更新日:2025/07/23

顧客管理とは?営業・マーケの効率を高める仕組みとツール選び

【監修】株式会社ジオコード クラウド事業 責任者
庭田 友裕
営業現場で「顧客情報が属人化していて引き継ぎがうまくいかない」「Excelでの管理に限界を感じている」といった課題はありませんか?
多くの企業では、顧客情報の一元管理ができておらず、対応漏れや機会損失につながるケースも少なくありません。
そこで本記事では、顧客管理の基本から、管理方法、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。
営業やマーケティングの効率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください!
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顧客管理とは何か?営業・マーケティングにおける基本的な考え方
「顧客管理」とは、顧客の氏名、住所、連絡先、取引履歴、購入頻度といった基本情報だけでなく、企業と顧客との“関係性”を一元的に把握・管理することを指します。
単にデータを整理するだけでなく、
「この顧客は現在どのフェーズにいるのか?」「過去にどのような接点があったのか?」といった関係の履歴を可視化することが、営業やマーケティング活動の効率化に直結します。
顧客との関係性を正しく理解できれば、ニーズに合わせた提案やタイミングを逃さないフォローが可能となり、売上アップやLTV(顧客生涯価値)の向上にもつながります。
顧客管理の目的とは?導入することで得られるメリット
顧客管理には、単なる情報整理以上の役割があります。
ここでは、企業が顧客管理を導入・強化する主な目的を3つご紹介します。
① 顧客のLTV(生涯顧客価値)を高める
LTV(Life Time Value)とは、1人(または1社)の顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益の合計を指します。
既存顧客はすでに自社を理解し、信頼している状態であるため、新規顧客よりも再購入・再契約のハードルが低い傾向にあります。
LTVを最大化するためには、顧客のニーズや行動履歴を継続的に把握し、最適なタイミングでアプローチすることが重要です。
頻度・単価の向上だけでなく、継続利用につなげるためにも、関係性を維持する仕組みとしての顧客管理が不可欠です。
② 企業ブランディングやファンづくりにつながる
顧客管理は、企業のブランド力強化やリファラル(紹介)獲得にも影響します。
たとえば、既存顧客が自社に好意を持ち、周囲に自然と推薦してくれる状態をつくれれば、新規顧客の信頼獲得がスムーズになります。
「使って良かった」「対応が丁寧だった」といったポジティブな印象が広がることで、企業イメージや製品の認知が高まり、間接的に売上にも貢献します。
仮に紹介された相手がすぐに購入に至らなかったとしても、“印象の蓄積”として将来の契機になる可能性は十分にあります。
つまり、顧客管理はファンづくりの基盤でもあるのです。
③ 業務効率化と属人化の防止につながる
顧客情報が営業担当者ごとにバラバラに管理されていると、引き継ぎ時のミスや対応漏れ、情報の重複・欠損などが発生しやすくなります。
このような状態では、対応の質が個人に依存(属人化)し、組織としての再現性が担保できません。
顧客管理をシステム化・一元化することで、誰が見てもすぐに状況を把握でき、対応のばらつきを減らせます。
業務フローの標準化・自動化にもつながるため、業務全体の効率化が期待でき、担当者の負荷軽減にも貢献します。
特に人員が限られる中小企業や、インサイドセールス・カスタマーサクセスなど複数部署で顧客を扱う企業では、“見える化”による連携強化が大きなメリットになります。
顧客管理の方法とは?代表的な5つの手段とそれぞれの特徴
顧客管理の方法にはさまざまな手段がありますが、ここでは代表的な5つの方法をご紹介します。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況や業務内容に合った方法を選ぶことが重要です。
① Excel(エクセル)での顧客管理
Excelは、初期費用がかからず操作にも慣れている方が多いため、導入のハードルが最も低い管理手段です。
テンプレートも多数出回っており、特別なツールを使わずともすぐに運用を始められるのが強みです。
ただし、データの手入力によるヒューマンエラーや、複数人での編集が難しいといった課題もあります。
情報の更新・共有の煩雑さがボトルネックとなりやすく、組織規模が大きくなるほど限界を感じやすい方法です。
② CRMツールでの顧客管理
CRM(Customer Relationship Management)ツールは、顧客情報や取引履歴だけでなく、ニーズや購買動機などの「関係性」まで管理できるのが大きな特徴です。
マーケティング活動や営業活動と連携し、LTV向上やリピート促進につなげることができます。
一方で、導入初期は情報の入力作業やデータベースの整備に時間がかかるため、スモールスタートを意識した設計がカギとなります。
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③ 会計ソフトを活用した顧客管理
会計ソフトは、売上や支払いといった「お金の動き」に関する情報を記録・管理するシステムです。
顧客別の購買履歴や金額データを活用することで、分析視点での顧客管理が可能になります。
ただし、会計ソフトはもともと財務管理に特化したツールであるため、顧客の行動データ(Web閲覧・メール開封など)を追うことは難しいという側面もあります。
顧客との接点をより深く把握したい場合は、他のツールとの併用が推奨されます。
④ SFAツールを使った営業活動ベースの顧客管理
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動を効率化するための「営業支援システム」です。
案件管理・活動履歴・予実管理・商談レポートなど、営業担当者の行動を記録し、顧客ごとに紐づけて可視化することができます。
Excelよりも入力・集計の自動化が進んでいるため、営業効率の向上と属人化の防止にも効果的です。
また、チーム内での情報共有がしやすく、マネジメントレベルでの活用にも向いています。
一方で、CRM同様、導入時は社内教育や設計に一定のリソースが必要です。
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⑤ MAツールでの自動化された顧客管理
MA(Marketing Automation)は、顧客の興味関心・行動履歴をもとにした育成活動(ナーチャリング)を自動化するツールです。
例えば、
- セミナー参加後の御礼メール送信
- Webサイト閲覧履歴のスコアリング
- ステップメールによる定期的な育成施策
といった一連のマーケティング活動を、ツール側が自動で実行・評価してくれます。
ただし、自動化の裏には「配信コンテンツの作成」や「シナリオ設定」などの準備が不可欠です。
運用設計が整ってはじめて効果を発揮するため、導入前には体制と役割の整理が求められます。
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エクセルでの顧客管理に潜む5つのリスクとは?
エクセルは最も手軽な顧客管理手段ですが、運用を誤ると大きなトラブルや非効率を生む可能性があります。
ここでは、エクセル管理に潜む代表的な5つのリスクをご紹介します。
① 複数人での同時作業ができない
エクセルファイルは誰かが編集中だと他の人が編集できないため、作業のタイミングが重なると「編集ロック」がかかります。
- 「後で入力しよう」と思って忘れてしまう
- 共有ブックで編集したらデータが重なって上書きされてしまった
といったミスが発生しやすく、チームでの運用に向いていないのが実情です。
② 誤操作での削除・上書きが発生しやすい
エクセルは操作が簡単な反面、データを誤って削除・上書きしてしまうリスクも高くなります。
- Ctrl+Zで戻れず、重要な顧客データを消してしまった
- 最新のファイルを上書きしてしまい、過去データが消えた
などのヒューマンエラーが起こると、顧客との信頼関係にも影響が及ぶ可能性があります。
③ 情報漏洩リスクが高い
CRMやSFAなどの顧客管理ツールでは、アクセス権限・操作履歴の管理がしっかりしていますが、エクセルはコピーしてメールで送るだけで、簡単に持ち出し可能です。
この手軽さが魅力でもありますが、重要情報の管理方法としては極めて脆弱です。
外部流出のリスクを常に抱えていることを忘れてはいけません。
④ ファイルの乱立と情報の分散
複数人で管理する際、ファイルをコピーして作業しようとすると、同じようなファイルが大量に生成されてしまうケースがあります。
- 「顧客管理_最新版」「顧客管理_7月修正版」など、似たファイルが乱立
- どれが最新かわからず、データがバラバラになる
この状態では、正確な顧客情報をチーム全体で共有することが困難になります。
⑤ 更新履歴の追跡ができない
エクセルにはログ機能がないため、「誰が、いつ、どこを編集したか?」を追うことができません。
そのため、
- 気づいたら顧客情報が消えていた
- 上書きされていて元データがわからない
という事態に対応できず、トラブルの原因調査や復旧が難航します。
エクセルが適しているケースもある
とはいえ、エクセルでの顧客管理がすべてNGというわけではありません。
たとえば以下のようなケースでは、むしろエクセルの方が効率的です。
- 小規模なプロジェクトや短期間のキャンペーン
- チーム人数が限られていて運用が単純な場合
ただしその際も、閲覧制限や編集ロックの設定など最低限のセキュリティ対策を忘れないようにしましょう。
エクセルは便利で導入しやすいツールですが、顧客情報という重要データを扱うには制限やリスクも多いのが実態です。
企業全体での顧客管理や、複数人での運用を考えるのであれば、CRMやSFAなどの専用ツールの導入を検討するのが現実的です。
顧客管理で失敗しないための3つの注意点
顧客管理はただ情報を入力すればいいというものではありません。
目的・ルール・運用体制が曖昧なままスタートすると、せっかく蓄積したデータも活かされずに終わってしまう可能性があります。
ここでは、正しく顧客管理を行うために押さえておきたい注意点を3つご紹介します。
① 管理の目的を明確にし、組織全体で共有する
「なぜ顧客管理を行うのか?」「集めた情報を何に活用するのか?」といった目的とゴールを最初に明確に定めましょう。
このステップが抜けていると、単なる“入力作業”が続くだけで、分析・施策に活かせないデータが蓄積されてしまいます。
また、顧客管理の定義や目的は部門や人によって認識が異なるため、チーム全体での共有が非常に重要です。
ツールの選定やルール設計も、この目的に基づいて決定する必要があります。
② 顧客データを一元化し、整理された状態で管理する
顧客情報は、総務・営業・マーケティング・経理など、複数の部署で別々に管理されていることがよくあります。
- 個人情報 → 総務部
- 契約情報 → 経理部
- 行動履歴 → マーケティング部
このようなバラバラの状態では、顧客を“全体像”として把握することが困難になります。
まずは、すべての顧客情報を1箇所に集約し、共通のフォーマットで整理することが必要です。
ツールを導入する場合は、初期段階で全データを正しくインポートし、誰がどの情報を管理・更新するのかを明確に分担しましょう。
これにより、更新漏れや情報の断絶を防ぐ運用体制が整います。
③ 更新ルールと責任者を明確にする
顧客管理ツールを導入しても、情報が更新されないまま放置されているケースは珍しくありません。
その理由は、「誰がいつ、どの情報を更新すべきか」が明確に定まっていないからです。
- 新規契約後は誰が登録するのか?
- 顧客の部署変更や担当者変更は誰が追うのか?
- 商談履歴の入力はどのタイミングか?
こうした更新ルールと責任者の割り振りを初期段階で決めておくことで、顧客データが常に最新かつ正確な状態に保たれ、ツール本来の価値が発揮されます。
顧客管理を成功させるために押さえておきたいポイント
顧客管理とは、顧客の基本情報や取引履歴だけでなく、企業と顧客の関係性を一元的に把握・活用するための取り組みです。
エクセルやCRM、SFA、MAなどさまざまな方法がありますが、目的や運用体制に合った手段を選ぶことが成果につながります。
この記事では、以下のようなポイントをご紹介しました。
- 顧客管理の目的はLTV向上やブランディング、業務効率化にもつながる
- エクセル管理には手軽さと同時に、情報漏洩や属人化といったリスクもある
- 顧客情報は一元化し、明確なルールと責任者のもとで正確に運用することが重要
顧客情報を「集めること」ではなく、「活かすこと」がゴールです。
属人化を防ぎ、社内全体で情報を共有できる顧客管理体制を整えることで、営業力・マーケティング力の強化に直結します。
自社にとって最適な管理方法を選び、顧客との関係性を深める第一歩を踏み出しましょう。
【あわせて読みたい:ビジネスパーソンとして知っておくべきSFAとは】
以下の記事では近年のBtoBビジネスに必須の営業支援ツールSFAを、顧客管理ツールのCMSとの違いも含めて紹介しています。合わせてご覧ください。