更新日:2025/06/18

受注確度とは?管理するメリットや方法、確度を高めるポイント、おすすめの管理ツールを解説

【監修】株式会社ジオコード クラウド事業 責任者
庭田 友裕
受注確度とは、顧客が実際に商品やサービスを発注してくれる可能性を表す指標のことです。
営業活動において、全ての商談が成約に結びつくわけではありません。営業担当者は限られたリソースを効果的に活用し、受注確度の高い顧客を見極める必要があります。受注確度を適切に判断するには顧客情報の分析が不可欠ですが、複数の部署や担当者によって情報がばらばらに管理されることも多く、顧客情報全体を把握するのは容易ではありません。
受注確度を適切に判断し、営業活動を効率化するには、顧客情報を一元管理できる専用ツールの導入が有効です。
本記事では、受注確度を管理するメリットや判断する際のポイント、受注確度を管理するためのおすすめのツールなどを解説します。営業活動の成果向上・効率化を目指す営業担当者さまは、ぜひ本記事を参考にしてください。

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受注確度とは?“ヨミ”との違いも
営業活動において「この案件、どれくらいの確率で決まりそうか?」という感覚を持つことは多いのではないでしょうか。
この“感覚”を定量的に整理したものが「受注確度」です。
受注確度とは、ある商談や案件が実際に受注につながる可能性を示す指標のこと。営業担当者が商談の状況や顧客の反応をもとに判断し、「この顧客は確度が高い(=発注の可能性が高い)」あるいは「確度が低い(=まだ検討段階)」といったように評価されます。
ただし、受注確度は担当者の経験や主観に依存しがちなため、判断基準が曖昧なままだと本当に注力すべき案件を見逃してしまうリスクもあります。
そのため、営業チーム全体で共通の基準をもとに“確度”を明確にすることが、安定的な売上管理や成果につながる営業活動において重要になります。
ちなみに「ヨミ」という言葉も似たような場面で使われますが、ヨミは売上予測や営業マネジメント用語としての“見込み”をざっくり指すのに対し、受注確度はより具体的な指標として使われる点が異なります。
受注確度を“見える化”する4つのメリット
案件ごとの受注確度をスコアで可視化すると、“どの商談に今すぐ力を注げばいいか”がひと目でわかります。ここでは、営業現場で実感しやすい 4 つのメリットを具体的にまとめました。
1. 成約に近い顧客を瞬時に特定
確度が数値やランクで整理されていると、優先すべき顧客が自動的に並び替えられます。
- 見落としがちなホットリードを逃さない
- 温度が低い顧客はインサイドセールスやMAに回す …といった判断がすばやく行え、チーム全体の時間ロスを抑えられます。
2. 売上予測の信頼性を高める
受注確度を反映したパイプライン管理は、経営層が求める精度の高いフォーキャストを実現します。
- 月次・四半期のギャップを早期に把握できる
- 追加施策が必要な金額や案件数を逆算しやすい
数字の裏づけが取れるため、計画修正もスムーズです。
3. データに基づく営業戦略の立案
確度データを分析すると、「どの業界・商材・チャネルで勝ちやすいか」が見えてきます。
- 高確度案件が集中するセグメントには人員と予算を厚く配分
- 低確度の領域は提案内容やターゲティングを再設計
根拠のある戦略が立つことで、施策の説得力も高まります。
4. 人材と時間を最適に配分
フィールドセールス・インサイドセールス・マーケティングそれぞれが、確度に応じた最適アクションを選択できます。
- 高確度:訪問・オンライン商談など密度の濃い接触でクロージング
- 中〜低確度:ナーチャリングメールやWebセミナーで温度を引き上げる
結果として、一人あたりの生産性が上がり、リードタイムの短縮にもつながります。
受注確度を見える化するだけで、“どの顧客に・いつ・どんな手段で”アプローチするかがブレなくなります。まだスプレッドシートで管理している場合は、SFAやCRMへ段階的に移行することで、これらのメリットをさらに享受しやすくなります。

受注確度を高める3ステップ
営業活動の成果を高めるうえで、受注確度の“見える化”はとても有効です。ここでは、営業現場で実践できる3つのステップに分けて、受注確度の管理・改善方法をご紹介します。
ステップ1:BANTで確度を判定する質問リスト【例文付き】
受注確度を測るうえで、よく使われるのが「BANT」というフレームワークです。以下の4項目をヒアリングし、顧客の意思決定状況を見極めることができます。
項目 | 確認する内容 |
---|---|
Budget(予算) | 提案する製品・サービスに対して予算が確保されているか |
Authority(決裁権) | 提案相手に導入の決定権があるか |
Needs(必要性) | 顧客が課題やニーズを明確に感じているか |
Timeframe(導入時期) | 導入予定の時期が明確かどうか |
例えば「予算は来期以降で検討している」「まだ課題が明確でない」といった回答があった場合、今すぐの成約は難しい可能性があります。
ヒアリング質問テンプレート
BANTを活用する際には、聞きづらい内容を自然に引き出せる質問テンプレートがあると便利です。
以下のようなトーク例を活用すると、情報収集がスムーズに進みます。
- 「導入にあたって、ご予算はすでに組まれていますか?」
- 「今回のご相談は、最終的なご判断もご担当されるご予定でしょうか?」
- 「現時点で最もお困りの点は、どんなことですか?」
- 「導入時期について、いつ頃の運用スタートを想定されていますか?」
ステップ2:見込み顧客をランク付け&グルーピングする
BANTによって得られた情報をもとに、見込み顧客をランク分けしていきます。
一般的なランク分けの一例は以下のとおりです。
ランク | 特徴 | 受注確度の目安 |
---|---|---|
Aランク | BANT条件の3つ以上を満たしている | 90%以上 |
Bランク | 2つを満たしている | 50〜70%程度 |
Cランク | 1つ以下しか満たしていない | 30%未満 |
Aランクは短期的な受注が見込めるため、訪問や商談などを優先して行います。一方、B・Cランクは中長期的な視点で育成しながら関係性を深めることが大切です。
ステップ3:リスト化して優先順位を“見える化”する
ランク付けした情報は、営業チーム全体で共有・活用できるよう、リスト化して整理しておきます。
Excelでの管理も可能ですが、ツールを活用すると精度とセキュリティの両立が図れます。
特にSFAやCRMなどのシステムを導入すれば、以下のようなメリットがあります。
- ランクに応じたアクションの管理がしやすくなる
- 顧客情報の一元管理によって社内共有がスムーズになる
- 営業進捗をリアルタイムで確認でき、漏れや重複を防げる
受注確度の“見える化”は、単なる管理ではなく営業戦略の土台になります。優先順位の判断に迷わない体制をつくることで、営業の精度も高まり、成果につながりやすくなるでしょう。
受注確度を高めるためのポイント
受注確度を高めるためには、次の3つのポイントを押さえましょう。
- 自社と顧客の状況を分析する
- 顧客との信頼関係を構築する
- 営業プロセスの改善と効率化を図る
自社と顧客の状況を分析する
受注確度を高めるためには自社と顧客の状況を分析しましょう。自社が置かれている状況を判断する際は、市場の需要や競合を分析します。市場において自社がどのような立ち位置なのかを分析すれば、自社にどのような強みがあるのかを把握できます。
また、顧客の状況を分析する際にはどのような属性やニーズを抱えているかを、顧客へのヒアリングを通じて聞き出しましょう。顧客の状況を分析したらグループ別に細分化して、自社のターゲットとなるかを導き出せます。自社のターゲットとなりえるグループにリソースを割けるため、効果的に受注確度を高められます。
顧客との信頼関係を構築する
顧客との信頼関係を構築することも受注確度の向上に効果的です。顧客との信頼が構築されていない場合、よほど喫緊の状況でなければ発注は期待できません。そのため、受注確度の高い顧客を中心にコミュニケーションを取り、顧客の抱えている課題を聞き出して解決策を提案しましょう。
顧客との信頼関係構築にあたっては、次のようなポイントを押さえましょう。
- 接触頻度を高める
- 相互理解を深める
- ミスをしてもすぐに対処する
接触頻度を高める
顧客と信頼関係を構築するにはまず接触頻度を高めましょう。会う頻度が高い方が好感を持たれやすく、これを心理学ではザイオンス効果(単純接触効果)といいます。
ただし、むやみに顧客と接点を増やしたとしても効果的ではありません。接触したタイミングで顧客が求めていない情報を提供しても信頼関係構築にはつながらないため、接触する際は顧客にとって有益な情報を提供することが大切です。
相互理解を深める
相互理解を深めることも顧客との信頼関係構築に有効です。相互理解を深めるためにはアクティブリスニングを行ってみましょう。アクティブリスニングとは傾聴姿勢と呼ばれるコミュニケーション手法です。
相手の意見に同意する姿勢や共感していることを伝えることで相手の本音を引き出し、相互理解を深めます。
ミスをしてもすぐに対処する
顧客とのやり取りをしているとミスが発生するときもあります。このようにミスが発生した際であっても、すぐに対処することで顧客からの信頼につながります。ミスをしたときこそ迅速な対応を取ることで、さらに信頼関係が強固になる可能性もあります。
営業プロセスの改善と効率化を図る
受注確度を高めるには営業プロセスの改善と効率化を図ることも大切です。
例えば、営業チーム同士で情報をリアルタイムに管理・確認できるツールを導入する方法があります。ツールを活用すれば、顧客情報管理にかかる時間を削減でき、顧客との商談や提案資料作成など本来の営業活動に注力することが可能になります。
その結果、顧客ニーズへの理解が深まり、受注確度の向上につながるでしょう。
受注確度の管理にツールを導入するメリット
受注確度の管理にはツールを導入することで、顧客に関する情報を一元管理できます。複数の部署や担当者が関わっていると情報が別々の場所に保管されている状態になり、顧客情報の全体を把握できません。
一方、ツールを導入すれば、入力すべき情報を統一できる上に、情報共有もスムーズになります。またExcelのような表計算ソフトで情報を管理している場合、手入力によるミスが起こりがちですが、専用ツールならヒューマンエラーを軽減できます。
受注確度の管理を効率化するツール
受注確度の管理を効率化するツールは、主に次のとおりです。
- CRM(顧客関係管理)
- SFA(営業支援)
- MA(マーケティングオートメーション)
- プロジェクト管理
ここではそれぞれのツールの特徴や一般的に備わっている機能について解説します。
CRM(顧客関係管理)
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、顧客関係管理と呼ばれます。主な機能は顧客情報の収集と一元管理で、購買履歴や家族構成といった顧客データを効率的に蓄積・活用することができます。例えば、顧客の商品購入履歴から消耗品の買い替え時期を予測し、営業アプローチの適切なタイミングを見極めれば、受注確度を高めることが可能です。
CRMの主な機能の一部を紹介します。
顧客管理
顧客管理機能は顧客の基本情報に加えて、いつ商談したのか、どのような内容を商談したのかなどを記録できます。また、過去の問い合わせ内容も顧客管理機能によって確認可能です。
顧客分析
顧客分析機能は、ツールに蓄積された情報から自社に優良な顧客を抽出できます。また、設定した指標に沿って顧客をランク付けできるツールもあるため、受注確度の高さを判断可能です。
顧客サポート
顧客サポート機能は顧客からの問い合わせ内容を管理する機能です。顧客からの問い合わせ履歴や回答状況を可視化できるので、対応漏れを防止できます。製品によっては、頻繁に寄せられる質問を履歴から抽出してFAQ(よくある質問)としてまとめたり、問い合わせフォームを生成したりできるので、顧客対応の質向上に役立ちます。
SFA(営業支援)
SFAはSales Force Automationの略で、営業支援システムと呼ばれます。CRMは顧客との関係性を構築するためのツールなのに対して、SFAは営業担当者の活動や保有する顧客情報を収集・管理して、営業のプロセスを可視化したり、管理を効率化したりするためのツールです。
SFAに備わっている主な機能を紹介します。
顧客管理
SFAの顧客管理機能では担当者が受け取った名刺や顧客情報を管理できます。中には、外部システムと連携して情報を取り込むことで情報を更新できるものもあります。
案件管理
SFAの案件管理機能では営業担当者、営業の進捗状況、受注の見込みなど、詳細な項目に沿って情報を管理可能です。案件管理機能を活用することで、これまでかかっていた負担やタスクの共有漏れを防止できます。
商談管理
商談管理機能によって商談がどの程度進んでいるのかを管理できます。SFAの商談管理機能は電話やメール、チャットなどでの顧客とのやり取りを自動で取り込めるため、情報共有が漏れてしまうというリスクを回避可能です。
MA(マーケティングオートメーション)
MAはMarketing Automation(マーケティングオートメーション)の略です。MAを活用することでマーケティングに関わる業務を自動化できます。マーケティングは潜在顧客の発掘から顧客獲得、購買・成約に至るまでの活動を指します。顧客へのアプローチ方法はさまざまなので別々に管理されがちですが、MAを活用すればその活動から得た情報の一元管理が可能です。
MAに備わっている主な機能を紹介します。
リード管理
リード管理機能は見込み顧客を管理する機能です。以下のような情報を紐づけて見込み顧客を管理します。
- 氏名や属性
- 過去の取引履歴
- セミナーの参加有無
- 資料請求の有無 など
通常、上記のような情報はバラバラに管理されがちなため、受注確度を分析しようとしても情報収集に時間がかかってしまいます。MAを活用すれば見込み顧客の情報を一括管理できるため、スムーズな受注確度分析を実現可能です。
スコアリング
スコアリング機能はMAで管理している見込み顧客を数値で評価します。例えば、メールマガジンの開封率やサイトへの訪問回数などをベースに評価するため、受注確度が高い顧客であるかどうかを判断しやすくなります。
レポーティング・分析
レポーティング・分析機能は顧客の行動分析やスコアリングの結果、複数のデータなどを分析してレポートする機能です。手動でさまざまな情報を分析しようとした場合、時間がかかってしまいますが、MAのレポーティング機能を活用することでスピーディな分析が可能です。
プロジェクト管理
プロジェクトを効率的に進めるサポートとして役立つのがプロジェクト管理ツールです。受注確度の高い案件の進捗管理に適しているでしょう。
プロジェクト管理ツールの主な機能を紹介します。
進捗管理機能
プロジェクト管理ツールにはプロジェクトに関するタスクを管理する進捗管理機能が備わっています。進捗管理機能では、縦軸にタスクや担当者、期日などを、横軸に日時や進捗を記載するガントチャートを作成可能です。ガントチャートを作成することで受注確度の高い案件の進捗状況や受注予定日などを視覚的に把握できます。
チャット機能
プロジェクト管理ツールにはチャット機能が備わっているため、別のツールを立ち上げることなく、受注確度の高い案件の情報を共有しやすくなります。また、プロジェクト管理ツールによっては画像やExcelデータなどの資料をチャットに添付可能です。メールを立ち上げるよりもスムーズに資料を共有できます。
社内Wiki機能
社内Wiki機能が備わっているプロジェクト管理ツールであれば、案件についてのノウハウを蓄積可能です。受注確度に応じた営業手法をWikiに掲載することで、新人の営業担当者の教育にも役立てられます。

受注確度を管理して成約率向上を目指すなら専用ツールを活用しよう
受注確度とは顧客が実際に商品やサービスを発注してくれるかどうかを表す指標です。受注確度が高ければ発注の可能性が高く、低ければ発注の可能性が低くなります。受注確度を適切に管理し確度の高い顧客を見極めれば、効率的な営業活動の推進につながります。
受注確度を管理して成約率の向上を目指すなら、専用ツールを活用するのがおすすめです。専用ツールにはSFAやCRM、MAがあります。
株式会社ジオコードが提供する「ネクストSFA」であればSFA機能、CRM機能、MA機能が一つのシステムに備わっているため、見込み顧客の獲得から顧客管理までを一元管理が可能です。受注確度の管理をはじめ営業管理を効率化するなら、ぜひネクストSFAをご活用ください。