更新日:2024/11/20
【初心者向け】ファクタリングの基礎知識|仕組みやメリット・デメリットを解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
「ファクタリング」という資金調達の方法をご存じでしょうか?ファクタリングとは、事業者が保有している売掛債権を売却して現金化する方法です。キャッシュフローが悪化した時や資金調達を急いでいる時に、早期に現金を手に入れることができるため、中小企業や個人事業主の方などは利用を検討したこともあるでしょう。ただ、中には注意が必要な貸付けや不当な手口も存在しますので、利用する際にはファクタリングについてよく知っておくことが必要です。
この記事では、ファクタリングの仕組みや種類などの基礎知識、メリット・デメリットなどについて解説いたします。また注意すべきケースについても触れていますので、利用を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
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えんナビ | 最短即日 | 5%〜 | 50万~5,000万円 | オンライン、郵送、対面 |
QuQuMo | 最短2時間 | 1%~ | 金額上限なし | オンライン |
ベストファクター | 即日 | 2~20% | 30万~無制限 | オンライン・郵送・出張契約・来社契約 |
ファストファクタリング | 即日 | - | - | オンライン |
ベストペイ | 最短翌日 | 5%~ | 100万~無制限 | オンライン・郵送・出張契約・来社契約 |
ビートレーディング | 最短2時間 | 2%~ | 金額上限なし | 対面、オンライン |
日本中小企業金融サポート機構 | 最短即日 | 1.5%〜 | 上限・下限なし | オンライン |
ラボル | 最短30分 | 10% | 1万円~20万(与信によって増額可) | オンライン |
PAYTODAY | 最短30分 | 1〜9.5% | 上限・下限なし | オンライン |
ペイトナーファクタリング | 最短10分 | 一律10% | 初回申請可能枠25万円、最大100万円程度まで拡大 | オンライン |
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ファクタリングとは
ファクタリングとは、事業者が保有している売掛金や受取手形などの売掛債権を、ファクタリング会社に買取りしてもらい、期日前に現金を得ることで資金調達する方法です。利用するには一定の手数料がかかります。
売掛債権とは、事業者が商品やサービスを販売した対価を受取る権利のこと。
売掛債権の種類として売掛金や受取手形があります。売掛金とは、商品やサービスを販売した後、期日に支払う約束した未回収代金のこと。受取手形とは、決められた代金を期日に支払う約束して発行され受け取った証券のことです。
ファクタリングは、売掛債権を買い取ってもらう際に、融資とは異なり保証人や担保を必要としません。売掛債権を保有していれば、一定の手数料を支払うことで利用できるため、融資よりも簡単に短期間で資金調達ができるのです。
売掛債権担保融資(ABL)との違い
売掛債権担保融資は、売掛債権を担保に融資を受ける方法です。売掛債権を利用して資金調達する点ではファクタリングと似ていますが、売上債権の使い方が異なります。
ファクタリングは売上債権の直接的な売買であるのに対して、売掛債権担保融資の場合、あくまでも売掛債権は担保です。資金を得る方法が「売買」か「融資」かの大きな違いがあります。
ファクタリングは法的にも債権の売買(債権譲渡)契約で、売掛債権を売却し支払手数料を差し引いた現金を得るだけなので負債ではありません。一方、売掛債権担保融資は融資なので、将来に渡って返済の必要があるため負債になります。
ファクタリングの仕組み
では、ファクタリングの仕組みについて見ていきましょう。ファクタリング利用者(利用者)とファクタリング会社のみで簡潔する「2者間ファクタリング」と、利用者、その取引先(売掛先)、ファクタリング会社の3者で行う「3者間ファクタリング」の2つのパターンがあります。それぞれ詳しくご説明します。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社のみで行われる取引です。そのため、売掛先にファクタリングを利用していることを知られることはありません。
流れとしては、まず利用者が保有する売掛債権をファクタリンク会社に買い取ってもらいます。そしてファクタリング会社から手数料を差し引いた金額が利用者に支払われます。利用者は後日、売掛先から売掛金の支払いを受けたら、ファクタリング会社にその全額を支払います。
2者間ファクタリングのメリットは、申込から現金化までのスピードが早いこと。ですが、手数料は次に説明する3者間ファクタリンクよりも、高めに設定されていることが多いです。
3者間ファクタリング
3者間ファクタリングとは、利用者と売掛先、ファクタリング会社の3者間で行われる取引です。利用者は売掛債権がすでに発生している状態で、売掛先にファクタリングを利用するための承諾を書面で得る必要があります。そのため、売掛先は必然的にこの事実を知ることになります。
流れとしては、利用者は売掛先にファクタリングの承諾を得た後、ファクタリング会社と契約し売掛債権の買取代金の支払いを受けます。後日、売掛金の支払い期日が到来したら、売掛先からファクタリング会社に売掛代金が支払われるしくみです。
3者間ファクタリングのメリットは、2者間ファクタリングよりも手数料が低めであるケースが多いこと。一方で、売掛先にファクタリングの利用が知られてしまうため、資金繰りを疑われてしまう場合があります。また利用する際には売掛先の承諾が必要になるため、2者間ファクタリングよりも手続きに時間がかかります。
ファクタリングの種類
ファクタリングの仕組みは2パターンありました。次はファクタリングの種類を見ていきましょう。主に以下のような種類かあります。
- 買取型ファクタリング
- 保証型ファクタリング
- 一括ファクタリング
- 診療報酬債権ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 将来債権ファクタリング
それでは、それぞれのファクタリングについて順番に説明していきます。
買取型ファクタリング
ファクタリングと言えば、一般的には買取型ファクタリングを指します。先述のように、売掛債権を売却し、ファクタリング会社から手数料を差し引いた代金を受取る形式です。2者間、3者間いずれの場合もあります。この記事で取り上げているのも主に買取型の話になります。
保証型ファクタリング
保証型ファクタリングは、買取型とよく比較されますが内容は全く違うものです。
保証型はいわば保険のようなもの。初めて取引する場合などで信用情報に不安があるような時に利用されます。利用者は売掛債権を回収できなくなるリスクに備えて、ファクタリング会社と契約をし保証手数料を支払います。そうすると売掛先が倒産などで支払いが不能になった時、ファクタリング会社から保証金を受取れるという仕組みです。
一括ファクタリング
一括ファクタリングは、買取型と似ていますが利用目的と利用者が異なります。まず目的は資金調達ではなく手形取引の代用であること。利用者はサービス提供者(債権者)ではなく、支払者(債務者)が利用者になります。一括ファクタリングを利用するメリットは、手形の発行に際してかかる印紙税や管理の手間を軽減できる点です。
流れとしては、まず支払者がファクタリング会社と一括ファクタリングの契約を結びます。サービス提供者がサービス提供を行い請求を行ったら、その債権をファクタリング会社に譲渡します。そうするとファクタリング会社からサービス提供者へ代金が支払われ、支払者は期日通りにファクタリング会社へ支払います。
診療報酬債権ファクタリング
診療報酬債権ファクタリングは医療ファクタリングのひとつです。ファクタリング会社と契約するのは医療機関。対象の債権は保険負担分の診療報酬です。医療機関、ファクタリング会社、国民健康保険団体連合会・社会保険診療基金(国保・社保)との3者間で行われます。医療機関は診療報酬を国保・社保へ請求しますが、事務手続きのリードタイムなどで通常、約2カ月間は入金されません。診療報酬ファクタリングを利用すれば、手数料はかかりますが、国保・社保からの入金を待たず早期に診療報酬が手に入ります。
国際ファクタリング
国際ファクタリングは、海外と貿易を行う際に、日本の輸出企業が海外の輸入企業からの代金回収を保証するシステムです。日本の輸出企業、日本のファクタリング会社、海外の輸入企業、海外のファクタリング会社の4者間で行われることが一般的です。輸出企業が主導で行い手数料を負担します。
将来債権ファクタリング
将来債権ファクタリングとは、まだ発生していない売掛債権を買い取ってもらい現金化する方法です。通常の買取型ファクタリングは、請求が立ってから売掛債権の買取りが行われますが、注文を受けた時点で将来見込まれる売掛債権の買取りを行うというシステムです。そのため手数料は高めに設定されていますが、最速で資金調達をしたい場合はニーズにマッチします。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは3つあります。
まず一番のメリットは、早期に資金調達ができる点です。申込みから入金まで2~3営業日であることが多く、最速で1日で可能な場合もあり、とにかく早くキャッシュが必要な時に便利です。
次に、ファクタリングは利用の際に保証人や担保が不要であり、自社の業績は考慮されない点が挙げられます。またファクタリングを利用したとしても、信用情報には影響しません。金融機関から融資を断られてしまった場合は、資金調達の手段として選択肢のひとつになるでしょう。
そして売掛先に資金繰りの不安がある時にも、ファクタリングを利用すれば未回収のリスクを回避できる点もメリットです。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは2つあります。
まず、ファクタリングは融資などと比べると手数料が割高に設定されています。2者間の場合は10~30%、3者間では1~10%となっており、2者間の方が高くなる傾向です。
もう一つは、3者間でファクタリングを行う場合、売掛先の承諾やファクタリング会社との契約など、契約関連の手間がかかる点です。売掛先にファクタリングの利用を知られることにもなるため、資金繰りや業績不振などの信用面を疑われる可能性があります。
ファクタリング利用時の注意点
デメリットはあるものの、メリットも大きいファクタリング。しかし、利用者の弱みにつけ込み、ファクタリングを装い不正に貸付けが行われるケースがあります。
これから紹介する2つのファクタリングは、金融庁が注意喚起を出しているものです。
うっかり手を出してしまわないように、内容を確認しておきましょう。
個人向け:給与ファクタリングに注意
ファクタリングは事業者が行う資金調達手段の一種ですが、この仕組みを個人に当てはめた形で「給与ファクタリング」と称し、賃金債権を買取り金銭の交付を行うケースが増えています。しかしこれは正当なファクタリングではありません。
金融庁によると、給与ファクタリングを業として行うものは貸金業に該当するとされています。貸金業登録を受けていないヤミ金融業者が行っているものに手を出してしまうと、高額な手数料の支払いや悪質な取り立てに遭ってしまい、生活破綻のリスクがあるため、十分注意する必要があると呼びかけられています。(※)
事業者向け:ファクタリングを装う貸付けに注意
法律に違反してファクタリング会社を装い、不正な手段で貸付けを行う業者が存在します。貸金業を行うには、必ず貸金業登録をしなければなりません。ところが、これらの業者は貸金業登録をしてないにも関わらず業として貸付けを行っており、高額な手数料や不当な取り立てを行うおそれがあるのです。
金融庁は、以下のようなケースはファクタリングではなく、貸付けの可能性があると注意を呼びかけています。(※)
・ファクタリングの契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められていない
・ファクタリング業者から受け取る金銭が売掛債権の額に比べて著しく低額である
ファクタリングを理解して最適な資金調達方法を選ぼう
今回はファクタリングの基本知識とメリット・デメリット、注意が必要なケースについて解説しました。ファクタリングは、売上代金の支払いサイクルが長くキャッシュフローが悪化する場合や、急いで資金調達が必要な場合、売掛金の未回収リスクがある場合には利用するメリットがあります。しかし便利な半面、融資などの資金調達の方法よりも手数料が高額になるため慎重な検討が必要です。安易に利用してかえって資金繰りが悪化することがないよう、しっかりと見極めた上で契約するようにしましょう。