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SFA JOURNAL by ネクストSFA/CRM

CRMの失敗事例から学ぶ!導入しても使われない原因と運用の改善策

株式会社ジオコード クラウド事業 責任者 庭田 友裕

【監修】株式会社ジオコード クラウド事業 責任者
庭田 友裕

CRMを導入したものの、現場で使われず悩んでいる担当者の方もいるのではないでしょうか。情報を入力していても、売上や業務効率への貢献が見えにくい場合もあります。

CRMは、顧客との関係を管理・改善する考え方です。本記事では、その実践に使う顧客管理システムをCRMと呼びます。導入しただけで成果が決まるものではなく、業務に合った設計と継続的な運用が必要です。

そこで本記事では、CRMが失敗する主な原因と、導入前に行う対策をご紹介します。導入後の立て直し方や乗り換えの判断基準も解説するので、自社の運用を見直す参考にしてください。

CRMの失敗とは?導入後によくある3つの状態

CRMの失敗とは、導入時に目指した業務改善や成果を実現できていない状態です。システムが稼働していても、現場で使われなければ十分な効果は得られません。

ただし、導入直後に売上が伸びないだけで失敗とは判断できません。まずは、利用・情報活用・業務成果のどこでつまずいているかを確認しましょう。

CRMが現場で使われず、顧客情報が集まらない

CRMが使われず、必要な顧客情報が集まらない状態は、失敗の兆候の一つです。情報が担当者の手元に残り、組織で顧客の状況を把握できなくなります。

例えば、担当者が個別のExcelだけを更新している場合を考えてみましょう。CRMの内容は古いままとなり、引き継ぎや問い合わせ対応にも使えません。

確認したいのは、ログインの有無に加えて、必要な情報が更新されているかです。利用対象の業務に沿って、入力内容と更新のタイミングを確かめましょう。

CRMに情報を蓄積しても、営業や顧客対応に活用できない

CRMに情報が集まっても、具体的な行動に結び付かなければ活用は進みません。記録する作業だけが増え、現場が効果を実感しにくい状態です。

例えば、過去の問い合わせ履歴があっても、対応前に確認しなければ役立ちません。営業でも、顧客の関心や前回の提案を踏まえずに連絡すれば、情報を生かしきれないでしょう。

顧客情報を「誰が、どの場面で、何の判断に使うか」まで決めることが大切です。蓄積した件数だけでなく、日々の対応がどう変わったかを確認してください。

CRMの導入・運用コストに対して期待した成果が出ない

導入・運用費用が発生しているのに、期待した成果につながらない状態も課題です。ただし、成果が出ていない場合と、効果を測れていない場合は分けて考えましょう。

費用対効果を見る際は、売上に加えて業務時間や対応品質の変化も確認します。例えば、受注額が変わらなくても、報告資料を作る時間が減っているかもしれません。

一方、売上増加の全てをCRMの成果と捉えるのも適切ではありません。広告施策や人員の変化も確認し、導入目的と同じ基準で評価する必要があります。

CRM導入が失敗する主な原因

CRM導入の失敗には、選定時の判断と導入後の運用が関係します。現場が使わないという結果だけでなく、その背景まで確認することが大切です。

ここでは、CRM導入が失敗する主な原因を整理します。自社の準備や運用に当てはまるものがないか確認してみてください。

CRMの導入目的と成果を測る指標が曖昧になっている

導入目的が曖昧なままでは、必要な機能や優先する業務を判断しにくくなります。導入後も、何をもって成功とするかを社内で共有できません。

例えば、営業部門は報告業務の削減を期待し、経営層は売上増加を求めている場合です。双方の認識を合わせなければ、同じ結果でも評価が分かれてしまうでしょう。

また、導入前の状況を記録していないと、改善の有無も説明しにくくなります。目的・評価指標・比較の基準が決まっていないことが、失敗につながる要因です。

CRMの入力負担が大きく、既存の業務フローにも合っていない

CRMへの入力が業務に上乗せされると、従業員の負担が増えてしまいます。既存の報告方法が残っている場合は、二重入力も生まれかねません。

例えば、商談後に日報とCRMへ同じ内容を入力する運用です。記録する項目が多いほど、顧客への連絡より入力作業が後回しになりやすいでしょう。

さらに、外出中に使う担当者にとって、入力しづらい画面は負担になります。従業員の意欲だけの問題とせず、仕事の流れと操作の両面から原因を捉えましょう。

現場の意見を聞かず、CRMを使うメリットも共有していない

管理側の都合だけでCRMを選ぶと、現場の仕事に合わない仕組みになりがちです。利用者が得られるメリットの説明もなければ、協力を得ることは難しいでしょう。

例えば、管理者が見たい集計項目ばかり増やしている場合です。入力する担当者が顧客対応に使える情報は増えず、報告の負担だけを感じるかもしれません。

導入に関する説明が一度きりだと、担当者ごとの理解の差も残ります。利用する理由が共有されていないことは、定着を妨げる要因の一つです。

CRMの推進責任者と運用ルールが決まっていない

CRMの責任者や運用ルールが決まっていないと、問題が起きても対応が進みません。入力方法の違いが放置され、データの内容にもばらつきが生まれます。

例えば、商談がどの状態になったら「提案中」とするかが曖昧な場合です。担当者ごとに分類が変わり、集計しても同じ条件で状況を比較できないでしょう。

部門ごとに独自の項目を増やし続けることも、運用を複雑にする原因です。判断する人が不在のままでは、改善要望があっても設定の見直しにつながりません。

CRMと既存システムの連携やデータ移行を検討していない

CRMと既存システムの連携を考えていないと、情報が分かれたままになります。データ移行が不十分な場合も、業務に必要な履歴を参照できません。

例えば、顧客情報を移しても、過去の問い合わせ履歴との結び付きが失われる場合です。担当者が元のシステムを確認する必要があり、新しいCRMだけでは仕事が完結しないでしょう。

同じ顧客の重複登録や、項目の形式の違いにも注意が必要です。移せるかどうかに加えて、移行後に正しく使えるかを考えていないことが問題になります。

価格や機能だけでCRMを選び、導入支援や総費用を確認していない

月額料金や機能数だけで比較すると、導入後に必要な支援を見落としがちです。社内で設定できる範囲を超えていた場合、運用開始までに追加の対応が必要になります。

また、利用したい連携機能が別料金になっているケースもあります。想定していなかった費用が増えると、必要な設定や教育を見送ることになるかもしれません。

料金の安さと、自社が負担する作業量は分けて考えることが大切です。問い合わせ対応の範囲や追加費用を確認していないと、導入後に計画とのずれが生じます。

CRMの失敗を防ぐために導入前に行う5つの対策

CRMの失敗を防ぐには、契約前に運用の仕組みまで具体化することが大切です。製品の比較と並行して、社内の役割や利用する場面も整理しましょう。

ここからは、導入前に行いたい5つの対策をご紹介します。限られた人員でも運用できるよう、優先順位を付けて準備を進めてください。

CRMで解決する課題と導入後の評価指標を決める

まずは、CRMでどの課題を解決するのかを具体的にします。「顧客情報を管理したい」という段階から、改善したい業務へと掘り下げることが必要です。

例えば、課題と評価指標は次のように対応させるとよいでしょう。以下は設定例のため、自社の業務に合わせて選んでください。

解決したい課題評価指標の例比較時の確認事項
顧客への連絡が遅れる初回対応までの時間、対応漏れ件数問い合わせの種類や受付条件をそろえる
報告資料の作成に時間がかかる資料作成時間、転記回数CRMへの入力時間も含めて確認する
継続的なフォローができないフォロー実施率、継続率対象顧客と集計期間をそろえる
商談が受注につながらない受注率、商談に要する期間商談の定義や流入経路を確認する

指標には導入前の基準値と目標、確認する時期を設定します。担当者と経営層の認識を合わせてから、必要な機能を選びましょう。

現場の業務を整理し、複数のCRMを実際に試して比較する

CRMを比較する前に、顧客情報が発生してから使われるまでの流れを整理します。画面の見やすさだけでなく、実際の仕事を進められるかが確認のポイントです。

試用時は、現場の担当者に一連の操作を行ってもらうとよいでしょう。例えば、次のような場面を候補製品で共通して確認します。

  • 問い合わせを受け付け、担当者を割り当てる
  • 顧客情報と過去の対応履歴を検索する
  • 対応内容と次回の連絡予定を登録する
  • 担当者の変更時に必要な情報を引き継ぐ

入力する人と、情報を見る人の両方から意見を集めることが大切です。必須の機能と、運用後に追加できる機能を分けて比較してください。

CRMの入力項目を絞り、情報共有と顧客情報管理のルールを定める

入力項目は、利用する目的を説明できるものから設定します。担当者が迷わず記録でき、必要な人が情報を使えるルールづくりが大切です。

例えば、顧客の担当者、対応内容、次回の連絡予定を基本に考えましょう。初回の登録で必要な項目と、商談が進んでから必要な項目を分ける方法もあります。

あわせて、更新する担当者やタイミング、重複した情報の整理方法を決めてください。個人情報については、利用目的や取得時の対応も確認が必要です。

閲覧・編集の権限は、担当業務に応じて設定します。全員に一律の権限を付けず、情報共有と適切な管理を両立させましょう。

CRMと既存システムの連携・データ移行を事前に検証する

連携やデータ移行は、運用開始前に実際の利用場面で検証します。データを取り込めたことと、業務で正しく使えることは同じではありません。

検証では、入力元からCRMに反映されるまでの流れを確認しましょう。例えば、次のような項目を確認すると、問題を見つけやすくなります。

  • 顧客情報と対応履歴が正しく結び付いているか
  • 日付や選択項目の値が意図した形で表示されるか
  • 更新した情報が必要なタイミングで反映されるか
  • 同じ顧客が重複して登録されないか
  • エラーを発見し、再処理できる運用になっているか

移行前後の件数を比べるだけでなく、情報の内容も確認することが必要です。担当者が検索・更新まで行い、業務に支障がないことを確かめてください。

CRMを小規模に導入し、研修と問い合わせ対応の体制を整える

CRMは、対象部門や業務を限定して導入すると、課題を整理しやすくなります。小規模な運用でも、研修と質問への対応を同時に準備することが大切です。

例えば、問い合わせ対応の担当チームから試し、登録と引き継ぎの流れを確かめます。実際に出た質問を記録し、全社展開に向けて説明資料を整えるとよいでしょう。

研修では機能の紹介に加え、担当者自身の仕事を再現してください。「問い合わせを受けて次の担当者へ渡す」といった練習が有効です。

相談先と回答する人も決めておきます。試行段階で見つかった課題を修正し、対象範囲を段階的に広げましょう。

CRM導入後の失敗を立て直す5つのステップ

導入済みのCRMに課題があっても、原因を整理すれば改善できる場合があります。すぐに機能を追加する前に、現場の状況を確かめることが大切です。

ここでは、利用状況の確認から効果測定までを5つのステップで解説します。自社で対応できることと、提供会社への相談が必要なことを分けて進めましょう。

ステップ1:CRMの利用状況と現場の不満から失敗の原因を特定する

最初に、CRMの記録と現場の声を照らし合わせて、つまずいている場所を探します。ログイン回数だけで判断せず、対象業務に必要な情報が更新されているかを確認しましょう。

ヒアリングでは「なぜ使わないのか」と聞くだけでは、原因を把握しきれません。例えば、次のように作業の場面を具体化することが大切です。

  • どの項目の入力に時間がかかっているか
  • 他の資料やシステムにも同じ情報を入力しているか
  • 顧客対応で必要な情報を探せているか
  • 入力した情報を誰が確認しているか

一部の利用者の意見に偏らないよう、担当業務の異なる人にも確認します。課題ごとに影響を受ける業務を整理し、改善する順番を決めてください。

ステップ2:CRMの入力項目と二重入力を減らす

原因が入力負担にある場合は、必須項目と重複した報告を見直します。情報を増やす前に、現在の項目が何に使われているかを確認することが必要です。

使っていない項目は、削除・任意化・入力時期の変更を検討しましょう。ただし、顧客対応や社内の管理上必要な項目まで減らさないようにしてください。

二重入力については、CRMの情報で日報や会議資料を代替できるかを考えます。既存の報告を残したままでは、入力項目を減らしても負担が残るためです。

自動化する場合も、誤った情報が登録されないかを確認します。変更後は、現場の作業時間と情報の不足をあわせて確かめましょう。

ステップ3:CRMのデータを会議や顧客対応で使う仕組みをつくる

次に、CRMの情報を使って判断する場面を業務に組み込みます。記録が具体的な対応に役立つと、担当者も更新する理由を理解しやすくなるでしょう。

例えば、会議では個別に作った資料より、CRMの案件一覧を確認する運用に変えます。顧客への連絡前に過去の履歴を読み、対応後に次の予定を残す方法も有効です。

活用する場面は、次のように具体化してみてください。

  • 営業会議で、進捗が止まった案件と次の対応を決める
  • 問い合わせ対応前に、過去の相談内容を確認する
  • 担当者の休暇前に、対応中の顧客と期限を共有する

情報を見て終わらせず、担当者と実施期限まで決めることが大切です。管理者自身もCRMを使い、必要な情報を更新する運用を支えましょう。

ステップ4:CRMの運用責任者を決め、研修と相談窓口を整える

運用を立て直す際は、責任者と現場の相談先を明確にします。設定変更の判断と操作上の質問を、誰が受け持つかを共有しておきましょう。

担当者が兼務する場合も、運用のための時間を確保することが必要です。役割の分け方は、例えば次のように整理できます。

役割担当する業務の例
運用責任者運用方針、改善の優先順位、評価指標を決める
システム管理担当者権限や項目の設定、連携の不具合に対応する
現場の相談担当者質問を集め、日常業務に沿って使い方を伝える

再研修は、実際につまずいている操作を中心に行うとよいでしょう。質問と回答を蓄積し、担当者が変わっても確認できるように整えてください。

ステップ5:CRMの利用状況と業務成果を継続的に測って改善する

運用を変更した後は、利用状況と業務成果の両方を確認します。入力が増えたという結果だけで、改善が完了したとは判断できません。

例えば、次のように指標を分けて確認すると、残っている課題を整理しやすいでしょう。対象者や集計条件を決め、変更前と同じ基準で比べてください。

確認する段階指標の例判断する内容
利用・記録対象業務での入力率、必要項目の更新状況業務に必要な情報が残っているか
情報活用会議での確認状況、履歴を使った引き継ぎの状況情報が具体的な対応に使われているか
業務成果対応時間、資料作成時間、受注率、継続率導入時に設定した課題が改善したか

入力は進んでいるのに成果が変わらないなら、活用方法を再確認します。指標が改善した場合も、他の施策や業務量の変化を確かめることが大切です。

短期間で成果を判断できる業務と、継続して見る必要がある業務を分けましょう。確認日を決め、結果と次の改善策を記録しておくと振り返りに役立ちます。

CRMの失敗は運用改善で解決できる?乗り換えの判断基準

CRMの失敗が疑われる場合は、運用の見直しで解決できる範囲を整理します。原因が曖昧なまま別製品に変えても、同じ問題を繰り返す可能性があるためです。

一方で、必要な業務を支えられない制約があるなら、乗り換えも選択肢になります。現在のCRMを改善する案と、再導入する案を比較しましょう。.

設定変更や運用の見直しでCRMの失敗を解消できるケース

必要な機能があるのに使えていない場合は、運用改善を先に検討します。入力項目や権限、研修の不足が原因なら、製品を変えずに対応できる可能性があるでしょう。

例えば、項目が多すぎる、更新する担当者が曖昧、会議で情報を見ていないといった状態です。まずは設定と運用ルールを変え、対象チームで改善を試してみてください。

改善前に確認する指標と振り返る時期を決めることが大切です。一定の期間を設けても課題が残る場合は、機能上の制約がないか提供会社へ相談しましょう。

CRMの機能・操作性・連携の制約から乗り換えを検討するケース

業務に不可欠な機能や連携が実現できない場合は、乗り換えを検討する余地があります。ただし、未設定や契約プランの違いによる制限ではないかを先に確認しましょう。

例えば、必要な顧客情報を関連付けられず、継続して手作業が発生するケースです。追加開発で対応できても、保守や設定変更の負担が大きくなる場合も考えられます。

判断の際は、満たせない業務要件と、現行製品で対応するための負担を整理してください。操作性への不満も、画面設定や教育で改善できる問題と分けて考えることが大切です。

CRMの再導入で失敗しないよう、移行負担と総費用を比較する

再導入を判断する際は、新しいCRMの利用料金だけでなく、移行と運用の負担を比較します。同じ利用人数・業務範囲・比較期間にそろえることが必要です。

見積もりでは、例えば次の項目を現行改善案と乗り換え案で確認しましょう。社内の担当者が対応する作業も、必要な時間として整理してください。

比較項目現在のCRMを改善する場合別のCRMへ乗り換える場合
初期の作業項目・画面・権限の見直し初期設定、データ移行、連携の再構築
教育変更した運用の説明、再研修新しい操作方法と運用の研修
継続費用利用料、必要な追加機能、保守新製品の利用料、追加機能、保守
切り替え対応設定変更中の業務への影響並行利用、旧契約の終了、履歴の保管
期待する改善現在の機能で解決できる課題現行製品の制約を解消できる範囲

費用対効果は、期待する改善と、それを得るために必要な費用を照らして判断します。過去に使った費用だけで継続を決めず、今後の費用と成果に目を向けることが大切です。

なお、作業時間の削減は、そのまま人件費の支出減少になるとは限りません。顧客対応に回せる時間が増える効果も含め、自社の評価方法を決めて比較しましょう。

まとめ:CRMの失敗原因を見極め、導入準備と運用改善を進めよう

CRMの失敗は、利用されない状態だけでなく、情報を成果につなげられない状態にも表れます。導入の目的、現場の入力負担、運用体制などを確認することが大切です。

導入前は、解決する課題と評価指標を定め、実際の業務で使えるかを試しましょう。導入済みなら、現場の不満を整理し、入力・活用・支援体制の順に見直してください。

運用で解決できる問題と、製品の制約による問題を分けることも必要です。乗り換える際は、移行と教育を含めた総費用で比較するとよいでしょう。

まずは、CRMで改善したかった業務を一つ選び、現在の状況を確認してみてください。小さな改善を継続し、売上や業務効率への貢献を確かめながら運用を育てていきましょう。

SFAは活用されてこそ意味がある

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