更新日:2024/12/03
データ上書きのよくあるケースと復旧手順を解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
大事なデータをうっかり上書きしてしまった経験はありませんか?仕事で使う文書や思い出の写真、時間をかけたデザインファイルなど、上書きの状況はいろいろですし、対応方法もそれぞれ違います。
本記事では、よくある上書きミスのパターンと、それに適した復元方法をわかりやすく説明します。失ったデータを取り戻せる可能性を高めるための参考にしてください。
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データ上書きシチュエーションと具体的な対処方法
データを上書きするシチュエーションはいくつかの典型的なパターンに分けられ、それぞれのソフトや環境に応じて、復元方法も異なります。
以下では、よくある上書きシチュエーションをご紹介します。
ファイルエクスプローラー上での上書き
ファイルエクスプローラーでファイルを操作しているときに、同じ名前のファイルを誤ってコピーまたは移動して既存ファイルを上書きしてしまう場合です。たとえば、新しい写真ファイルを古い写真のファイル名にリネームして保存してしまうなどが代表的です。このとき、元のファイルが失われるリスクがあります。
復元方法:Windowsの「以前のバージョン」機能
「以前のバージョン」機能は、Windowsが定期的にファイルのスナップショットを保存している場合に使用できます。この機能はWindowsの「システムの保護」設定が有効になっている必要があります。
- 上書きしてしまったファイルまたはフォルダを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「以前のバージョン」タブを開き、リストされた過去のバージョンから復元したいものを選びます。
- 「復元」ボタンを押して、指定したバージョンのファイルを復元します。
注意点として、全てのバージョンが常に保存されているわけではないため、確実な方法ではありません。
復元方法:データ復元ソフトの使用
「以前のバージョン」機能が使えない場合や、復元したいバージョンがリストにない場合、データ復元ソフトを利用します。代表的なソフトには、Recuva、Disk Drillなどがあります。これらのソフトを使えば、削除されたファイルやファイルの断片をスキャンして、復元の可能性を高めることができます。
- ソフトをインストールし、上書きが行われたドライブをスキャンします。
- スキャン後に検出されたファイルリストから、復元したいファイルを選んで復元を実行します。
ただし、上書きされてから時間が経過したり、他の操作でさらにファイルが上書きされた場合、復元の可能性は低くなります。
いずれにせよ、データが自力で復元できない場合、誤った操作でデータを完全に上書き・削除してしまうリスクが高まります。
そのため、大切なデータを守るためには、無理に自分で解決しようとせず、データ復旧の専門家に依頼することをおすすめします。
専門家なら、データをさらに失うリスクを最小限に抑え、安全かつ確実な方法で復元作業を行うことができます。大切なデータを確実に取り戻す場合は、プロに相談してください。
Microsoft Officeソフトでの上書き(Word、Excel、PowerPointなど)
WordやExcelでドキュメントを編集中に誤って「保存」ボタンを押し、意図せず前のバージョンを上書きしてしまうことがあります。たとえば、Excelの表計算データを編集して保存してしまい、元のデータに戻れないといったケースです。
復元方法:自動保存・バージョン履歴機能
Office 365や最近のOfficeバージョンでは、自動保存機能があり、特にOneDriveやSharePointと連携している場合は定期的にバージョン履歴が保存されます。
- Officeファイルを開き、「ファイル」タブをクリックします。
- 「情報」→「バージョン履歴」を選択します。
- リストされたバージョンの中から復元したいバージョンを開き、内容を確認したら「復元」をクリックします。
この機能により、元のバージョンに戻すか、内容をコピーして新しいファイルに保存することができます。
復元方法:一時ファイルの利用
Officeは編集中に一時ファイルを生成することがあります。このファイルはファイル名の先頭に「~」がつき、通常は%appdata%\Microsoft\Officeフォルダに保存されています。一時ファイルを探して開くことで、編集内容の一部を復元できることがあります。
Adobe製品(Photoshop、Illustratorなど)での上書き
PhotoshopやIllustratorなどのAdobe製品で画像を編集中に、「上書き保存」を行ってしまい、元のデータが消えてしまうケースです。たとえば、Photoshopで加工した写真を誤って保存し、元の写真データが上書きされる場合です。
復元方法:Adobeの自動保存・バックアップ機能
Adobe製品には自動保存(オートセーブ)機能があり、設定に応じて定期的にファイルがバックアップされています。
- ファイルを再度開いた際、自動保存されたファイルがある場合には通知が表示されます。
- 通知に従って、バックアップファイルを復元します。
この機能は頻繁に編集を行う場合に有効で、編集内容が消えるリスクを軽減します。
復元方法:Creative Cloudのバージョン履歴
Creative Cloudでクラウドストレージを利用している場合、Adobeアプリはクラウド上にバージョン履歴を保存しています。一定の履歴を遡ることで、以前の状態を復元できます。
- Creative Cloudにサインインし、「ファイル」→「すべてのファイル」から該当のファイルを探します。
- 「バージョン履歴」を確認し、復元したいバージョンを選択してダウンロードまたは復元します。
Google ドキュメントやドライブでの上書き
Google ドキュメントやスプレッドシートでの編集中に、意図せず内容を変更して保存してしまうケース。たとえば、チームで共同編集しているドキュメントで他人の内容を誤って消してしまうなどです。
復元方法:バージョン履歴機能
Google ドキュメントには自動的にバージョン履歴が保存されています。
- ドキュメントを開き、「ファイル」メニューをクリックします。
- 「バージョン履歴」→「バージョン履歴を表示」を選択します。
- 以前のバージョンリストから戻りたいバージョンを選んで内容を確認し、必要であれば「このバージョンを復元」をクリックします。
この機能を使えば、編集履歴を遡って特定のバージョンを取り戻すことができます。
特定の業務ソフトやカスタムアプリケーションでの上書き
会計ソフト、顧客管理システム(CRM)などの業務用ソフトやカスタムアプリケーションで、データ上書きや入力ミスが発生するケースです。これにより、重要な業務データが失われるリスクがあります。
復元方法:アプリケーションの自動バックアップ機能
多くの業務用ソフトウェアには、自動バックアップ機能や手動バックアップオプションがあります。例えば、会計ソフトは毎日終了時にバックアップを行ったり、重要な操作前にバックアップを促す機能を持っている場合があります。
- アプリケーションの設定メニューで自動バックアップ機能が有効かを確認します。
- バックアップファイルを保存した場所から、必要なデータを復元することが可能です。
復元方法:システム全体のバックアップからの復元
業務データを保護するため、サーバー全体やデータベースのバックアップを定期的に取得しているケースがあります。この場合、管理者に依頼し、サーバーやデータベースのバックアップからデータを取得し、復元できる場合があります。
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まとめ
データの上書きミスは、ファイル操作やソフトごとに様々な形で発生します。エクスプローラーの操作ミスや、OfficeやAdobe製品での誤保存、クラウド上での編集ミスなど、状況ごとに使える復元方法を知っておくことが大切です。
自動保存機能やバージョン履歴、一時ファイルの活用、さらにはデータ復元ソフトやシステムバックアップを活かすことで、データ損失のリスクを減らすことができます。トラブルが起きたときに落ち着いて対応できるよう、この知識をぜひ役立ててください。