受注確度とは?管理するメリットや方法、確度を高めるポイント、おすすめの管理ツールを解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
受注確度とは、顧客が実際に商品やサービスを発注してくれる可能性を表す指標のことです。
営業活動において、全ての商談が成約に結びつくわけではありません。営業担当者は限られたリソースを効果的に活用し、受注確度の高い顧客を見極める必要があります。受注確度を適切に判断するには顧客情報の分析が不可欠ですが、複数の部署や担当者によって情報がばらばらに管理されることも多く、顧客情報全体を把握するのは容易ではありません。
受注確度を適切に判断し、営業活動を効率化するには、顧客情報を一元管理できる専用ツールの導入が有効です。
本記事では、受注確度を管理するメリットや判断する際のポイント、受注確度を管理するためのおすすめのツールなどを解説します。営業活動の成果向上・効率化を目指す営業担当者さまは、ぜひ本記事を参考にしてください。
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受注確度とは?
受注確度とは、企業の営業担当者が自社の商品やサービスを顧客に提案する際に、顧客が実際に商品やサービスを発注してくれるかどうかの可能性を表した指標のことです。
顧客が持つ複数の要因から受注の見込みが高いと判断された顧客は「受注確度が高い」、反対に受注の見込みが低い、または受注までに時間がかかると判断された顧客は「受注確度が低い」と表現されます。営業担当者が受注確度を考慮せずに営業活動を続けていると、発注の見込みがある顧客へのアプローチができずに販売機会の損失につながる可能性があります。
受注確度を管理するメリット
受注確度を管理することで、次のようなメリットが期待できます。
- 受注見込みの高い顧客の特定
- 売上予測の精度向上
- 効果的な営業戦略の策定
- 営業リソースと営業手法の最適化
受注見込みの高い顧客の特定
受注確度を管理することで、受注の可能性が高い顧客を客観的に見極めることが可能です。これにより営業担当者は優先順位の高い見込み客にリソースを集中させることが可能となり、無駄な時間や労力を削減できます。また、受注の見込みが低い顧客に対しては必要以上に時間を割かずに済むため、業務効率が向上し営業チーム全体の生産性も高まります。
売上予測の精度向上
受注確度を管理することで売上予測の精度向上も期待できます。正確な受注確度に基づいて売上を予測することで、経営戦略や予算計画をより現実的に策定可能です。営業担当者も、自身の目標達成に必要な案件数やアプローチ方法を明確に把握できるため、効率的な営業活動につなげられます。
効果的な営業戦略の策定
さらに受注確度の管理によって売上予測の制度が向上すれば、効果的な営業戦略を立案可能です。例えば、受注確度の高い顧客が多い月などには、その顧客へのアプローチを強化し早期の成約を目指せます。一方、受注確度の低い顧客が多いときには、受注確度を高めるための施策や新規開拓に注力する戦略を取ることが可能です。こうした柔軟な戦略立案により営業活動の成果を伸ばせます。
営業リソースと営業手法の最適化
受注確度を管理することで、限られた営業リソースの効果的な配分が可能です。受注確度の高い顧客には直接訪問や電話などの積極的なアプローチを行い、迅速な成約を目指します。一方、受注確度の低い顧客にはメールやDMを活用し、中長期的に関係を構築していきます。
このように、それぞれの顧客に応じた営業手法を選択することで、営業活動全体の効率化につなげましょう。
受注確度を管理する方法
受注確度を適切に管理すると成約率の向上や営業戦略の効率化につながります。受注確度を適切に管理する方法は以下のとおりです。
- BANT条件の活用
- 見込み顧客のランク付けとグルーピング
- リスト化による優先順位の可視化
BANT条件の活用
受注確度を管理する方法の1つが、各案件のBANT条件を確認することです。BANTとは以下の頭文字で構成されるフレームワークを指します。
- B:Budget(予算)が組まれているかどうか
- A:Authority(決裁権)を持つ相手に提案できているかどうか
- N:Needs(必要性)を感じているかどうか
- T:Timeframe(導入時期)はいつ頃になりそうか
例えば、予算が組まれていない状態では、顧客が乗り気であっても成約に至る可能性は低いでしょう。
BANT条件を活用するには顧客からそれぞれの情報をヒアリングする必要があります。トークスクリプトやマニュアルを作成して、失礼にならないように予算や決裁権の有無などに関する情報を聞き出すようにしましょう。
ここではBANT条件を構成するそれぞれの項目について詳しく解説します。
Budget(予算)
自社の商品やサービスを提案したとしても、顧客の予算に収まっていなければ発注の可能性は低くなります。一方、商品やサービスの価格が顧客の予算内であれば発注可能性は高まるでしょう。
Authority(決裁権)
一般的に企業が商品やサービスを導入する場合、役職や金額に応じて決裁権者が異なります。例えば、部長であれば100万円まで、役員であれば1,000万円までといったように、企業ごとに決裁権が設定されています。商品やサービスを提案している担当者に決裁権がある場合、スピーディな発注が期待できるでしょう。
一方、担当者に決裁権がない場合、発注までに時間がかかる可能性があります。受注確度を高めるのであれば、決裁権者の同席を提案するのも効果的です。
Needs(必要性)
顧客に予算や決裁権があったとしても、必要性がなければ発注にはつながりません。しかし、顧客の担当者が必要性を感じていなかったとしても、潜在的な課題が隠れている可能性があります。また、提案時に課題がなくても、その後に発生する可能性もあるでしょう。そのため、担当者への丁寧なヒアリングに加えて、良好な関係性を維持するのも大切です。
Timeframe(導入時期)
商品やサービスの導入時期が未定な場合、発注にはつながりにくいでしょう。導入時期が未定であれば、いつ導入できるかが分からない理由を聞き出して、導入時期を提案することが有効です。
見込み顧客のランク付けとグルーピング
受注確度を管理するには、見込み顧客のランク付けとグルーピングをしましょう。ランク付けとグルーピングの結果に応じて、それぞれの顧客に適した方法でアプローチします。
見込み顧客のランク付けとグルーピングに用いられるのもBANT条件です。ランク付けとグルーピングの一例は以下のとおりです。
- BANT条件の3つ以上を満たしている=Aランク(受注確度9割以上)
- BANT条件の2つ以上を満たしている=Bランク(受注確度5~7割)
- BANT条件を1つのみを満たしている=Cランク(受注確度3割以下)
上記のうちランクAの顧客は受注確度が高いのですぐに成約につなげられるグループです。ランクB、Cの顧客はまだ受注確度は高くないので成約まで時間がかかると判断できます。ランクB、Cの顧客に対しては、それぞれのニーズを把握した上でアプローチすることが大切です。
リスト化による優先順位の可視化
受注確度を管理方法の最後は、リスト化によって優先順位を可視化することです。リスト化する際はグルーピングした顧客をランク順に並べます。顧客をランク順に列挙することで、従業員全員が顧客情報を客観的に確認可能です。
リスト化する際はExcelが用いられることがよくありますが、メールへの添付ミスなどによって顧客情報の漏えいにつながりかねません。そのため、専用のツール導入を検討しましょう。専用のツールであれば顧客の情報をスピーディに反映可能です。
受注確度を高めるためのポイント
受注確度を高めるためには、次の3つのポイントを押さえましょう。
- 自社と顧客の状況を分析する
- 顧客との信頼関係を構築する
- 営業プロセスの改善と効率化を図る
自社と顧客の状況を分析する
受注確度を高めるためには自社と顧客の状況を分析しましょう。自社が置かれている状況を判断する際は、市場の需要や競合を分析します。市場において自社がどのような立ち位置なのかを分析すれば、自社にどのような強みがあるのかを把握できます。
また、顧客の状況を分析する際にはどのような属性やニーズを抱えているかを、顧客へのヒアリングを通じて聞き出しましょう。顧客の状況を分析したらグループ別に細分化して、自社のターゲットとなるかを導き出せます。自社のターゲットとなりえるグループにリソースを割けるため、効果的に受注確度を高められます。
顧客との信頼関係を構築する
顧客との信頼関係を構築することも受注確度の向上に効果的です。顧客との信頼が構築されていない場合、よほど喫緊の状況でなければ発注は期待できません。そのため、受注確度の高い顧客を中心にコミュニケーションを取り、顧客の抱えている課題を聞き出して解決策を提案しましょう。
顧客との信頼関係構築にあたっては、次のようなポイントを押さえましょう。
- 接触頻度を高める
- 相互理解を深める
- ミスをしてもすぐに対処する
接触頻度を高める
顧客と信頼関係を構築するにはまず接触頻度を高めましょう。会う頻度が高い方が好感を持たれやすく、これを心理学ではザイオンス効果(単純接触効果)といいます。
ただし、むやみに顧客と接点を増やしたとしても効果的ではありません。接触したタイミングで顧客が求めていない情報を提供しても信頼関係構築にはつながらないため、接触する際は顧客にとって有益な情報を提供することが大切です。
相互理解を深める
相互理解を深めることも顧客との信頼関係構築に有効です。相互理解を深めるためにはアクティブリスニングを行ってみましょう。アクティブリスニングとは傾聴姿勢と呼ばれるコミュニケーション手法です。
相手の意見に同意する姿勢や共感していることを伝えることで相手の本音を引き出し、相互理解を深めます。
ミスをしてもすぐに対処する
顧客とのやり取りをしているとミスが発生するときもあります。このようにミスが発生した際であっても、すぐに対処することで顧客からの信頼につながります。ミスをしたときこそ迅速な対応を取ることで、さらに信頼関係が強固になる可能性もあります。
営業プロセスの改善と効率化を図る
受注確度を高めるには営業プロセスの改善と効率化を図ることも大切です。
例えば、営業チーム同士で情報をリアルタイムに管理・確認できるツールを導入する方法があります。ツールを活用すれば、顧客情報管理にかかる時間を削減でき、顧客との商談や提案資料作成など本来の営業活動に注力することが可能になります。
その結果、顧客ニーズへの理解が深まり、受注確度の向上につながるでしょう。
受注確度の管理にツールを導入するメリット
受注確度の管理にはツールを導入することで、顧客に関する情報を一元管理できます。複数の部署や担当者が関わっていると情報が別々の場所に保管されている状態になり、顧客情報の全体を把握できません。
一方、ツールを導入すれば、入力すべき情報を統一できる上に、情報共有もスムーズになります。またExcelのような表計算ソフトで情報を管理している場合、手入力によるミスが起こりがちですが、専用ツールならヒューマンエラーを軽減できます。
受注確度の管理を効率化するツール
受注確度の管理を効率化するツールは、主に次のとおりです。
- CRM(顧客関係管理)
- SFA(営業支援)
- MA(マーケティングオートメーション)
- プロジェクト管理
ここではそれぞれのツールの特徴や一般的に備わっている機能について解説します。
CRM(顧客関係管理)
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、顧客関係管理と呼ばれます。主な機能は顧客情報の収集と一元管理で、購買履歴や家族構成といった顧客データを効率的に蓄積・活用することができます。例えば、顧客の商品購入履歴から消耗品の買い替え時期を予測し、営業アプローチの適切なタイミングを見極めれば、受注確度を高めることが可能です。
CRMの主な機能の一部を紹介します。
顧客管理
顧客管理機能は顧客の基本情報に加えて、いつ商談したのか、どのような内容を商談したのかなどを記録できます。また、過去の問い合わせ内容も顧客管理機能によって確認可能です。
顧客分析
顧客分析機能は、ツールに蓄積された情報から自社に優良な顧客を抽出できます。また、設定した指標に沿って顧客をランク付けできるツールもあるため、受注確度の高さを判断可能です。
顧客サポート
顧客サポート機能は顧客からの問い合わせ内容を管理する機能です。顧客からの問い合わせ履歴や回答状況を可視化できるので、対応漏れを防止できます。製品によっては、頻繁に寄せられる質問を履歴から抽出してFAQ(よくある質問)としてまとめたり、問い合わせフォームを生成したりできるので、顧客対応の質向上に役立ちます。
SFA(営業支援)
SFAはSales Force Automationの略で、営業支援システムと呼ばれます。CRMは顧客との関係性を構築するためのツールなのに対して、SFAは営業担当者の活動や保有する顧客情報を収集・管理して、営業のプロセスを可視化したり、管理を効率化したりするためのツールです。
SFAに備わっている主な機能を紹介します。
顧客管理
SFAの顧客管理機能では担当者が受け取った名刺や顧客情報を管理できます。中には、外部システムと連携して情報を取り込むことで情報を更新できるものもあります。
案件管理
SFAの案件管理機能では営業担当者、営業の進捗状況、受注の見込みなど、詳細な項目に沿って情報を管理可能です。案件管理機能を活用することで、これまでかかっていた負担やタスクの共有漏れを防止できます。
商談管理
商談管理機能によって商談がどの程度進んでいるのかを管理できます。SFAの商談管理機能は電話やメール、チャットなどでの顧客とのやり取りを自動で取り込めるため、情報共有が漏れてしまうというリスクを回避可能です。
MA(マーケティングオートメーション)
MAはMarketing Automation(マーケティングオートメーション)の略です。MAを活用することでマーケティングに関わる業務を自動化できます。マーケティングは潜在顧客の発掘から顧客獲得、購買・成約に至るまでの活動を指します。顧客へのアプローチ方法はさまざまなので別々に管理されがちですが、MAを活用すればその活動から得た情報の一元管理が可能です。
MAに備わっている主な機能を紹介します。
リード管理
リード管理機能は見込み顧客を管理する機能です。以下のような情報を紐づけて見込み顧客を管理します。
- 氏名や属性
- 過去の取引履歴
- セミナーの参加有無
- 資料請求の有無 など
通常、上記のような情報はバラバラに管理されがちなため、受注確度を分析しようとしても情報収集に時間がかかってしまいます。MAを活用すれば見込み顧客の情報を一括管理できるため、スムーズな受注確度分析を実現可能です。
スコアリング
スコアリング機能はMAで管理している見込み顧客を数値で評価します。例えば、メールマガジンの開封率やサイトへの訪問回数などをベースに評価するため、受注確度が高い顧客であるかどうかを判断しやすくなります。
レポーティング・分析
レポーティング・分析機能は顧客の行動分析やスコアリングの結果、複数のデータなどを分析してレポートする機能です。手動でさまざまな情報を分析しようとした場合、時間がかかってしまいますが、MAのレポーティング機能を活用することでスピーディな分析が可能です。
プロジェクト管理
プロジェクトを効率的に進めるサポートとして役立つのがプロジェクト管理ツールです。受注確度の高い案件の進捗管理に適しているでしょう。
プロジェクト管理ツールの主な機能を紹介します。
進捗管理機能
プロジェクト管理ツールにはプロジェクトに関するタスクを管理する進捗管理機能が備わっています。進捗管理機能では、縦軸にタスクや担当者、期日などを、横軸に日時や進捗を記載するガントチャートを作成可能です。ガントチャートを作成することで受注確度の高い案件の進捗状況や受注予定日などを視覚的に把握できます。
チャット機能
プロジェクト管理ツールにはチャット機能が備わっているため、別のツールを立ち上げることなく、受注確度の高い案件の情報を共有しやすくなります。また、プロジェクト管理ツールによっては画像やExcelデータなどの資料をチャットに添付可能です。メールを立ち上げるよりもスムーズに資料を共有できます。
社内Wiki機能
社内Wiki機能が備わっているプロジェクト管理ツールであれば、案件についてのノウハウを蓄積可能です。受注確度に応じた営業手法をWikiに掲載することで、新人の営業担当者の教育にも役立てられます。
受注確度を管理して成約率向上を目指すなら専用ツールを活用しよう
受注確度とは顧客が実際に商品やサービスを発注してくれるかどうかを表す指標です。受注確度が高ければ発注の可能性が高く、低ければ発注の可能性が低くなります。受注確度を適切に管理し確度の高い顧客を見極めれば、効率的な営業活動の推進につながります。
受注確度を管理して成約率の向上を目指すなら、専用ツールを活用するのがおすすめです。専用ツールにはSFAやCRM、MAがあります。
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