな情報やデータを収集し、多角的に分析する必要があります。限られたリソースの中で分析を実施するには、業務の効率化が欠かせません。
効率的に営業データ分析を実施するなら、株式会社ジオコードが提供する「ネクストSFA」がおすすめです。
ネクストSFAは、SFA、CRM、MAの機能を搭載しており、見込み顧客の獲得・育成から、商談管理、顧客管理までの営業活動を効率化できます。自社の体制に合わせて設定をカスタマイズできるため、営業データ分析にも役立ちます。
スピーディーな原因特定と課題解決を求める方は、お気軽にお問い合わせください。
営業データ分析を行って有益な情報を引き出そう
営業データ分析は、企業が業績向上を目指す上で重要なプロセスです。分析によって自社の状況を把握し課題点を抽出できれば、営業活動の効率化が期待できます。
また、営業ノウハウを蓄積する際にも役立つため、分析結果を活用してマニュアルに落とし込むことで営業スキルの標準化も可能です。
営業データの管理・分析を効率化し売上・利益の向上を目指すなら専用のシステムの導入も検討してみましょう。
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