更新日:2024/11/20
ファクタリング市場の現状と将来性は?市場拡大の背景要因や今後の展望を解説!
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
近年、ファクタリングを利用して資金を調達する企業が増えてきています。ファクタリングを活用することで負債を抱えず、即日現金を手にすることが可能です。またファクタリングでは自社の経営状況だけではなく、売掛先や売掛債権も審査において重要なポイントとなるため、金融機関の審査に落ちてしまった方でもファクタリングの審査にはクリアできるというケースも珍しくありません。
日本におけるファクタリングの認知度は高くなく、あまり知られていない傾向にあります。とはいえ、ファクタリング市場は拡大している傾向にあり、今後はファクタリングを利用する方がさらに増えていくと見込まれるでしょう。
そこで本記事では、ファクタリング市場の現状と将来性について確認した上で、ファクタリング市場拡大の要因について解説していきます。その後でファクタリング市場拡大の今後の展望、ファクタリングの概要や種類などについても解説していきます。
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ファクタリング市場の現状と将来性
DX化や情報技術の発展などによって、資金調達においても手軽さや迅速さが求められるようになりました。そうした中で銀行融資や手形よりもスピーディー、かつ容易に資金を調達できるファクタリングは多くの事業主から注目されていると見受けられるでしょう。
ファクタリング市場の現状と将来性について以下4つの観点から解説していきます。
- 日本での認知度はそこまで高くない
- 手形取引に代わる手段として拡大傾向にある
- 手数料を制限する法律がない
- 悪質な業者もいる
それぞれについて詳しく解説していきます。
日本での認知度はそこまで高くない
日本においてファクタリングが導入されたのは1970年代であるものの、世間における認知度はそこまで高くありません。ファクタリングという言葉を耳にしたことがあるものの、実際にどのようなサービスであるのか理解している人は少ないと見受けられるでしょう。
ファクタリングについて怪しいのではないかと疑っている方や、ファクタリングを利用する企業は資金繰りが悪化していて倒産間近なのではないかと先入観を抱かれる方もいます。そのためファクタリングは否定的な印象を一部から抱かれていることも否定できません。
しかし海外では日本よりもファクタリングはよく認知されており、日本以上に大きな市場となっています。特に中国ではファクタリングの規模が大きく、フランスやイタリアでは近年において急速に市場が拡大しています。
こうした流れの中で日本においてもファクタリングの市場規模は増加していると見受けられるでしょう。FCIの統計データによると、2017年における取扱高は37,284単位でしたが、2019年には49,446単位となっています。将来的にはファクタリングは日本においてより認知される取引方法になるはずです。
手形取引に代わる手段として拡大傾向にある
前に述べたように日本ではファクタリング市場が拡大していますが、その要因として手形取引の衰退が関係しています。
手形取引とは額面上の金額を規定期日までに支払うことを約束した証書で、古くは江戸時代においても商取引において手形が使われていました。
しかし手形印紙の購入や各種コスト、紛失リスクなどを考慮すると、手形取引は現代において利便性に優れた方法であるとはみなせません。インターネットが発達している今日では、手形取引を行わなくても、ネット上で取引先の信用の有無を確認するなど、より容易、かつ短時間で取引を行える方法があります。
手数料を制限する法律がない
利用者はファクタリングを利用するにあたってファクタリング会社に対して手数料を支払わなければなりません。
ファクタリング会社によって手数料は異なる他、売掛債権の回収のリスクの高低によっても手数料は変わります。例えば手数料が3%以下で利用できるファクタリング会社もあれば、手数料が30%以上かかるファクタリング会社もあります。
融資では利息制限法が適応されるため法外な手数料を利用者に対して請求することは違法です。一方でファクタリングでは手数料は法的に制限されていないため、割高な手数料を設定していたとしても違法になることはありません。法整備されていないことを利用し、ファクタリング会社の中には高額な手数料を請求するなどして、利用者を追い込むような事業を展開しているような企業もあります。
ファクタリングを利用する際は複数のファクタリング会社の手数料や各種条件を比較し、自社にとってベストな選択をしなければなりません。
悪質な業者もいる
日本においてファクタリングは1990年以降に大きく成長を遂げたものの、取扱高が年によって増減するなど必ずしも右肩上がりに伸びているわけではありません。その原因には悪徳業者による被害に関してメディアが取り上げたため、ファクタリングについて不信に思う人が増えたことが含まれます。ファクタリング会社の多くがクリーンな事業を営んでいたとしても、一部の悪質な業者によって業界全体のイメージが低下したといった見方もできます。
またファクタリングは近年において利用者が急速に増えている資金調達方法であるため、法的整備が十分ではないといった状態です。そうしたことからも闇金のような業者も存在し、資金の取り立てや客観的に見ても割高な利子に悩まされる利用者もいます。
ファクタリングを利用して自社の事業を安定させるためには、利用者側が業者をしっかりと見極めなければなりません。ネット上の口コミや評判、ファクタリング会社における担当者との面談内容、公表されている情報などを精査し、安心して利用できるファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
ファクタリング市場拡大の背景要因
前述のように日本におけるファクタリングの認知度は高くないものの、近年においては利用者は上昇傾向にあります。中小企業の経営者や個人事業主を中心にファクタリングの認知度が高まっているため、将来的にはファクタリング市場が拡大していくと考えられるでしょう。
ファクタリング市場拡大の背景の要因として以下2つの観点から解説していきます。
- 手形取引の衰退
- 債権譲渡特約の無効化
それぞれについて詳しく解説していきます。
手形取引の衰退
古くから日本において商取引では手形取引が主流でした。しかし近年では手形取引の過剰コストや紛失リスクなどにも着目されるようになり手形は衰退傾向にあります。
こうした流れの中で政府は紙の手形を2026年に廃止する方針を示しました。政府による方針を受けて、これまでは手形を用いて商取引を行ってきた企業は売掛債権を用いた取引を行えるようにと少しずつ移行しています。
こうした流れにおいて手形割引を利用していた企業の多くがファクタリングを利用することになるとも予想できるでしょう。
債権譲渡特約の無効化
売掛債権の中には債権譲渡特約と称される譲渡禁止特約のある売掛債権もあります。
ファクタリングは売掛債権を第三者であるファクタリング会社に売却する仕組みであるため、この特約のある売掛債権にはファクタリングの利用は認められていませんでした。
しかし2020年に行われた売掛債権の利用についての法整備によって譲渡禁止特約のある債権の譲渡も認められるようになりました。これによって、ファクタリングをこれまでは利用することができなかった事業主についても、ファクタリングの利用が可能となったのです。
譲渡禁止特約のある債権の譲渡が認められるようになったことによってファクタリングの利用者も増えています。
手形取引の問題点
近年では手形取引における問題点についても指摘されています。手形取引はよく使われているものではあるものの、手形取引にも問題点があることを見落としてはなりません。
手形取引の問題点として以下の3つが挙げられます。
- かかるコストやリスクが多い
- 支払サイクルが長い
- 割引料が受取人の負担になる
それぞれについて詳しく解説していきます。
かかるコストやリスクが多い
手形取引では紙が用いられるため印刷や郵送に発生するコストは避けられません。その他にも保管にはスペースの確保が必要となる他、手間もかかります。
また一般に流通している約束手形とは銀行の専用約束手形用紙を使用したものです。個人や企業が自分で約束手形を作成したとしても信用性がないため認められないことがほとんどでしょう。銀行から専用約束手形用紙をもらい、運用しなければならないため手間がかかります。
支払サイクルが長い
約束手形は支払日までの期間の長さが難点です。支払日までの期間は一般的に100日までに設定されるため、金銭を受け取るまでに2カ月から3カ月程度かかります。
支払日まで日数があると企業の資金繰りが難しくなり、場合によっては事業の存続が難しくなることもあるでしょう。
一方でファクタリングであれば、手形よりも早く資金調達を行えます。2社間ファクタリングの場合は最短で1日、遅くとも数日以内には可能です。また3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも時間を要するものの、1週間程度で現金を手にできることが多いようです。
割引料が受取人の負担になる
手形割引では取引時に割引手数料を支払う必要があります。
受取人が受け取る金額は割引手数料が差し引かれた金額となるため、満額を受け取ることはできません。
手形は緊急時の資金調達方法としては便利ではあるものの、利用頻度が高い場合には収益性が悪化する原因にもなるため注意が必要です。
ファクタリング市場の今後の展望
ファクタリングの認知度は日本においても高まりつつあり、将来的にはより多くのビジネスシーンで利用されることになる資金調達方法としてみなせるでしょう。
ファクタリング市場の今後の展望として以下4つの項目が考えられます。
- 法整備が進み市場拡大が期待できる
- 手形の廃止で需要が高まる
- IT化が進むと利便性が高くなる
- 日本政府の働きかけにより発展が期待できる
それぞれについて詳しく解説していきます。
法整備が進み市場拡大が期待できる
近年においては法整備が進み、ファクタリングを利用することのハードルが下がっていると見受けられるでしょう。
1998年には債権譲渡特例法が施行され、2005年には債権譲渡登記制度が改正されました。そして2020年には債権譲渡特約の無効化が定められた他、民法の改正によって債権譲渡特約のある売掛債権についてもファクタリングが認められるようになりました。
規制緩和によってファクタリングに利用できる売掛債権は増えたため、今後はより多くの人がファクタリングを利用するようになると予想できます。
手形の廃止で需要が高まる
江戸時代から商取引において使用されていた手形ですが、手形には割高なコストや紛失のリスク、管理の負担などといった問題点があることも事実です。
前述のように政府は紙の手形を2026年に廃止する方針で進めています。政府の方針に従い、これまでは手形を用いた商取引を行っていた企業が売掛債権を活用した取引に切り替えています。手形割引を利用する企業の中にはファクタリングの利用に切り替える企業も少なくないと予想されているのです。
ファクタリングを利用することで早期に現金化を行える他、インターネット上での取引も可能です。ビジネスのスピードが加速し、リモートワークが普及している今日のニーズに合っている手法であるとみなせます。
IT化が進むと利便性が高くなる
現代社会ではあらゆるサービスにおいてIT化が進んでいます。ファクタリングもまた IT化の恩恵を受けており、契約のオンライン化やAIによる審査は一例にすぎません。
利用者はファクタリング会社に来店する必要がないため、移動時間や交通費がかからない他、地方エリアに在住されている事業主の方もファクタリングを利用することのハードルが下がりました。企業の所在地を問わずにファクタリング会社を利用できるようになったことで、今後はより多くの企業においてファクタリングが活用されると考えられるでしょう。
またITの進化などによって同業他社間における競争が激化している昨今では、ビジネスにおけるスピードも重視されています。ファクタリングは他の資金調達方法と比べても早くに現金を得られるため、スピーディーな対応が求められるシーンにおいても重宝されるはずです。
日本政府の働きかけにより発展が期待できる
日本ではファクタリングの認知度があまり高くないことからも、ファクタリングについて否定的なイメージを抱かれている方も少なくありません。
しかしファクタリングは日本政府が働きかけている資金調達方法であるばかりか、今後の発展も期待されている資金調達方法です。
経済産業省中小企業庁は中小企業者が不動産担保に依存しなくても資金を調達できるようにと、売掛債権担保融資保証制度を創設しました。
売掛先の事業者に対して行っている要請は以下の2つです。
- 風評被害の防止
- 債権譲渡禁止特約の解除
風評被害の防止ではファクタリングの利用者が売掛先などから資金繰りが厳しいのかと問われることを懸念し、売掛債権の利用は国の施策であることからも利用促進への協力を唱えています。
また債権譲渡禁止特約の解除では取引における契約で売掛債権の譲渡を禁ずる特約がある場合には売掛債権を担保として譲渡できないことを懸念し、債権譲渡禁止特約の解除の協力を周知しています。
※参考:経済産業省中小企業庁.「売掛債権の利用促進について」
ファクタリングの概要
ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却することで、債務者の決済予定日よりも早く、現金を手にできるサービスです。
企業間の取引では商品やサービスなどの提供後に代金の回収をする信用取引が一般的となっています。そのため商品やサービスなどを売ることができても即日現金を得られるわけではなく、現金を手にできるまでには1カ月程度かかるのが一般的です。しかし売掛債権を現金化できるまでの期間にも従業員の給与や施設のメンテナンス費、家賃などさまざまな支払いが発生します。場合によっては売掛債権の現金化までの期間が先であることを理由に黒字倒産してしまうこともあるでしょう。
ファクタリングは短期間で現金を手にできることから急に現金が必要になった場合や銀行融資を得られるまでの期間に利用されることも多いです。
ただしファクタリングを活用すると手数料が発生するため、手元に入るお金は本来得られるはずの金額よりも少なくなることを覚えておいてください。
ファクタリングの種類
ファクタリングには種類があります。自社の経営状況や信頼度、資金調達を完了させたい日までの日数などによって、利用すべきファクタリングは異なるため注意してください。
ファクタリングの種類として以下の2つが挙げられます。
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
それぞれについて詳しく解説していきます。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングとはファクタリング会社と利用者の間で行われるファクタリングです。このファクタリングを行うためには売掛先から合意を得る必要はないため、売掛先にファクタリングを行う旨を伝える必要はありません。
2社間ファクタリングの流れはおおよそ以下になります。
- 利用者に売掛債権が発生
- 利用者はファクタリング会社に対して売掛債権を売却する
- ファクタリング会社は売掛債権の買い取りを行う
- ファクタリング会社は利用者に手数料を差し引いた分の売掛債権の額を振り込む
- 利用者に売掛先から売掛債権の振り込みが行われる
- 利用者はファクタリング会社に対して受け取った売掛債権を返済する
2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社のみの取引となるため審査が完了するまでのスピードは早く、場合によっては即日中に現金を得ることが可能です。
ただし2社間ファクタリングにもデメリットがあり、手数料の高さや審査の厳しさなどが挙げられます。これらはファクタリング会社と売掛先との直接的な取引がなく、ファクタリング会社は債権の回収に高いリスクがあることと関係しています。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングとは利用者、ファクタリング会社、売掛先の3社間で行われるファクタリングです。このファクタリングは売掛先がファクタリング会社に売掛金の支払いを行う仕組みであるため、利用者は売掛先に合意を得なければなりません。
3社間ファクタリングの流れはおおよそ以下になります。
- 利用者に売掛債権が発生する
- 利用者はファクタリング会社に対して売掛債権を売却する
- 売掛先に対して売掛債権のファクタリング契約を行う承諾を得る
- ファクタリング会社は売掛債権の買い取りを行う
- ファクタリング会社は利用者に手数料を差し引いた分の売掛債権の額を振り込む
- ファクタリング会社は売掛先に対して通知を行う
- 売掛先は売掛債権をファクタリング会社に対して支払う
3社間ファクタリングは売掛先への同意が必要になることから、2社間ファクタリングよりも資金調達を完了するまでに時間を要するのが一般的です。
しかし2社間ファクタリングよりも割安の手数料で利用できることの他、審査の通過率が2社間ファクタリングよりも高い傾向にあります。
ファクタリング市場は今後拡大すると予想される
ファクタリングは売掛債権を短期間で現金化できる金融サービスです。ファクタリングを利用することで売掛先からの支払日の前に現金を手にできるため倒産リスクを回避しやすくなります。
ファクタリングは中小企業や個人事業主の方を中心に認知度が高まりつつあるものの、全体的に見ると認知度がそこまで高いとはみなせないでしょう。しかしファクタリングの利用者は増加傾向にあるため、将来的にはファクタリングの認知度もより高まると考えられます。
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また調達可能額は30万円から無制限となっていますので、少額の資金が必要な方もまとまった資金が必要な方も利用可能です。