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更新日:2020/07/14 

ラポールとは?ペーシングの上級スキルで質の高いラポール形成をしよう!

前回、ペーシングについて解説しました。
ペーシングには人間の心理を読み解き、信頼関係を構築するために必要な営業スキルの一つともいえます。

ペーシングのおさらいをすると、相手との歩調を合わせ、相手が考える選択を、自分の求める要求に近いものに導く手法です。

そこで今回は、ペーシングで関係を構築した後のお話をしていきます。
より深く知りたい人に向けたスキルbookとでも思っていただけたら幸いです。

ラポールって?

ラポール形成とは
ペーシングを続けることで、相手との信頼関係が構築されていきます。
この信頼関係が構築できたことを【ラポール】と呼びます。

これは、「この人だったらいいな。」「この人の言う事は信用できる」「この人が言うなら・・・」などと思ってもらえる関係ができて、初めて「ラポールが形成された」ということになります。

ラポールが形成されると、ようやく本格的に変化を引き起こす働きかけが可能となります。

質の高いラポール形成に向けたスキル

ラポールを形成するためにはペーシングが必要不可欠なので、ラポール形成へ向けたペーシングの上級スキルを紹介していきます。

相手がどのタイプを見極めよう

初めに、私たち人間は【聴覚 / 視覚 / 嗅覚 / 味覚 / 触覚】の五感を通し、情報を処理しています。
そこで、心理学の「NLP」では、この五感を3つのタイプに区分しています。

聴覚タイプ・視覚タイプ・身体感覚タイプ

人間は、その情報処理を行う上で「得意な感覚」があることがわかっています。
それがこの3つのタイプ。

では、3つのタイプの特徴から紹介していきます。

●聴覚タイプ

聴覚タイプの人は、音楽・会話などが好きな傾向があります。
雑音は好まず、集中したいときは静かなところを求めてしまいます。
そして、人の声を覚える人が多く、少しの声の変化にも気づく人が多いと言われています。

【インプットするとき】
・音や言葉で理解や覚えようとします。
・基本的に相手を見るというよりも、耳を傾ける傾向があります。

【アウトプットするとき】
・視線が左右に動きやすい傾向があります。
・話し方は、論理的でわかりやすい説明を得意とします。
・「え~」などの非言語や「ザーザーに雨が降っている」などの擬音語を使う傾向があります。

また、「何の話かわからない」や「うるさい」など聴覚に関わる表現をする人が多くいます。

●視覚タイプ
視覚タイプの人は、デザインや外見で物事を判断する傾向があります。
記憶する際には絵やイメージで物事を整理し、理解します。

【インプットするとき】
・図や映像などで理解を深めようとします。
・話を聞くときは話している相手をよく見て話を聞きます。

【アウトプットするとき】
・自分が話しているときは上を見る傾向があります。
・比較的早口で、話の展開が早いと言われています。
・頭に描かれたイメージを表現しようと、話しながら手が動く人が多くいます。

また、「話が見えない」「今後のビジョンは…」など視覚に関わる表現をする人が多いです。
●身体感覚タイプ
身体感覚タイプの人は、人の近くにいることが好きなタイプです。
居心地の良さを好む人が多い傾向にあります。

【インプットするとき】
・理解や記憶するときは、においや味、触感などの体感で理解しようとする傾向があります。
・何かに触れながら、話を聞く人が多く、話が長かったり、情報量が多いと稀についていけない人が多いです。

【アウトプットするとき】
・基本的に、資格は下を向きやすい傾向があります。
・話す速度や動作は比較的ゆっくりで、感情や気持ちを身振り手振りで伝えようとする人が多いです。

また、「内容がつかめない」や「イイ感じ」などの感覚や体感に関わる表現をする人が多くいます。

タイプ別のペーシング

基本的に人は聴覚・視覚・身体感覚の3つタイプによって、動き始めます。

例えば、夏にこの3タイプの人と海に行ってもらい感想を聞いてみるとします。

  • 聴覚タイプ:さざ波を聞きながらパラソルの下でゆっくりできた~
  • 視覚タイプ:海がすごいきれいで、写真が映えた!
  • 身体感覚タイプ:暑かったから海が本当に気持ちかった!

のように、聴覚、視覚、身体感覚はそれぞれ、それらしい回答を聞かせてくれるでしょう。
このタイプを見分けることができると、ペーシングがうまくいき、より深いラポールが形成されます。

私たちが何かを伝えたいとき、無意識に優先して情報を処理し、伝えようとするので、ペーシングを成功させたいなら、各タイプの「目の動き・表現・動作」をよく観察して3つのタイプに合ったペーシングを心掛けましょう。

各タイプのリーディング時のポイント

  • 聴覚タイプ:内容が論理的な内容になっているか
  • 視覚タイプ:図や絵のように見てわかる物を活用する
  • 身体感覚タイプ:一つ一つ噛み砕きゆっくりと進行させる

相手の価値観を引き出して理解しよう

価値観
「価値観を引き出す。」
それは、相手の大切に思っていることを引き出すと言う事です。
決してスキ・キライに関わらず、家族、仕事、人間関係、お金、経済など、人の人生には様々な現状や場面で大切にしているものが必ずあります。

「成長」「挑戦」「結果」「笑顔」「元気」など、シンプルな名詞形で表されます
これから話すのは、価値観を引き出し、理解をするために必要なお話です。

●価値観を引き出す質問例

  • あなたの大切なものは何ですか。
  • あなたが求める満足とは何ですか。
  • 何を避けたいですか。
  • 無くてはならないものを教えてください

この質問に、名詞形で表されたキーワードを盛り込み、話をしていきます。
例えば、冷蔵庫を買うために家電量販店に足を運んだお客様に店員が質問をします。

「お求めの冷蔵庫で、なくてはならないものとは何ですか?」

するとお客様は、

「赤ちゃんがいるので、使いやすい機能性ですかね。」

と回答してくれたとします。

ココで、考えるのは、お客様の価値観に沿った冷蔵庫の提案です。
ただ、「使いやすい機能性」だけでは、お客様が本当に求めているものがわかりません。
そこで、何が使いやすいのか、少し深堀った質問をしていきましょう。

店員「使いやすい機能性をお求めなのですね。
いくつか機能性の優れたものがありますが、他に、欠かせないものはありますか?」

お客様「そうですね、冷凍庫が広いものを探しています。」

店員「なるほど、冷凍庫の広さですね。かしこまりました。
ではもう一点、お客様の求める満足とは何ですか?」

お客様「そうですね、節電できるものだと凄く嬉しいです。」

これだけ聞けば、お客様が求めている冷蔵庫がいくつかに絞れます。

店員「では、お客様がお求めの使いやすい機能性で、冷凍庫が広く節電に優れた冷蔵庫はコチラの2つがおすすめです。1つ目は、○○の機能と〇〇です。2つ目は○○の機能に○○が付いた〇〇となっています。」

というような流れでセールストークを進めていきます。
省略をしているので、実際のセールストークとは多少異なりますが、重要なポイントを押さえることで、お客様の価値観に沿ったご要望の提案が可能となります

名詞形で表された価値観のキーワードを引き出すためにはペーシングでラポールが形成されていないと本音や価値観を共有してくれません
ただ、質問をすればいいだけではなく、土台ができて初めて手に入る情報だと考えましょう。

無意識に考える思考フィルターを理解しよう

無意識フィルター
無意識に考える思考フィルターとは、人が自覚することなく、物事をどのように認識し、考えを進めるのかorどう処理していくのかを決めていくことを言います。


これは、元々「メタプログラム」と言われてきましたが、現在ではLABプロファイリングの一つと言われています。
LABプロファイリングは、言葉(Language)と行動(Bahaviol)の関係を分析し、その人の言葉遣いから相手の行動を予測するものです。

無意識に考える思考フィルターの1つには、【問題回避型】【目的志向型】の2つに分けられている「動機の方向性」があります。
では、これがどういうものなのか、お話ししていきます。

例えば…
スポーツジムに通う人に「何のためにジムに通うのですか?」と聞きます。

問題回避型の人は…「メタボ防止のため」「太りたくないから」
目的志向型の人は…「きれいな身体づくりのため」「いつまでも若々しくいたいから」
と答えます。

双方の返答を見ると、「何か問題などを避けるための答え」か、「何かを得ようとする答え」で分かれている事がわかります。

これは、「動機の方向性」で、無意識のうちに働く方向性が二通りあると言う事です。

そのため、問題志向型の人にスポールジムを勧める時に、
スポーツジムに行けば、きれいな身体作りができるよ。」と勧めるよりも、
メタボ予防のためにスポーツジムはおすすめだよ。」と勧めてあげた方が、より無意識にある動機に刺さりやすくなると言う事です。

人間は、無意識で使っている言葉は、その情報処理の傾向が出ており、ラポール形成を得意とする人たちは、これらを熟知しているのです。

まとめ

ペーシングからラポール形成を行うために、相手の思考を読み取ることが重要です。
信頼関係を築くために必要なスキルなので、ビジネスにも大いに活躍できるスキルです。

これらは掘れば掘るほ奥深く、そして、とても重要なスキルなことがわかります。

顧客の信頼を得ているビジネスマンは、必ず相手の心をくみ取り、受け取れる準備をしてから話し始めます
そして、相手が安心感を覚え、打ち解けた時が、ラポール形成が成功したと言えるのです。

営業スキルとして、顧客に信頼されたい人、人に好感を持ってもらいたいと思う人、誰かに影響力を及ぼしたいと思う人の中でも、一歩先を行きたい人は、是非これらのスキルに挑戦してみてください。

SFAは活用されてこそ意味がある

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