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更新日:2020/11/02 

EDIとは?|EDI導入メリットから今後の課題まで

一昔前まで電話やFAXで行われてきた取引業務ですが、
EDIを利用することで業務効率を大幅に上げることが可能になり、
今ではEDIが企業間取引において有効な通信手段の一つとなっています。

 
煩雑な紙業務からの脱却に寄与し、業務効率を劇的に改善させてきたEDI。
ここでは、EDIとは何なのか、EDIの種類・メリットについて、また、様々なメディアで取り沙汰されているEDIの2024年問題についても解説していきます。

EDIとは?

EDI(Electronic Data Interchange)とは、企業間取引で発生する受発注書や契約書、請求書、納品書といった帳票のやり取りをインターネットや専用回線を用いて処理できるシステムのことです。
情報の取り込みが自動でできるため、電話やFAXのやり取りで発生する手間が無くなり、業務効率化や正確なデータ管理に繋がります。

企業間取引情報のやり取りの自動化

企業間取引では、受発注書や契約書、請求書、納品書など、様々な帳票を用いてやり取りを行います。
これらの帳票類をやり取りする方法は電話やFAX、メールが主になりますが、受取り方法がばらばらである場合、管理面が煩雑になってしまいます。
 
こういった問題に対し、EDIは企業間取引情報を管理を統一・自動化させる仕組みが整っています。
インターネットや専用回線を利用しての、データのやり取りが可能になるわけです。

 
※EDIのイメージ
イメージ:EDIの仕組み

EDIの種類

EDIには、データを確実にやり取りするための形式や識別コードがあり、そのルールによって種類が分けられています。
EDIを有効活用するために必要な情報ですので、一つずつみていきましょう。

1.個別EDI

個別EDIとは、通信を行う識別コードや形式を取引先ごとに設定することです。
取引先ごとのルールを決める必要があります。

 
EDIのそれぞれの仕様に対応するデータ変換システムを用意する必要があるため、EDIの運用を広げづらいというマイナス面があります。
取引先が少ないような場合には問題無く利用することができます。

2.標準EDI

簡単に言うと「自社システム×標準規格」になります。
自社システムと標準の規格を繋ぐデータ変換システムを用意するだけで、同じ規格を利用する複数企業とやり取りを行うことが可能になります。
 
上記のように、異なる企業間での規格やデータ交換形式を標準化したEDIが、標準EDIです。

3.業界VAN(標準EDIの中の一つ)

業界VANは標準EDIの中の一つで、汎用性を更に高めたものを指します。
「特定の業界に特化したネットワークサービス」で、パケット通信などの技術を用いて異機種間での接続が可能です。

 
業界共通の取引先コードや商品コードも標準化されているため非常に使いやすいというメリットがあり、同業界の多くの企業と接続できます。
ただし、業界が限定されますので、取引できる企業数は減ります。

EDIのメリット

EDIは、商取引における業務効率化に大変役立ちます。
導入することで得られる4つのメリットについて説明していきます。

業務スピードアップ

EDIを利用することで、注文書の作成や送付、受注側の受付手続きといった作業が不要になります。
発注側が入力した注文データが、直接相手のコンピュータに受注データとして登録されます。

 
また、登録された受注データは、請求書や納品書の作成、出荷の手配に流用可能で、これらの業務に割かれていた時間と手間を軽減させることができます。

 
こういった業務のスピードアップが、EDI導入による最大のメリットといえます。

コスト削減

前述の通り、EDI導入には受発注に関わる作業の大幅な効率化に寄与します。
それに伴い、システム入力や請求書作成といった業務に割く人員が不要となり、人件費の削減に繋がります。

 
また、ペーパーレス化により、取引社数が多い、もしくは取引頻度が高い場合に用紙代や書類の保管に関わる費用の削減にも効果的です。

人的ミスの抑制

受注データの入力、請求書や納品書、注文書の作成、発送、出荷の指示出しなど、従来の取引においては、多くの工程での手作業が必要でした。
このような作業におけるミスを完全になくすことは不可能です。
様々なトラブルが一定の確率で生じることは覚悟しなくてはいけません。

 
その点EDIは、注文者が入力した発注データが、そのまま受注データとして取引先のコンピュータに登録されます。
つまり、入力ミスをしたり指示を出し忘れるといった「人的ミスが起こりやすい工程」自体なくなり、結果としてミスを減らすことができます。

供給者側との取引管理の効率化

EDIを活用して供給者側とシステム連動することで、取引管理に関する効率が各段に改善されます。

注文から商品納入までの時間を短縮

この効果により、在庫数をしっかり見極めてからの発注が可能になり、在庫を過剰に抱えるリスクを軽減できます。
また、不測の事態により欠品が生じた際に、その期間を短縮させることもできます。

様々な情報の共有を簡易化

注文から納入までの取引データに製品ロット番号などの様々な情報を付帯するシステムを構築することで、追跡可能性を強化することができます。

メーカー側と供給者側の在庫把握

供給者側の在庫状況をメーカー側が把握することで、適切なタイミングで発注することが可能となり、商品不足による業務の中断といった事態を防ぐことができます。
反対にメーカー側の商品の残数を供給者側が把握することで、近々注文が発生しそうな商品の予測ができ、優先して近く注文がきそうな商品を製造する、注文数を予測して製造数を調整するという管理も可能になります。

WEB-EDIとは

昨今、従来のEDIのデメリットを補うために「Web-EDI」というシステムが開発されました。

 
基本的に電話回線を用いて相互通信を行うものが通常のEDIですが、Web-EDIはインターネット回線を利用して通信を行います。
つまり、取引に必要なやりとりをブラウザ上の共通規格のシステムでできるようになります。
 
もう少し詳しく、ポイントを見てみましょう。

ポイント①:クラウドで提供される

従来のEDIは、会社が持つ各PCにシステムをインストールして使用します。
対してWeb-EDIの多くは「クラウド」で提供されています。(7割程度と言われています)
 
PCを変更しても影響を受けませんし、ソフトウェアのアップデートもクラウド上で行われます。
コストがかからず、運用も楽になりますね。

ポイント②:ブラウザ操作だけでいいので簡単

WEB-EDIではブラウザからシステムにアクセスし、操作を行います。
これによりデバイス環境に左右されずに、Webから商取引の情報を確認することが出来ます。
 
恐らくですが、皆さんも共通のシステムにログインして何かの作業を行った経験があるんじゃないでしょうか。
一般的で多くの人が「やったことがある」作業は、感覚で入りやすい点も魅力的ですね。

ポイント③:標準化されていない

Web-EDIは標準化されていません。
つまり、自社と取引先とで仕様が異なると、使うことができません。

 
Web-EDIを導入する際は、特に通信時の「通信プロトコル」に注意しましょう。
※通信時の規約・ルールのことです

 
EDIには6つの主要なプロトコル(6大通信プロトコル)があります。
複数サポートしているものを選択するようにしましょう。

■6大通信プロトコル
 
◯ EDIINT AS2
◯ SFTP
◯ OFTP2
◯ JX手順
◯ ebXML MS
◯ 全銀協標準通信プロトコル

ポイント④:従来のEDIは移行が必要になる

2024年初頭にISDNのサービスの一つ「ディジタル通信モード」の提供を終了すると、NTT東西から発表されています。
このディジタル通信モードは、身近なところでも結構使われていて、例えば銀行ATMや警備端末、ラジオ放送などが該当します。
 
ここで話している時点でお気づきと思いますが、EDIも該当します。
つまり、「この通信を使用しているEDIは移行が必要」ということになります。

 
これが「2024年問題」と言われている事象です。
次のセクションで、EDIにおける2024年問題について解説します。

EDI-2024年問題

EDI2024年問題は、NTT東西が発表した「固定電話網IP化」によるEDI取引への影響(弊害)を指します。

 
具体的には、ISDNサービス・INSネットの「ディジタル通信サービス」が廃止されます。
これにより、EDIでの取引が従来どおり出来なくなることが明らかになっています。

廃止するサービスと廃止後の対応

まず、固定電話網のIP化が行われますが、音声サービスの継続利用は可能です。
あくまで終了するのは「ディジタル通信サービス」になります。

 
NTT東西からは、ディジタル通信サービス終了後も継続してサービスを利用するため、「メタルIP電話上のデータ通信」サービスが発表されています。

 
ですが、ディジタル通信サービスの時と同じにはならず、データ伝送遅延が発生することが調査・検証の結果確認されています。

影響範囲について

2018年に電子情報技術産業協会(JEITA)が、大手電機メーカー数社を対象にしたEDI利用調査を行っています。
結果、少なくとも4,000社以上の固定電話網を利用してEDI取引を行っている企業があり、国内産業界全体では50万社にも及ぶ、といわれています。

 
JEITA ECセンターでは、IP化に伴うEDIへの影響調査と対応策について、NTT東西、総務省、その他関係団体と連携し検討しています。

 
参考)
▶固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて
http://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20171017_01.html
▶固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行
http://web116.jp/2024ikou/

EDIとEOSの違い

最後に「EDI」と「EOS」の違いについて解説しておきます。
混同しがちかもしれませんが、EOSはEDIの一部「電子発注システム」のことです。

因みにですが、それぞれ以下の略になります。

◯ EDI:Electronic Data Interchange
◯ EOS:Electronic Ordering System

 
具体的には、発注業務に特化しているEOSに対し、EDIは受発注業務だけでなく、請求や支払い、出荷、納品まで一括で対応することができます。

 
1970年代、量販店や大手小売店でEOSが導入されるようになりましたが、当時は各企業が独自のシステムを使用していたこともあり、受注側は各々のシステムに対応する必要がありました。

 
しかし1990年代以降は電子データ交換が標準化され、さらに適用範囲が拡大したEDIが登場し、EOSに取って代わってEDIが普及しました。

まとめ

EDIは上手に活用することで、業務改善に大きく貢献してくれるはずです。
ですが、この記事を書いている2020年10月時点では発展途上とも言えます。
 
2024年問題を乗り越え、Web-EDIの標準化が進めば、企業間の取引を簡単にしてくれそうですね!
企業間のやり取りになりますので、導入の際は運用開始後をちゃんとイメージするようにしましょう。

AYUMU
AYUMUこの記事の執筆者

SFAは活用されてこそ意味がある

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