更新日:2024/07/24
「顧客管理とは?目的・適切な管理方法を紹介」
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
いかなるビジネスにおいても、顧客は必ず存在します。
顧客の数、取引内容などは各社様々ですが、顧客管理は正しく行えているでしょうか。
この記事では、効率的に顧客管理できるように、管理方法や注意点をご紹介いたします!
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以下の記事では近年のBtoBビジネスに必須の営業支援ツールSFAを、顧客管理ツールのCMSとの違いも含めて紹介しています。合わせてご覧ください。
この記事の目次はこちら
1.顧客管理とは
そもそも顧客管理とは何を管理するのでしょうか?
氏名や住所?連絡先などの個人情報?売上高、購入頻度などのデータ?
もちろんこれらのデータはビジネスにおいて必要です。
しかし、ただ単にこれらのデータを管理するだけでは十分ではありません。
必要なのは、これらに加えて顧客と企業の「関係」を管理することです。
顧客と企業が今どのような関係にあるのか?を詳細に把握することで、売り上げアップの施策を効果的に打ち出していくことができます。
2.顧客を管理する目的
顧客管理を行う目的は以下の通りです。
①顧客のLTVを向上させる
LTVとは「Life Time Value(=生涯顧客価値)」のことで、1人(1社)の顧客が、一生のうちにもたらす利益の合計金額を指します。
「既存顧客」は契約前とは違い、既に自社を認知し、信頼してくれています。
ビジネスモデルにもよりますが、新規顧客の契約を1件獲得するよりも、既存顧客とさらに1件契約を交わす方が難易度が低いことが考えられます。
LTVを上げるには、購入の頻度や単価を上げる機会を逃さずにアプローチすることがポイントになります。
良好な関係を構築し、長期的にその関係を保つためには、顧客の興味関心やニーズなどを適切に管理しておく必要がありますね。
②企業ブランディング・ファンづくりに寄与する
ブランディングと顧客管理は、一見つながりが薄いように見えますが、実は深く関係しています。
例えば商品やサービスの購入を検討しているとき、実際に使っている人から感想を聞いて参考にしたりしませんか?
そのとき、良くない評判を聞いてしまったら、購入意欲は下がりますよね。
反対に、興味のなかったものでも人から勧められると急に欲しくなったりします。
これはビジネスでも同じで、お客さんが別の人に宣伝してくれたら、成約のチャンスが増えるんです。
顧客との関係が良好なら、他の人にお勧めしてもらえる可能性があがりますよね!
仮に紹介された人が購入しなかったとしても、良い印象を与えることが可能です。
こういった理由で、顧客管理にはブランディングへのプラスの影響が考えられるんです。
3.主な顧客管理方法の紹介
①エクセル
エクセル管理は基本的に導入費用が掛かりませんし、管理者が新しいツールの使い方を覚える必要がないため、導入の障壁が低いです。
テンプレートもネット上に数多く出回っているので、顧客管理は全てエクセルで行っているという企業も多いのではないでしょうか。
最も一般的な管理方法とも言えますが、安易にエクセルのみに頼るのは実は考えものです。
エクセル管理の注意点については、後ほど詳しく解説していきます。
②CRMツール
CRMとは「Customer Relationship Management(=顧客関係管理)」の略で、CRMツールはまさに顧客管理に特化したツールです。
個人情報や取引内容などの顧客管理の基本情報だけではなく、ニーズや購買目的などといった、LTVを向上させるために必要な情報も管理することができます。
それらをマーケティングや営業活動に活かせることがCRMの強みです。
一方で、
- 情報を入力してデータベースを整えるまでに時間がかかる
- 使い方を1から覚える必要がある
等の懸念があります。
できることがたくさんあると、覚えたり用意したりが大変な訳ですね…
【あわせて読みたい:CRMツール比較】
以下の記事では企業で導入されているCRMツール製品の特長について、わかりやすくご紹介しています。「どんなCRMがあるか知りたい!」という方はぜひご覧ください。
③会計ソフト
会計ソフトは、収入や支出といった「お金の動き」を管理するシステムで、管理会計・財務会計のどちらにも役立ちます。
購買履歴や金額等、お金に関するデータを基にした戦略立案に便利な点で、顧客管理にも役立ちます。
ただし、もともと会計業務効率化のためのシステムであるため、顧客の行動(Webサイト訪問・メルマガ開封・オフラインイベント参加など)については詳細に把握することができません。
活用できるデータには限界がありますので、他の手段と併用して顧客管理を行うようにしてください。
④SFAツール
SFAとは「Sales Force Automation」の略で、日本では「営業支援システム」と解釈されています。
顧客・案件・営業マンの営業活動(例:架電や商談の数)などの予実管理が行えるほか、上長報告用のレポート、見込み顧客へのメール配信など、(使用するツールによりますが)様々な機能がついています。
また、SFAツールは顧客管理(企業、担当者、案件など)が自動で紐づけられます。
エクセルよりも手を動かす工数が少なくなる場合が多く、効率化を期待できます。
他に、行動管理機能による重複作業の削減や、コミュニケーション機能によるメンバー間の情報交換など、営業活動がスムーズになる点も大きなメリットです。
CRMと同様、導入時には使い方を覚える必要がありますので、運用開始までには少し時間が必要です。
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以下の記事では企業で導入されているSFAツール30製品の特長について、わかりやすくご紹介しています。「どんなSFAがあるか知りたい!」という方はぜひご覧ください。
⑤MAツール
MAとは「Marketing Automation」の略で、企業のマーケティング活動を自動化し、効果測定まで行えるツールのことです。
セミナー参加者への御礼メール、Webサイト訪問履歴の可視化とスコアリング、定期的な顧客育成メールの配信などを行えます。
MAツールでの顧客管理は、「顧客の育成」に秀でています。
行動履歴や興味関心度合い、顧客の属性等、条件に併せて自動的に顧客育成を行うことがます。
契約のリピートなどに貢献してくれる、強い味方になりそうですね。
ただし、自動化のためにはコンテンツの作成や細かなシナリオ設定等が必要となりますので、運用開始までの工数は他のツールに比べるとかかってしまいます。
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以下の記事では企業で導入されているMAツール製品の特長について、わかりやすくご紹介しています。ぜひご覧ください。
4.エクセル管理のデメリット
先ほど、エクセルでの管理は最も手軽ですが、要注意ですとお伝えしました。
もちろん、エクセルでの管理が100%悪いということはありません。
しかし、エクセルには以下のようなデメリットを生む可能性があることは把握しておいてください。
①複数人の同時作業に向いていない
エクセルのファイルは、誰か1人が作業をしている場合、他の人には「編集中のためロックされています」と表示され、編集できない状態となります。
- 誰かが終わってから入力しようとして忘れる
- 共有ブック(同時編集機能)を使用したら編集箇所が被った
等が起きてしまう可能性があります。
※共有ブックはリアルタイムで保存されないため、上記のような問題が起こりえます
②誤操作による削除や上書きが簡単にできてしまう
エクセルは、編集が容易にでき非常に便利なツールですが、一方で
- 誤操作で誤ってデータを削除してしまう
- ファイルを上書きで消されてしまった
など問題が起きてしまいやすいです。
顧客データは紛失してはいけないもので、容易に削除できてしまう方法のみで管理するのはリスクとなります。
③情報の持ち出しがしやすく、漏洩の危険がある
CRMやSFAなどのツールでは、顧客情報を持ち出せる状態にするのにそれなりの工数がかかります。
しかしエクセルの場合は、ファイルをコピーして送るだけです。
他の方法に比べると情報漏洩の危険が高いと言えます。
手軽さが利点ゆえに、重要なデータを管理する際は慎重に使わなければなりません。
④似たようなファイルの乱立
同時編集が難しいため、他の誰かが作業しているときは、終わるのを待つか、「ファイルをコピーして修正する」必要が出てきます。
コピーした場合、あとで統合しようとして忘れたり、タイトルに日付が入ったファイルが大量に生成されたり、といったことが起こります。
※筆者にも上記のような経験があります。
このような行動をすると、最新のデータが分からなくなったり、残すべき情報が各ファイルにバラバラに保存されたりします。
⑤更新履歴を追いづらい
いつ・誰が・どのファイルの・どこを更新したか。
エクセルで全て把握することは困難です。
気が付かない間に必要なデータが削除されていて、原因もわからない…
みたいなことが起きかねません。
このように、エクセルでの管理には課題があります。
もちろん、エクセル管理が適している場合もあります。
例えば「一過性の小規模プロジェクトにおける顧客管理」であれば、わざわざツールを導入するよりもエクセルで管理したほうが良い可能性もありますよね。
※もちろん閲覧にロックをかける等セキュリティには気をつけてくださいね!
リスクなく効率的に管理できればOKなので、デメリットを認識したうえ、ケースバイケースで活用してみてください。
5.正しい顧客管理のための注意点
①目的を明確にし、組織全体で共有する
なぜ顧客管理を行うのか?データをどのように使うのか?
これらを明確化し、組織全体に共有しましょう。
場合によっては、「顧客管理とは何か」から説明する必要があるかもしれません。
理解しないまま管理を始めてしまうと、ただデータを入力するだけになり、その後の施策に活用しづらい形で情報を蓄積させてしまう可能性があります。
目的やルールが明確であれば、ツールの導入の判断になりますし、顧客情報管理のルールを決定する指標にもなります。
②顧客データを1箇所に集約し、整理する
顧客データは個人情報、契約情報、行動履歴など様々で、管理が複数部門に渡っている場合があります。
(例:個人情報→総務部、契約情報→経理部、行動履歴→マーケティング部 など)
まずは顧客に関するデータをすべて1箇所に集め、1つのフォーマットにまとめましょう。ツールを導入する場合は、抜け漏れなく全てのデータをツールにインポートしてください。
また、ツール導入後は各データの管理をどの部門が行うのか明確に決めてください。
複数部門が携わることで、各データの管理者が曖昧になることを避けるためです。
6.まとめ
顧客管理は、ただ顧客の情報を整理しておけば良いというものではありません。
大切なのは、必要な情報を必要な分だけすぐに取り出せる状態にし、「施策に活用できるように」しておくことです。
ビジネスモデル等によって優先して管理すべき情報は異なりますので、自社の状況に最も合う方法で顧客管理を行ってみてください。
【あわせて読みたい:ビジネスパーソンとして知っておくべきSFAとは】
以下の記事では近年のBtoBビジネスに必須の営業支援ツールSFAを、顧客管理ツールのCMSとの違いも含めて紹介しています。合わせてご覧ください。