更新日:2024/07/26
「KPI」と「KGI」の意味と設定方法を徹底解説!似ているようで似ていない「OKR」とは?
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
「KGI」「KPI」という言葉を耳にしたことはありますか?
マーケティング会社で働いている方や、チームをまとめる管理職の方はよく使う言葉かと思います。
ビジネスにおいて、目標設定と目標達成までの過程は非常に重視されますが、その際欠かせない指標が「KGI」と「KPI」です。
今回は、「KGI」「KPI」に焦点をあてつつ、よく一緒に使用される「OKR」についても解説していきます。
この記事の目次はこちら
KGI(Key Goal Indicator)とは
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」を意味します。
「最終目標」として設定されるもので、ビジネスのゴールを明確に設定します。
そのため、KGIには売上高や成約数、といった指標が多くのケースで設定されます。
また、KGIは客観的に見て理解、評価ができるように数値や時期を設定します。
「携帯ショップの営業」を例に、KGIの設定を考えてみましょう。
・既存顧客のうち50%の契約更新
このような設定が考えられます。
なお、誰から見ても目標を認識できるよう、定量的に設定する必要があります。
KGIは会社や個人の目標値となり、一定期間の結果を計測するための指標となります。
このKGIを達成するために、後述するKPIの設定が必要になります。
KPI(Key Performance Indicator)とは
対して、KPIは「Key Performance Indicator」の略です。
日本語では「重要業績評価指標」を意味します。
KPIは最終目標(KGI)を達成するまでの中間指標を指します。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに「最終目標を達成するまでの小さな目標」のイメージです。
こちらも先ほどの携帯ショップを例に説明します。
このショップにAさん、Bさん、Cさんという3人の営業担当がいるとします。
「毎月200件の新規受注」のために、能力を加味した上でAさんに80件、Bさんに60件、Cさんに60件の月の受注目標を設定しました。
この受注目標を達成するために、Aさん、Bさん、CさんにKPIを設定していきます。
1ヶ月を20営業日とした際の1日あたりの受注目標と、過去の実績からの受注率を下記のように想定します。
Bさん:1日受注目標3件 受注率25%
Cさん:1日受注目標3件 受注率20%
上記から、各営業に1日あたり必要な商談数を設定することができます。
Bさんに必要な商談数 = 受注目標(3件)/ 受注率(25%)= 12件
Cさんに必要な商談数 = 受注目標(3件)/ 受注率(20%)= 15件
つまり、Aさんは毎日14件、Bさんは毎日12件、Cさんは毎日15件の商談を行うことが、最終的な受注目標を達成するためのKPIと言えます。
このようにしてショップの管理者は各営業担当のKPIを設定できます。
KGIと同じくKPIも、具体的な数値でいつまでに行うかを明確にすることが重要です。
OKR(Objective and Key Result)とは
OKRは、「Objective and Key Result」の略で、日本語では「目標」と「主要な結果」を表します。
こちらは「組織と個人の行動方針を統一させること」を目的とした目標管理のフレームワークです。
組織の目標達成を考えた際に、達成すべき目標(Objective)と主要な結果(Key Result)を各部署にリンクさせ、各員がやるべきことを明確にすることができます。
「KGI」「KPI」「OKR」をざっくり説明したものが、以下になります。
KPI:目標達成のためのプロセス(定量的)
OKR:ゴール(定性的)と目標プロセス(定量的)
OKRは目標が定性的(数字で測れないこと)である必要があります。
また、上記のほかに対象が異なります。
「KGI」「KPI」は”プロジェクト”、”チーム”、”個人”での目標達成指標に使用されるのに対し、「OKR」は”企業と社員”全体が対象になります。
なお、「OKR」「KPI」「KGI」は併用が可能です。
社員全員が目指す目標「OKR」を設定し、その目標を達成するために、定量的な指標「KPI」を使用するとよいでしょう。
世界的に有名なGoogle社やFacebook社がOKRを導入したことにより、「OKR」という言葉の知名度は一気に広がりました。
日本ではメルカリ社などで導入されています。
KPIのメリット
KGIやOKRよりも一般的に浸透しているのがKPIではないでしょうか?
多くの企業で採用されるのには、もちろん理由があります。
ここではそのKPIに着目し、使用する際得られるメリットを3つ紹介していきます。
タスクに優先順位をつけられる
KPIを設定すると追うべき数字が見えるようになり、1日のタスクの優先順位をつけやすくなります。
最終目標であるKGIはKPIの積み重ねで達成につながります。
進行中のタスクの「緊急度」と「重要度」、いずれも高いか低いかを判断し、行動する必要があります。
先ほど紹介した携帯ショップの例を思い出してみましょう。
Bさんに必要な商談数 = 受注目標(3件)/ 受注率(25%)= 12件
Cさんに必要な商談数 = 受注目標(3件)/ 受注率(20%)= 15件
Aさんに焦点を当てると、1日のKPIは「商談数14件」でした。
とはいえ、1日の活動時間の100%をKPI達成のための活動に充てられる訳ではありません。
他のタスクに時間をとられ、KPIの未達成が続いたら、KGIである受注目標は達成できないでしょう。
KPI達成を前提ととらえ、突発的に発生するタスクに対応していく必要があります。
ただし、突発タスクに関しても優先度は意識しましょう。
例えば「Aさんにはお世話になったので、家族全員の携帯をAさんの会社に切り替えようと思っています。」と連絡があったとしたら、優先度を上げるべきですよね。
KPIには設定されていませんが、KGI達成のために、優先的に対応すべきタスクに位置付けられるかと思います。
KGI・KPIを設定し、タスク一つ一つの貢献度を考えることで、優先度をつけやすくなります。
進捗を可視化できる
KPIを設定すると、目標に対する進捗を定量的に計測できるようになります。
これにより、とるべき行動に細かな修正を加えることが可能になります。
しつこいようですが、携帯ショップの例で見てみましょう。
Aさんの目標商談数は1日当たり14件、1ヶ月(20営業日)当たり280件ですが、前半10営業日終了時点で100件しか商談ができていなかったものとします。
本来なら前半10営業日時点で140件(1ヶ月280件の目標に対して50%の進捗)必要になりますよね。
よって、後半10営業日で不足分を補わないと、目標達成は厳しくなることが予想されます。
このように、KPIが設定されていることで、KGI(ここでは受注目標)に対しての進捗を日単位や月単位で計測し、作業バランスの調整を行うことができます。
また、大切なのは管理者、もしくは行動者自身が商談数を正確にカウント・報告することです。
報告される情報が誤っていると、正しい計測はできません。
そのため、漏れなく、正確な数値を報告する意識・体制を整えることが大切です。
モチベーションアップにつながる
目標達成を考えた際に「KGI」だけを設定してはいけません。
現実味がなく、なかなか見えてこない目標を追い続けることは、普通難しいものです。
「KPI」も一緒に設定することで、短期的に追う「KPI」という小さな目標ができます。
1つずつ追うことで、達成感や自信につながり、モチベーションを高めることができます。
度々ですが、先ほどの携帯ショップを例に説明します。
営業Aさんのゴール(KGI)は月間80件の受注、一方でKPIは月間280件(週で70件、日で14件)の商談です。
KPIを設定することで、1週間、1日、1時間単位の目標を数字で追えるようになります。
- 1ヶ月で80件の受注を追ってくれ!
- 1日15件、1時間で2件の商談を頑張ろう!
後者の方が、目標として追いやすくありませんか?
KGIの達成が一番の目的なのは事実ですが、KPIを1つずつ達成することで直近の目標進捗や日々の成長を実感することができます。
当たり前ですが、社員一人一人のモチベーションを高めることは、目標達成には重要ですよね。
適切な「KPI」「KGI」の設定方法
KPIは便利な指標で、多くの企業で使用されています。
ですが、実はこのKPI、設定を見誤っている企業が意外にも多いのです。
- KPIを多く設定しすぎて社員に浸透しない
- KPIの設定値が低すぎて、KGIを達成することができなかい
などが悪い例ですね。
肝心のKGIを達成できるかは、「KPIの質」が大きなカギを握っています。
ここではKPIの設定について説明します。
KPI設定の3ステップ
●ステップ1 具体的なKGIを設定する
まずは、具体的なKGIを決めましょう。
企業であれば、売上や粗利といった指標が多く使用されます。
今回は、営業マンを例に「毎月売上100万円を達成する」ことをKGIとし、これをベースにKPIを設定していきます。
●ステップ2 KPIに使用する項目を設定する
KGIが決まったら、それをKPIへ落とし込んでいきます。
まずは、KGI達成までの要因を分解していきます。
今回のケースでは、売上100万円を達成するための要因として
- アプローチ数
- 商談化率
- 商談数
- 受注率
- 受注数
- 顧客単価
…などが考えられます。
KPIとして「受注率」を追うのはある程度の母数が必要ですし、「受注数」はあまりにもKGIと近い目標指標となってしまいます。
ですので、管理のしやすさ・明瞭さを加味した上で、「アプローチ数」や「商談数」などに設定すると良いです。
●ステップ3 定量的なKPIを設定する
KPIとして見るべき要因が決まったら、それを数値へ落とし込んでいきます。
今回のケースでは、前提条件として、以下を設定します。
この営業マンの過去半年の受注率が20%であったと仮定すると…
と考えることができます。
つまり、月に10件の商談を行うことがKPIの1つと言えます。
加えて、この営業マンの過去半年のアプローチ(電話)からの商談化率が1%であったと仮定すると、
つまり、月に1000件の電話を行い、10件の商談を行うことができれば、理論上KGIを達成することが可能と言えます。
商材や営業マンのスキルによって、商談化率・受注率は変動するため、会社で一律で設定しているKPIに加え、個人の力量や取り扱い商材に見合ったKPIを設定する必要があります。
KPI設定の注意点
KPIは何でもいいから設定すればいい訳ではなく、KGI達成につながる内容・数値を設定しなければなりません。
ここでは、KPIを設定する際に気をつけるべき注意点を3つ紹介します。
KPIを設定しすぎない
KPIは1つのKGIに対して1~2つが良いとされています。
あれもこれもと手を広げていくと、やるべき行動が不明確になり、作業効率を悪くする恐れがあります。
最終的なKGIと自分の現状のスキルを理解し、1つずつ正しいKPIを設定していく必要があります。
行動だけに着目しすぎない
指標を「行動」のみに限定することも、誤ったKPI設定の1つです。
確かに行動しないことには成果は生まれませんが、行動がゴールになってしまうとKGIを見失ってしまいます。
その行動を経て得られる成果や、より少ない行動量で多くの成果を生み出すためにはどうしたらいいか。
ここまで考えた上でKPIに落とし込む必要があります。
行動者にKPIを正しく理解してもらう
せっかくKPIを設定しても、行動者が意識して追わなければ改善にはつながりません。
管理者は行動者に対して、「KPIはKGI達成のための指標である」という意識付けを徹底して行う必要があります。
漠然とKPIを追うのではなく、以下2点を伝えるようにしましょう。
KPIを達成することで、スキル改善につながること
KPIの設定を簡単に行うには・・・
上記での説明の通り、KPIを考える際にはそれぞれの営業の過去実績から案件化率や受注率を計算しておく必要があることがお分かりいただけたかと思います。しかしながら、過去のデータを集めて、さらに分析して・・・となかなか大変ですよね。そこでSFAといった営業管理ツールを活用するのがおすすめです。
案件化率や受注率の出し方
日々の営業活動をSFAに登録していくだけで、分析する際はいつのデータを出したいかを選択すれば、簡単にデータ分析が可能です!ネクストSFAでは下記のように選択するだけなのでとても簡単です。
例えば、案件化率や受注は上記の選択をするだけでキャプチャのようなグラフとデータが自動で出てきますので、マネージャーはこのグラフを確認するだけで分析することができます。単純に案件化率だけを見たいのであれば、出ている数字を確認するだけなのでとても簡単です。
また電話やメールなど、どの行動が何件で1件の案件や受注に繋がっているのかも分かるので、より具体的なKPIを考えることができるようになります。さらに他の営業と比べた時や営業グループ全体の平均と比べるとどうなのかといったことも分かるので、目標の落とし込みといった場面にも活用できます。
ネクストSFAを活用すると他にも受注の内訳を確認でき、どの経路の問い合わせが受注に繋がりやすいのかといったことも分かります。例えばセミナー経由の問い合わせの受注率が高かった場合は、来期はセミナーに力を入れようといったように目標に活かすことができます。
ぜひこの機会にご検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は「KGI」の言葉の意味や「KPI」を設定するメリットなど解説してきました。 重要なのは、「KGIから逆算して、適切なKPIを設定する」ことです。
KPIが高すぎても低すぎても、最高のパフォーマンスを維持することは難しくなります。
適切なKPIを設定するために、設定の参考となるデータ(営業であれば過去の受注率や商談化率…など)を確保するようにしましょう。
データがあれば、対象者のスキルに見合った適切な数値を設定し、PDCAサイクルを回していくことが可能になります。
皆さんもこれを機に、最適な「KGI」「KPI」設定を見直してみてはいかがでしょうか!
セガールこの記事の執筆者