更新日:2024/08/01
BIツールで何ができる?活用場面や導入メリット・おすすめツールなど詳しく解説!
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
BIツールは企業のさまざまなデータを蓄積・分析し、事業戦略や営業活動、マーケティング施策での意思決定に活用できるツールです。BIツールを活用すれば、膨大な量のデータを高速に処理でき、データ分析やレポーティングにかかる工程を減らせます。現在データ分析にExcelを使用している企業は、BIツールの導入によって業務効率を改善できるでしょう。
本記事ではBIツールの概要や主な機能、活用できる場面などを解説します。併せてBIツールを選ぶポイントや、おすすめのBIツールなども紹介するのでぜひ参考にしてください。
※本記事の内容は2023年12月時点の情報です。
この記事の目次はこちら
そもそもBIとは
BIとはBusiness Intelligence(ビジネスインテリジェンス)の略語で、ビジネスにおける意思決定に関する情報という意味です。具体的には、収集・蓄積された企業の膨大なデータを分析し、結果をグラフや表などで分かりやすく加工したものを指します。BIツールを活用すると、経営戦略の意思決定に役立てられます。
そもそもBIという言葉は1960年に誕生し、当初は組織内での情報共有システムを意味していました。1980年代以降コンピューターの普及とともにBIも発展し、次第に現在の概念へと変化してきたという経緯があります。BIの手段・プロセス、意思決定の例は以下のとおりです。
BIの手段・プロセス |
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BIの意思決定の例 |
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複雑な分析プロセスが実行可能となり、事業における各種シーンでデータを活用できるようになります。
BIツールの主な機能
次に、BIツールの基本的な機能について解説します。主な基本機能は以下の通りです。
- レポート・ダッシュボード機能
- OLAP(オンライン分析処理)
- データマイニング
- シミュレーション・プランニング
それぞれについて見ていきましょう。
レポート・ダッシュボード機能
レポート・ダッシュボード機能とは、一口に言えばデータを分かりやすく出力する機能です。レポートでは集めたデータを、観測や報告に適した資料や帳簿としてまとめられます。ExcelやWord、PowerPoint、PDF、CSVといったファイルに変換できるBIツールもあります。
ダッシュボード機能では、複数のレポートやグラフ、チャートなどをまとめて一覧表示できます。リアルタイムのデータをさまざまな表示方法で閲覧でき、インタラクティブに活用可能です。
レポート・ダッシュボード機能は、KPIの可視化や、課題の早期発見などに役立ちます。KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」を意味する言葉で、日々の業務を数値化し、設定された目標に対しての達成度を表す指標です。レポート・ダッシュボード機能があれば必要なデータだけをピックアップし、レポートとして閲覧できるため、情報の整理や状況把握が行いやすくなるでしょう。
OLAP(オンライン分析処理)
OLAPとは、企業に蓄積されたデータを多角的・多次元的に分析する機能のことです。Online Analytics Processingの略で、日本語では、オンライン分析処理といいます。OLAPの解析処理には、下記のような手法があります。
OLAPの解析処理 | 機能 |
スライシング(次元の切り出し) | OLAPの集計項目を縦軸・横軸に指定し二次元の表から集計値を参照する手法 |
ダイシング(次元の切り替え) | スライシングの軸を入れ替えて集計軸の異なる表を参照する手法 |
ドリルアップ(次元に沿った集約) | 参照データや同属性データの親要素となる項目で集約した結果を参照する手法 |
ドリルダウン(次元に沿った展開) | 特定の項目に焦点を当て1段階掘り下げた集計結果の詳細を参照する手法 |
ドリルスルー(データ明細取得) | 集計結果の元データを参照する手法 |
OLAPでは、データベース上に保管された大量のデータに対する複雑な分析が実行でき、必要な結果を迅速に抽出可能です。例えば製品やサービス、価格設定、購買属性、地域といった複数の軸を据えてデータ分析したいなら、OLAの活用Pが効果的です。
データマイニング
データマイニングとは、蓄積したデータの分析から関連性や傾向をつかみ、有用なパターンや法則を見つけ出すことです。マイニングは元々「採掘」を意味する言葉で、データの集まりを鉱山に見立て、知識という鉱物を掘り出すようなイメージでこのように呼ばれています。データマイニングでは、分析のために統計学やAIなどが活用されます。
近年ではIT技術が発達したことで、膨大なデータをリアルタイムで分析するケースが増えてきました。データマイニングによって見出されたパターンや法則は、市場動向や売上予測、リスクの発生予想といった、将来的な出来事の予測に使われます。
データマイニングはマーケティング分野で使われることが多いです。例えば顧客のデータや購買履歴からニーズに合った販促キャンペーンを考えだしたり、商品・サービスの改善に役立てたりといった活用方法が挙げられます。その他、マーケティング分野でデータマイニングが活躍する場面は多岐に渡ります。
シミュレーション・プランニング
シミュレーション・プランニングは、予算計画の根拠となるような数値をデータから算出する機能です。利益や売上、在庫などについてもシミュレーションに基づいて予測でき、戦略を立てやすくなります。予算計画の立案や利益・売上・在庫の管理などの業務は、経営や企画、マーケティング部門が担当するケースが一般的ですが、複雑なITツールを導入している場合は使いこなせない可能性があります。BIツールなら操作が比較的簡単で、専門知識もそこまで必要としないことが多いため、担当者のITスキルにかかわらず、シミュレーションやプランニングを用いたマーケティングが可能です。
またシミュレーション・プランニングは、事業計画を立てる際にも役立ちます。複数のパターンについてシミュレーションを実施すれば、それぞれのケースについて予測ができ、適切な選択肢を選び出しやすくなるでしょう。シミュレーション・プランニングによって予算や利益、事業についての意思決定が効率化されます。
【注目】ネクストSFAのBI機能とは
企業のBIに役立つおすすめのツールの一つとして、株式会社ジオコードの「ネクストSFA」をご紹介します。ネクストSFAは、シンプルながらも必要な機能がそろったクラウド型の営業支援ツールです。見込み顧客の獲得や育成から商談管理、顧客管理までの一連の機能が搭載されています。主な機能は下記のとおりです。
MA(Marketing Automation) |
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SFA(Sales Force Automation) |
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CRM(Customer Relationship Management) |
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その他 |
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2023年8月には、新しく「Amazon QuickSight」と連携可能な「Sales BI機能」が搭載され、注目を集めています。Sales BI機能ならAmazon Web Services, IncのBIツールを活用できるので、簡単に分かりやすくデータ分析が可能です。直感的に操作できるUI(使い勝手)やWeb上で完結する操作性が特徴で、活用すればさまざまなビジネスシーンに役立てられるでしょう。
※参考: PRTIMES.「ジオコード、Amazon QuickSightと連携したネクストSFAの新機能「Sales BI機能」をリリース」
※参考: ネクストSFA.「機能一覧:Sales BI機能」
BIツールが活用できる主な場面
BIツールは下記のようにさまざまなビジネスシーンで活用されています。
- 営業分析・売上分析
- 経営分析・財務分析
- 人事データ分析
- 残業分析
- 予算管理システム
- データ集計
- 帳票自動作成
それぞれの場面について解説します。
営業分析・売上分析
BIツールが役立つ場面の一つが、営業分析・売上分析時です。営業や売上は企業が事業収益を上げていくために必要不可欠となる要素です。営業の推進や売上増加のためには、効果的な施策を打ち出していく必要がありますが、経験ばかりに頼って施策を立案していては、不確実性が増してしまいます。その点データに基づいた施策なら、角度の高い施策を創出できるでしょう。自社の強みや顧客の特性などがより正確に把握でき、自社にマッチした戦略を立てやすくなるはずです。
また業務の属人化を防止できる点も、経験ではなくデータに基づいて施策を立てていくことのメリットです。データ分析を行うには、システムからデータを取り出し、その中から必要なデータだけを抽出する作業が発生します。人の手で行うとなると大きな業務負担となりますが、BIツールがあれば簡単かつ分かりやすくデータを整理でき、複数システムに点在するデータでも横断的に集計・分析できるので効率的です。
経営分析・財務分析
企業の経営や財務は、ビジネスの核となる重要なポイントです。経営分析・財務分析とは、売上や利益などの数値から事業の状態を明確化することを指します。経営分析や財務分析には貸借対照表や損益計算書などの財務諸表が用いられるのが一般的です。
経営分析や財務分析にも、BIツールを役立てられます。売上や利益などのデータを用いる際、手動でアウトプットしていると多くの手間や時間がかかり、迅速な意思決定の妨げとなってしまうでしょう。そこで、BIツールを導入すればデータ集計や資料作成が自動化されるため、手間や時間の削減が期待できます。売上・利益・財務の状況がリアルタイムで可視化されることで、スピーディな事業展開が実現するでしょう。前期の数値や競合他社との比較も容易になるため、自社の状況が正確に把握できるようになり、着実な成長につながる効果が得られるはずです。
人事データ分析
従業員の評価や育成、採用に関する人事データの分析にも、BIツールが役立ちます。従業員を評価する際は、上司の感覚に基づいた判断だけでなく、具体的な数値を元にすることで、客観的な評価が可能です。BIツールを用いて数値を根拠とした評価を行うことで、従業員にとっても納得のいく評価を行えるでしょう。
またデータに基づいた従業員の育成を進めていけば、一人ひとりの特性に合わせ、効率的な成長を促せます。現状のスキルや人材の状況がBIツールによって可視化されると、目標と現状の差を可視化できるため、戦略的に育成を進められます。また自社に必要なスキル・人材なども把握できるので、採用の方針も具体的に固められるでしょう。
昨今のビジネス環境や労働市場の変化に対応していくには、人事部門でもデータを活用し、企業を支える戦力となる人材の確保・育成が求められます。
残業分析
BIツールは従業員の残業分析にも活用可能です。近年では厚生労働省によって働き方改革が進められ、割増賃金率の引き上げや時間外労働の上限規制などが実施されており、残業削減に取り組む企業も増えています。大きな業務負担は従業員のパフォーマンス低下につながるため、不必要な残業はなくしていくことが望ましいでしょう。
従業員の残業状況が把握できていないと、企業は具体的な課題が分からず対策を立てることもできません。BIツールを導入すれば従業員の残業時間が可視化され、現状をはっきりとした数値として確認できます。残業が多い業務や部門などが明白になるため、残業を減らすために取り組むべきポイントが見えてくるでしょう。残業が減れば従業員の意欲や満足度の向上にもつながり、生産性アップが期待できます。
予算管理システム
BIツールは、予算管理システムとしても機能します。企業全体の予算を管理するには、さまざまな部門のデータを参照し、計画的に割り振らなくてはなりません。複数のデータを都度手動で集計していては、大きな手間や時間がかかります。また人の手による集計はヒューマンエラーが生じる可能性もあるため、想定外のトラブルにつながるケースも考えられます。
BIツールがあれば、予算管理に必要なデータが複数のシステムに分かれていても横断的に収集できます。出力時には予算管理をしやすい形にまとめられるので、データ集計が効率化され、担当者の業務負担も減らせるでしょう。事業に関する最新の情報を手軽に確認できるBIツールなら、企業の予算管理がスムーズになると期待できます。
データ集計
企業の規模が大きくなるほど、データ集計の業務負担は大きくなる傾向にあります。表計算ソフトは簡単に操作できて手軽なので、少ないデータを扱う際は便利でしょう。しかし、多くのデータを集計しようとする場合は作業が複雑になり、ミスが生じるリスクも大きくなります。たとえ今までは表計算ソフトを用いたデータ集計ができていたとしても、事業拡大によってデータが増えれば、業務の質の維持が難しくなるでしょう。
BIツールを活用すればデータ集計が効率化され、どんなにデータ量が増えても業務の質には影響しません。BIツールの処理能力で膨大なデータに対応し、一目で分かりやすい形に出力できます。データの管理と活用が簡単になるので、日々の業務にデータを反映しやすくなり、戦略的な事業展開に役立つでしょう。
帳票自動作成
各種帳票の自動作成ができるBIツールなら、事務作業の効率化が可能です。書類を手書きで作成している場合は手間がかかり、誤字によって書き直しの作業が生じる場合もあります。文章作成ソフトや表計算ソフトで作成すれば書き損じは防げますが、それでも必要情報の入力や書式を整える作業などで業務工数が増えてしまい、時間のロスにつながります。
データ集計から帳簿作成までをBIツールで自動化すれば、書類に関する事務作業がスムーズです。データの書き写しが間違っていたり、入力をミスしていたりといったヒューマンエラーを防止し、安定して書類を作成できます。BIツールによって省人化すると、他のコア業務に人員を割り振れるので、生産性も向上させられます。
BIツールがExcelよりも優れているポイント
従来のデータ分析では、Excelが使用されるケースが一般的でした。しかしExcelを用いる場合は、各ツールにログインした上で必要データをCVS形式で出力し、その後にExcelに貼り付けて処理するといった流れとなるため、複数の工程を経る必要があります。BIツールを活用すればExcelと同様にデータからグラフ・チャートを作成できる上、下記のポイントで優れています。
- 対応できるデータソースが豊富
- ビッグデータを高速処理できる
- レポート作成が簡単にできる
- 最新データをリアルタイムで共有可能
それぞれのポイントについて解説します。
対応できるデータソースが豊富
BIツールはExcelと比較し、対応できるデータソースが豊富です。Excelには、異なるソースから集められたデータを一元的に統合する機能がありません。データソースとしては基本的に、スプレッドシートやCSVファイルを用いることになります。
一方、BIツールはさまざまなデータソースに対応しています。BIツールはCSVファイルやSQLファイルといった社内のデータはもちろん、クラウドサービスから収集した情報も集計可能です。さらにはインターネット上や、ソーシャルメディアのデータも入手し、必要に応じて抽出できます。Excelではできないような、複数の形式のデータ分析・統合などができるので、BIツールを活用することで、より多角的なものの見方が可能となるでしょう。
ビッグデータを高速処理できる
Excelでは処理が難しいようなビッグデータでも、BIツールなら高速処理が可能です。Excelは少量のデータを管理する際に手軽で便利ですが、データが大容量になると処理にタイムラグが生じたり、フリーズしてしまったりなど、作業がスムーズに進みにくくなることがあります。Excelはワークシートとして格納できるデータサイズに上限があるので、膨大なデータの処理には向いていません。
一方、BIツールなら多くのデータを素早く処理できます。BIツールはデータベースに情報を格納しているため、サイズ制限がありません。またExcelはユーザーが指示しなければデータを処理できませんが、BIツールならデータの自動処理に対応しています。
レポート作成が簡単にできる
BIツールなら、Excelよりも簡単にレポートが作成可能です。Excelの場合、データ作成に手間や時間がかかりやすく、複数人による同時書き込みも難しいでしょう。Excelの共同編集(共同ブック)機能を利用すれば、同一ファイルに対して複数人が編集可能となりますが、データの一部消失や書き換えといったトラブルが生じるリスクもあります。
Excelの共同編集機能とは、オンライン上にある一つのファイルが複数人によって開けられている場合に、お互いの変更を確認できる機能です。Excelを使ったレポートの作成時に複数人が同時にファイルに書き込みしていると、編集の競合が発生しやすくなります。編集の競合とは複数人が同じタイミングで1つのExcelファイルに書き込むことで、情報がぶつかり合う現象をいいます。編集の競合によって、どちらかの作業者の編集内容が消えてしまい、作業が無駄になってしまうリスクが生じるでしょう。またExcelでレポートを作成する際は、ワークシートにデータを入力していかなくてはならず、手間も時間もかかってしまいやすいです。
一方、BIツールであればデータを分析した後、クリックやドロップといった作業だけでレポートが完成します。確認したいデータを選択すれば詳細が表示されるため、表やグラフをその都度一から作成する必要もありません。他ファイルへのエクスポートも簡単なのでデータの活用や共有が比較的スムーズに行えます。
最新データをリアルタイムで共有可能
データ分析にExcelを使っていると、データベース内の情報が新しくなるたびに、Excel側での更新作業が必要となります。更新作業によってタイムロスが生じるので、最新情報をリアルタイムで扱えません。近年は情勢の移り変わりが激しいため、ビジネスにおいてはスピードが重視されます。
BIツールはデータを保持しているわけではなく、データベースから直接取得しているので、常に最新の情報が反映されます。BIツールに保存されているのはデータ自体ではなく、検索方法や取得方法、加工方法、そしてグラフやチャートとしての表示方法などです。BIツールなら、データを共有する際も最新のものを迅速に送れるでしょう。
BIツールを活用するメリット
企業がBIツールを活用する主なメリットは下記のとおりです。
- さまざまな社内データを集約・分析できる
- 部署ごとの現状を把握できる
- 課題の早期発見・迅速な対応が可能
- レポート作成の手間・時間を軽減できる
それぞれのメリットについて解説します。
さまざまな社内データを集約・分析できる
BIツールを活用するメリットの一つが、さまざまな社内データの集約・分析が可能になる点です。部門ごとに複数システムのデータを管理している場合、散在するデータを集約する作業は煩雑になるでしょう。BIツールを利用すればデータを簡単に一箇所に集められ、必要なものを抽出して分析・整理に使える形に整えられます。
企業に蓄積されたデータをBIツールによってシステムを横断して参照できるようになれば、多角的に分析できるようになります。有用なデータでも形式が整えられていなければ、ただの数値にとどまってしまうでしょう。一方、同じデータでもグラフやチャートとして整理されれば、新しい発見につながるケースがあります。BIツールなら専門知識がなくても、高度なデータ分析が可能です。
部署ごとの現状を把握できる
BIツールの活用によって、部署ごとの現状把握も実現できます。企業全体の生産性向上や効率改善、課題解決のためには、まずは各部署の現状を知らなくてはなりません。BIツールがあれば、それぞれの部署の状況を示すデータを抽出・分析し、グラフやチャートとして分かりやすく表示可能です。部署の現状が具体的なデータとして可視化されるので、課題や目標までの距離が正しく測れ、効果的な施策を立てられるようになります。
課題の早期発見・迅速な対応が可能
BIツールによって課題を早期発見でき、迅速に対応できるケースもあります。BIツールを活用してデータを分析すると、事業や部署における課題が見えてくることも少なくありません。課題が見えれば改善によって労働環境を改善したり、顧客満足度を向上させる施策を考えたりできるでしょう。
また今までは気付いていなかったような潜在的な問題が見つかれば、被害が生じたり大きなトラブルに発展したりする前の対処が可能です。問題が顕在化する前に対策に取り掛かることで、問題の発生を未然に防げます。
レポート作成の手間・時間を軽減できる
従来なら手動で行われることが多かった、データの集計やレポーティングに関しても、BIツールの活用によって負担を軽減できます。前述したようにExcelを用いたレポート作成では、多くのデータの手入力が発生するため、業務負担が大きくミスが起こりやすくなります。レポート作成にBIツールを導入すれば、レポート作成の効率化が可能です。
BIツールを活用すると、たとえデータのサイズが大きくても、時間をかけずにグラフ・チャートに落とし込める点がメリットです。大容量のデータでも高速で処理でき、Excelよりも高度な分析が、比較的簡単に行えます。
BIツール選び方のポイント
現在では数多くのBIツールが登場しています。BIツールを導入する際は自社の状況や課題、ニーズに合ったものを選びましょう。BIツールの選び方の主なポイントは下記のとおりです。
- 操作性に優れ柔軟な作成ができるか
- さまざまなデータベースやサービスと連携可能か
- データ管理対応か分析特化か
- 導入形態は合っているか
- 導入ガイド・サポートは充実しているか
- 予算に合った費用で利用できるか
それぞれのポイントについて解説します。
操作性に優れ柔軟な作成ができるか
BIツールを選ぶ際に大切なポイントは、操作性に優れていて、柔軟に使用できるかどうかです。BIツールには、専門的な知識のない従業員であってもスムーズに使えることが求められます。直感的に操作ができるBIツールなら、使い方の理解に時間をかけず、業務時間を短縮できます。UIの質・デザインが優れているBIツールを選びましょう。
またデータをグラフやチャートなどの図表として出力する際の、ビジュアライゼーションがしっかりできるかどうかも重要です。図表のデザインが見やすければ、内容が頭に入ってきやすくなります。
さらにはダッシュボードのカスタム性も大切なポイントとなるでしょう。ダッシュボードを柔軟に作成できるBIツールなら、必要なデータを一目で確認できるような画面作りが可能です。
さまざまなデータベースやサービスと連携可能か
BIツールを選ぶ際は、さまざまなデータベースやサービスと連携できるかどうかもチェックしておきましょう。ビジネスでは複数のサービスを利用し、それぞれの機能を活用して事業を進めていきます。さまざまなサービスとBIツールを連携できれば、データを一元管理でき、自由に取り出せるようになります。
Web広告やMarketo Engage、LINE WORKS、Chatwork、名刺管理ツール、CTIツール、問い合わせフォーム、Googleカレンダー、Gmail、Microsoft Outlook、Amazon QuickSightは、ビジネスでよく使われるサービスです。自社で使っている外部サービスがあるなら、連携に対応しているBIツールを選ぶことがおすすめです。
データ管理対応か分析特化か
BIツールには大きく「データ管理対応」と「分析特化」の2種類があります。
データ管理対応のBIツールには、ETLやDWHなどの機能が搭載されています。ETLはExtract(抽出)、Transform(変換)、Load(書き出し)の略語で、データベースに保管されているデータを扱いやすく整える機能のことです。DWHはData Ware Houseの略語で、データの倉庫を意味します。DWHでもデータが分析しやすい形に整えられるため、ビジネスで活用しやすくなります。もしも自社にETLやDWHのツールが導入されていないなら、データ管理対応のBIツールの導入がおすすめです。
すでにデータ管理の環境が整っているなら、分析特化のBIツールを選ぶとよいでしょう。分析特化のものならシンプルで使いやすく、価格も比較的安価なものが多い傾向にあります。
導入形態は合っているか
BIツールを選ぶ際は導入形態が合っているかも大切です。BIツールの導入形態にはクラウド・デスクトップ・オンプレミスの3種類があります。
クラウド型のBIツールならインストールが必要なく、オンライン上でサービスを利用できます。導入コストを抑えながら始められる点もメリットです。ただし、ツールによってはカスタマイズしにくいものもあります。
デスクトップ型のBIツールは、個人のパソコンにインストールして利用します。インターネットの接続がない環境でも使える点がメリットです。一方、各自のパソコンにインストールする必要があるので、大人数への展開が難しいといえるでしょう。
オンプレミス型のBIツールは、サーバーにインストールされています。柔軟性が高く、独自の設定をしやすい点がメリットです。ただしメンテナンスコストがかかりやすく、ランニングコストが高くなりやすい点には注意が必要です。
BIツールを選ぶ際は導入コストや事業規模、カスタマイズ性などから、自社に合ったものを選ぶとよいでしょう。
導入ガイド・サポートは充実しているか
BIツールを検討する際は、導入ガイドやサポートが充実しているかも視野に入れておきたいポイントです。BIツールを導入して社内に浸透させるためには、使い方を従業員へ周知しなくてはなりません。しかし、BIツールの知識を持つ人が少なければ、指導や教育がスムーズに進まないでしょう。
BIツールによっては導入ガイドが充実しており、使い方のレクチャーやセミナー、eラーニングを受けられるものもあります。また導入後に従業員からの疑問が生じるケースも珍しくないので、質問に答えてくれるベンダーのBIツールを選ぶのが大切です。
予算に合った費用で利用できるか
BIツールを選ぶ際は、自社の予算に合った費用で利用できるかも事前に確認しましょう。BIツールは機能や導入形態などによって、費用に大きな差が生じます。
例えばデータの管理機能が搭載されているBIツールだと、分析機能のみのものよりも費用が大きくなる傾向にあります。また導入形態も価格を左右し、クラウド型なら比較的安くすむ一方、カスタマイズ性が高いオンプレミス型だと高くなりやすいです。
BIツールを選ぶ際に費用が予算を超えてしまう場合は、クラウド型やデスクトップ型のものを選んだり、データの管理機能を減らして別のツールで補ったりするとよいでしょう。
BIツールおすすめ10選
BIツールにはさまざまな種類があるので、自社に合ったものを選ぶことが大切です。そこで、おすすめのBIツールを紹介します。前述したポイントと合わせて参考にしてください。
1.ネクストSFA
ネクストSFAは見込み獲得や育成から、商談管理、顧客管理までをサポートするSFA/CRM/MA/BI一体型ツールです。ビジネスに役立つさまざまなサービスとの連携が可能で、営業からバックオフィスまでのデータの一元管理ができます。
連携可能なサービスの例は下記のとおりです。
- クラウド会計ソフト freee
- sansan
- マネーフォワード クラウド 請求書
- Google カレンダー
- Google マップ
- Gmail
- CAMCARD BUSINESS
- Microsoft 365
- MiiTel
- board
- LINE WORKS
- Marketo Engage
- Chatwork
- Google 広告
- Yahoo!広告
- INNOVERA
- ソクコム
ネクストSFAは申し込みから利用開始までが早く、平均的には翌営業日から使い始められます。サポートが充実していて、利用回数にかかわらず無料な点もおすすめのポイントです。
サービス名 | ネクストSFA |
運営会社 | 株式会社ジオコード |
公式サイト | https://next-sfa.jp/function/bi/ |
初期費用 | 都度見積もり |
導入形態 | クラウド |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | 無料 |
2.Microsoft PowerBI
Microsoft PowerBIは、WordやExcelなどで知られるMicrosoftが提供するBIツールです。Officeシリーズのアプリケーションと連携しやすい点が強みです。Microsoft Fabric Preview の無料アカウントに含まれる Power BIの他、機能が充実した「Power BI Pro」「Power BI Premium」などの有料プランが用意されています。比較的安価なので、BIツールの費用を抑えたい場合にもおすすめです。
サービス名 | Power BI |
運営会社 | Microsoft Corporation |
公式サイト | https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/ |
初期費用 | 無料試用版:あり |
導入形態 | ・クラウド・デスクトップ・オンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | なし(接続は可能) |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | 営業担当者に問い合わせ可能コミュニティサイト有 |
3.b→dash
b→dashはデータの取り込みから加工、統合、抽出、活用までがオールインワンで行えるBIツールです。データ分析のための連携や抽出といった過程をノーコードで進められるので、エンジニアスキルがない従業員でも、簡単にデータマーケティングを行えます。導入サポートにも力を入れており、データ活用のための環境構築について、カスタマーサクセス担当からの支援を受けられます。操作感やUIなどを知りたい場合は、デモ画面の視聴をリクエスト可能です。
サービス名 | b→dash(ビーダッシュ) |
運営会社 | 株式会社データX |
公式サイト | https://bdash-marketing.com/ |
初期費用 | 要問い合わせ |
導入形態 | クラウド |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | なし |
データマイニング | なし |
プランニング | なし |
サポート | カスタマーサクセス担当の設置有 |
4.Tableau
Tableauはデータのビジュアライゼーションを得意とするBIツールです。分かりやすいUIが採用されており、ドラッグ&ドロップを中心とした直感的な操作が可能です。機能に応じて料金が異なる3つのプラン「Viewer」「Explorer」「Creator」が用意されています。
サービス名 | Tableau(タブロー) |
運営会社 | セールスフォース・ジャパン |
公式サイト | https://www.tableau.com/ja-jp |
初期費用 | 無料期間:有 |
導入形態 | ・クラウド・デスクトップ・オンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | 標準サポート拡張サポートプレミアムサポート |
5.LaKeel BI
LaKeel BIはデータ管理のためのETL機能が搭載されており、データの収集や加工、統合、可視化がスムーズです。サーバーライセンス型なので大人数でも利用でき、データ量やユーザー数が増えても追加コストが発生しません。
導入前・導入後のサポートが充実しているので、社内への定着をスムーズに進められるでしょう。製品体験のための無料セミナーにも行っているので、製品を試用してみたい場合はぜひ参加してみてください。
サービス名 | LaKeel BI(ラキールBI) |
運営会社 | 株式会社ラキール |
公式サイト | https://bi.lakeel.com/ |
初期費用 | 要問い合わせ |
導入形態 | クラウドオンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | なし |
プランニング | あり |
サポート | 導入前のサポートハンズオントレーニング |
6.Domo
Domoは連携できるデータソースが幅広く、さまざまなデータのプラットホームとして機能するBIツールです。ETL機能を備えており、データ管理にも優れています。データ集計やグラフ化などが自動化されているため、業務効率化に役立ちます。アラート機能が搭載されているので、緊急性が高い出来事の際にも対応しやすいでしょう。
Domoの強みはデータドブリン分析やAIによる予測分析、レポートの自動作成機能が利用できることです。疑問がある場合やトラブルの際でも、電話やメール、カスタマーポータルなどで問い合わせができます。
サービス名 | Domo(ドーモ) |
運営会社 | ドーモ株式会社 |
公式サイト | https://www.domo.com/jp |
初期費用 | 無償トライアル有 |
導入形態 | クラウド |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | テクニカルサポートコンサルタントの設置有 |
7.Qlik Sense
Qlik SenseはAIや機械学習が組み込まれたBIツールです。独自の拡張アナリティクス機能が搭載されており、自動化されたインサイトの生成や、AIによるデータ準備などが可能です。データの変化に応じてアラートが鳴り、迅速なアクションを取りやすくなるでしょう。「スタンダード」「プレミアム」「エンタープライズ」の3つのプランが用意されています。
サービス名 | Qlik Sense(クリックセンス) |
運営会社 | クリックテック・ジャパン株式会社 |
公式サイト | https://www.qlik.com/ja-jp/products/qlik-sense |
初期費用 | 無料トライアル有 |
導入形態 | クラウドデスクトップオンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | コンサルティングトレーニングサポートサービス |
8.Yellowfin
Yellowfinはデータ接続からレポートの作成や共有まで、シームレスに実行できるBIツールです。ロボットがデータ分析し、数値の異常や発見などを自動で教えてくれます。
表計算機能や高度な計算式、関数なども利用でき、レポートをドラッグ&ドロップで作成可能です。無料トライアルが用意されている他、事例集や製品紹介資料がダウンロードできます。費用は企業や組み込み分析のニーズによって左右されます。
サービス名 | Yellowfin(イエローフィン) |
運営会社 | Yellowfin Japan株式会社 |
公式サイト | https://yellowfin.co.jp/ |
初期費用 | 30日間無料トライアル有 |
導入形態 | クラウドデスクトップオンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | サポートポータル有 |
9.Actionista!
Actionista!は専門知識がなくても、ノンプログラミングで利用できるBIツールです。クリックだけでデータの閲覧から分析、共有までを実行できます。経営企画や製造、調達、経理、営業、開発、マーケティングなどの分野での導入実績があります。
企業単位での料金体系となっていて、1つのライセンスで企業内の全ての従業員がActionista!を利用できる点も大きな特長です。開発から販売、サポートに至るまで一貫してメーカーで対応しているため、トラブルの際も手厚い対応が期待できます。
サービス名 | Actionista!(アクショニスタ) |
運営会社 | 株式会社ジャストシステム |
公式サイト | https://www.justsystems.com/jp/products/actionista/ |
初期費用 | 無料トライアルサービス有 |
導入形態 | オンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | なし |
データマイニング | なし |
プランニング | あり |
サポート | 無料セミナー有 |
10.MotionBoard
MotionBoardはビジュアライゼーションのデザイン性に優れたBIツールです。データの集計や分析が誰でもできるようになるので、業務の属人化を防げます。業界それぞれのニーズに合わせた表現が用意され、自社の状況に合わせた利用ができます。
サポート体制が充実している点もMotionBoardの強みです。「Entry」「Standard」「Professional」のプランがあり、必要な機能に応じて選べます。
サービス名 | MotionBoard(モーションボード) |
運営会社 | ウイングアーク1st株式会社 |
公式サイト | https://www.wingarc.com/product/motionboard/ |
初期費用 | 無償トライアル有 |
導入形態 | クラウドオンプレミス |
レポーティング | あり |
OLAP機能 | あり |
データマイニング | あり |
プランニング | あり |
サポート | チャットサポートオンラインサポートメールサポート電話サポート |
まとめ
蓄積したデータを事業で活用するなら、BIツールの導入がおすすめです。BIツールを利用すると業務効率を改善できるだけでなく、より高度なデータ分析が可能になるため、今まで見落としていたような発見につながっていくでしょう。
特別な知識がなくても直感的に操作できるBIツールの導入を検討しているなら、株式会社ジオコードの「ネクストSFA」がおすすめです。まずはお気軽にお問い合わせください。