更新日:2024/11/27
行動管理とは?必要性や行うメリットと課題、行動管理におすすめのツールを紹介!
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
営業の行動管理とは、架電数やアポイント数など、目標達成に必要な行動をどの程度とれているか可視化し管理する方法です。行動の可視化により不足している行動が分かり、目標を達成しやすくなります。導入ではExcelを使う方法もあるものの、SFAやCRMのような機能の揃った専用ツールを使うのがおすすめです。
本記事では、行動管理とは何か、導入の必要性やメリット、行動管理のやり方、おすすめツールを紹介します。
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行動管理とは営業の目標達成に必要な行動を管理する方法
行動管理とは、売上などの目標達成のために必要な行動(架電数、商談件数など)をとれているか管理する方法です。主に営業部門で導入されます。
成約数や売上金額などを管理する営業管理とは異なり、行動管理では、目標の達成までに行ったプロセスや行動を可視化します。例えば、見込み顧客の獲得までに架電した回数がその一例です。可視化により結果につながる行動はチーム全体で共有でき、成績の上がらない営業担当者はどこに課題があるか明確になります。
結果として、目標を達成できるだけでなく、営業担当者それぞれの問題点を発見・改善でき、チーム全体の営業成績向上にもつながります。
行動管理の主な指標
行動管理に使う主な指標は以下のとおりです。
- 架電数(コール数)
- アポイント数
- 新規営業件数
- 有効商談数
- 受注数
なお、必要な指標は業種や業界、営業方法によっても異なります。実際に行うときは、自社の営業部門に適した指標を取り入れましょう。指標の概要を解説します。
架電数(コール数)
架電数とは、アポイントを取るために営業担当者それぞれが実際に電話をかけた件数です。架電からアポイントにつながるかどうかは、営業担当者のトーク力にも左右されることから、振り返りのために会話内容を記録することもあります。
アポイント数
アポイント数とは商談の約束をした件数です。アポイントを取る方法は電話とメールがあり、それぞれテレアポ、メルアポと区別されます。
手法別(電話・メールなど)のアポイントの取りやすさを確認したいときは、以下の「アポイント率」を使うとよいでしょう。
アポイント率=確約した商談数÷手法別のアプローチ数×100
新規営業件数
新規営業件数とは、新しく営業をした顧客の数です。すでに営業をしている先に訪問した数は、既存営業件数となります。なお、新規営業件数は増やしたからといって受注や成約に直結するわけではありません。成約など、結果につながった行動の細分化と確認が大切です。
有効商談数
有効商談数とは、商談の結果、成約や受注につながる見込みがある商談件数です。
商談は経験やスキルなど、個人差が生まれやすくなります。商談時に提出した資料、顧客へのヒアリング内容、商談後のお礼メールの内容、送付のタイミング、マナーなども可視化すると、問題点や成功につながる方法を把握しやすいでしょう。
受注数
受注数とは、実際に注文や契約が成立した数です。営業時の提案がどの程度受注に結びついたか知りたいときは、以下の受注率を確認します。
受注率=受注数÷提案数×100
受注率を見れば、提案数自体が少ないのか、それとも提案はしているが方法や顧客との関係性が悪いのかなど、問題点の把握につながります。
行動管理が必要な理由
企業で営業の行動管理が必要な理由には以下が挙げられます。
- 営業部門の働きや顧客対応を把握するため
- 育成や指導を効率化するため
- 経営資源の管理の一環になるため
- 企業の売上向上につながるため
行動管理では専用のツールを使い、営業部門の具体的な働き、顧客情報、対応履歴、受注内容、案件進捗など、さまざまな管理を行います。これにより、営業担当者それぞれが自身の仕事を把握しやすいだけでなく、業務の属人化を防ぎ営業部門単位で業務を進められます。
営業時の行動の可視化は、人材育成を行う上でも重要です。営業成績の良い社員の行動が分かれば、そのデータを基に効率的な人材育成を行えます。
また、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の管理方法はさまざまあるものの、行動管理では営業担当者と顧客、売上を管理することが可能です。
以上のような行動管理は、営業成績の向上と効率化につながり、結果として企業の売上向上にも貢献します。
行動管理を行うメリット
行動管理は効率的で的確な営業活動につながるだけではありません。結果だけでなく過程も把握できるため、人事評価でも役立ちます。行動管理を行うメリットについて詳しく見ていきましょう。
営業目標の達成に向けた計画を立てて実行しやすい
進捗状況の可視化により目標達成までに必要な行動が把握できれば、アクションプランのような具体的な行動計画も立てやすくなります。また、データを基にして、成果につなげるためにはどのような行動が不足しているか判断できるため、現実に即した計画を立てられる点もメリットです。行動が細分化されれば、無理なく計画を実行しやすくなります。
顧客との信頼関係を構築しやすい
行動管理ツールでは、顧客とどのようなやりとりをしたか、いつ取引をしたか、どのような要望があったかなど、顧客対応履歴の管理が可能です。このため、新規顧客・既存顧客ともに信頼関係を構築しやすくなります。
対応履歴があれば、商談を失念する、商品の提供が遅れるなどの致命的なミスの防止に役立ちます。さらに、サービスの提供から期間が空いているならフォローアップをする、要望にあった新商品を紹介するなど、適切なアプローチもしやすくなるでしょう。
営業部門全体で情報を共有しやすい
営業担当者それぞれの行動や履歴が可視化されるため、顧客情報や営業ノウハウなど、必要な情報を共有しやすくなります。情報を共有する手段がないと、営業部門全体の成長につながらない、担当者の帰属意識が低下するなど、さまざまなデメリットが生じます。
一方で、情報共有を活発にすれば、ノウハウのさらなる高度化や、営業部門全体での疑問や問題の解決が可能です。結果として、組織の成長や業務効率化につながります。
結果だけでなく過程も評価できる
行動の可視化は、営業担当者の公平な評価にも役立ちます。営業は同じ活動量であっても、配属エリアの違いにより結果に差が生じることも少なくありません。このため、結果だけを評価すると不平等感が生まれることがあります。
行動管理のように担当者それぞれの努力を数値化し評価する仕組みを導入すれば、客観性につながり、モチベーションの維持にも役立つでしょう。
行動管理の課題
行動管理を導入すると、営業職は従来の業務に追加して営業内容の具体的な報告が必要となります。多忙な中、報告をする時間がとれず、報告自体にメリットを感じない社員もいるでしょう。また、管理職は行動管理自体が目的になってしまい、データを集めても有効に活用できない恐れもあります。それぞれの立場で抱える課題を解説します。
営業職
営業職の課題は以下の2点です。
- 報告をする時間がとれない
- 報告をするメリットを感じられない
報告をする時間がとれない
アポイントの獲得や資料作成、商談など、多忙な営業職にとって報告物の作成は優先順位が低くなりがちです。中には報告作業が滞ったり、内容を適当に登録したりする社員もいるでしょう。報告の精度が低ければ、行動管理を導入しても有効活用できません。
限られた時間の中で効率良く報告業務を済ませるためには、報告書を作成しやすいツールの導入、報告指標の厳選、報告頻度の調整などが不可欠です。
報告をするメリットを感じられない
報告作業自体にメリットを感じられない可能性もあります。不要な業務が増加したと考える社員であれば、報告がおろそかになるかもしれません。
行動管理の導入段階では、なぜ報告が必要か、報告の蓄積により営業部門にどのようなメリットが生まれるのか説明しましょう。報告内容を活用して営業成績が向上すれば、業務として誠実に取り組む社員も増えるはずです。
管理職
管理職の課題は以下の2点です。
- 行動を厳しく管理してしまう
- 集まったデータを活用できない
行動を厳しく管理してしまう
管理職は、行動管理の目的と手段の取り違えに注意が必要です。架電件数やアポイントの獲得などをノルマ化し、過度に監視すれば営業担当者のモチベーション低下につながりかねません。
行動管理の導入時は管理職に対して、上層部が活用方法や目的を説明しましょう。その上で、監視ではなく目標達成のためのサポートをする、進捗を確認した上でフィードバックを行うなど、管理職が行うべき業務の明確化が必要です。
集まったデータを活用できない
営業職が精度の高い行動報告を行っても、管理職にそれらのデータを活用する技術がなければ、行動管理を生かせません。報告情報は定期的に確認し、営業職やチームとノウハウの共有や改善案を考える時間が必要です。
例えば、KPIの設定・営業活動・ボトルネックの発見・改善策の立案と実行など、PDCAサイクルを回して成果につなげる方法もあります。
行動管理を成功に導くためのポイント
行動管理を成功させるためにも、なぜ行動管理が必要か明確にして、営業部門全体で共有しましょう。また、測定する指標は厳選し、自社に適した方法で管理することも大切です。
1. 導入目的を明確化して共有する
まずは、行動管理の導入目的を明確にして、営業部門全体で共有しましょう。導入目的があいまいなままスタートしてしまうと、どのような行動を記録すればよいか判断できず頓挫する可能性もあります。また、上層部だけで導入目的を共有しても、現場の理解を得られなければ行動管理が機能しない恐れもあります。
2. 必要な指標に絞り設定する
行動管理にはさまざまな指標があるものの、まずは重要な指標に絞って管理しましょう。報告する指標が多ければ、そのぶん現場の負担となるためです。最初から細かな内容まで報告させるのではなく、必要に応じて報告フォーマットを変更し対応するとよいでしょう。
3. 自社に適した方法で管理する
行動管理の方法は書面・Excel・専用ツールがあるため、メリット・デメリットを把握した上で自社に適した方法を導入しましょう。特に、管理職側でデータを有効活用したいなら、データ分析機能のある専用ツールがおすすめです。
行動管理の具体的な方法
行動管理の方法には、紙の日報・Excel・専用ツールの導入の3つが考えられます。それぞれの特徴と、メリット・デメリットを紹介します。
書類で管理する
書類管理では、日報や週報など必要事項を記載する紙書類を用意し、営業社員が記載し上長に提出します。なお、提出された日報は内容を確認した上で、Excelなどを用いてデータを集計する必要があります。
書類で管理する方法なら、作成したフォーマットをコピーして配付でき、簡単に行動管理を導入することが可能です。また、手描きのため、電子機器に不慣れな社員でも簡単に報告業務を行えます。デメリットは紙書類のため紛失のリスクがある点と、集計にも時間がかかる点です。
Excelで管理する
Excelで管理する方法では、フォーマットを用意し、そこに直接報告内容を入力します。紙よりもコストを削減でき、集計の手間がかからない点がメリットです。また、必要な指標を追加するときも、簡単に変更できます。
しかし、入力したデータを分析には関数やグラフ、VBAを用いることが多いため、Excelの高度な知識が必要です。これらの機能を使わない場合は集計や分析を別途行わなければならなくなるため、手間がかかってしまいます。また、データを誤って消去してしまうリスクもあります。
専用ツールを導入する
専用ツールを導入する方法では、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)などを使って行動管理をします。
専用ツールでは、案件や売上の管理機能だけでなく、データ分析機能のような、行動管理を効果的に進めるさまざまな機能を使える点がメリットです。さらに、システムによっては使いやすく見やすい画面を採用し、必要な指標も独自の仕様にカスタマイズできます。仕様のカスタマイズは簡単に行えるため、システムに不慣れな担当者や管理職でも使いやすいでしょう。
デメリットは、導入に複数のコストがかかる点です。初期費用、基本利用料、ユーザー利用料など、いくつかあるため確認しましょう。また、使える機能はベンダーにより異なります。
行動管理におすすめのツールを紹介
行動管理におすすめのツールは以下のとおりです。
- CRM(顧客管理システム)
- SFA(営業支援ツール)
- SFA/CRM
それぞれ解説します。
CRM(顧客管理システム)
CRM(顧客管理システム)とは顧客に関するデータを収集し一元管理できるシステムです。顧客の基本情報の他、コンタクト履歴や営業活動管理、請求書の作成、顧客別予算管理などがあります。なお、CRMにはBtoB向けとBtoC向けのものがあり、それぞれ管理できる内容が異なるため注意しましょう。
CRMは顧客データの活用により、信頼関係を強化し売上を向上するために用いられます。行動管理でも活用できるものの、データは顧客が軸のため、コミュニケーションの活性化を目的として導入するケースが多いです。
このため、営業部門だけでなく、マーケティング部門やコールセンター、サポート部門など、企業のさまざまな部門で導入されます。
SFA(営業支援システム)
SFA(営業支援システム)とは案件や顧客を管理し、営業活動を効率化するためのツールです。日報や週報などの報告書の作成機能や、案件・アプローチ・進捗状況の管理、データ分析などの機能を利用できます。
SFAは営業を軸に顧客情報を一元管理できるため、営業活動の効率化に特化したシステムです。CRMとは異なり、営業部門のみで導入するケースが多いです。
SFA/CRMツール
SFAとCRMは本来管理領域が異なるものの、SFA/CRMツールのように双方の機能を兼ね備えた製品もあります。SFA/CRMツールなら、CRMで蓄積したデータをSFAで効率的に管理・活用することが可能です。
なお、SFA/CRMツールの中には、MA(マーケティングオートメーション)を備えたものもあります。MAとは、新規顧客の開拓に必要な営業活動の可視化と、自動化ができるシステムです。シナリオメールの設定やメールの一括送信などの機能があります。
SFA/CRMツールとMAを組み合わせれば、見込み顧客の獲得・取引の成立・顧客との関係維持のように、営業活動の一連の流れの可視化と効率化が可能です。
行動管理はSFA/CRMツールを導入して進めよう
営業の行動管理とは、目標達成に必要な行動を可視化して管理する方法です。なお、行動管理ではデータの管理と活用を一元化して行うことが望ましいため、SFA/CRMツールのような複数の機能が統合された製品を導入するのがおすすめです。
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