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更新日:2023/06/28 

マーケティングミックスとは?事例を元に活用方法を解説

マーケティング戦略を立てるフレームワークに
マーケティングミックス」というものがあります。
4Pや4Cといえば、聞いたことがあるかもしれませんね。

マーケティングの打ち手を組み合わせて戦略を立てる手法で、
組み合わせることから「ミックス」と名前がついているようです。

今回は、マーケティングミックスでよく使われる4P・4Cについて解説します。

マーケティングミックスとは?

まず、マーケティングミックスは「マーケティング戦略立案」のフレームワークです。

冒頭で説明したとおり、「打ち手の組み合わせ」で、
組み合わせる個々の打ち手が「4P」や「4C」になります。(4P・4Cの詳細は後述します)

まずは以下「マーケティング戦略のプロセス」を参考に、
マーケティングの流れの一部であることを知っておいてください。

<マーケティング戦略のプロセス>

1.市場調査
2.STP分析
3.マーケティングミックス(4P・4C)
4.実行・分析

市場分析では「自社を取り巻く環境」を調べます。
STP分析では「誰に」「どんな立ち位置で」マーケティングを行うかを決めます
それらを踏まえて、マーケティングミックスでは「何をやるか」の具体的な戦略を決めます

施策実行前の「戦略立案フェーズ」であることを、お分かりいただけたと思います。
次のセクションでは、4Pと4Cについて解説いたします。

4Pと4Cの関係性

4Pと4Cはどちらもマーケティングの戦略立案のフレームワークです。
両者の違いは「企業視点」か「顧客視点」かになります。
一つずつ見ていきましょう。

4Pとは?

4Pは、「企業視点」の打ち手です。
製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・プロモーション(Promotion)の
頭文字をとって、4Pになります。

製品(Product):品質やブランディング、サービス等すべて
価格(Price):市場で販売する上での価格
流通(Place):製品を市場に流通させるための経路や販売場所
プロモーション(Promotion):広告やCM、メルマガなどの販売促進活動

「何を、いくらで、どこで、どのように売るか?」
と考えていただければ、分かりやすいかと思います。

「Tシャツを販売する」と仮定して、考えてみましょう。

例)20代後半~30代の男性向けのTシャツ

製品:シンプルな色・高品質な素材…相まってコストも高い
価格:10,000円~の高額…単価に伴い利益率も高い
流通:首都圏の実店舗…コストも高くなるが集客を見込める
プロモーション:CMとWeb広告…露出を増やし、高コストで広範囲にアプローチ

ちなみに「20代後半~30代」「男性」といった項目は、
マーケティングミックスより前の「STP分析」のフェーズで決めます。

詳細は後述しますが、4Pで決める項目は、
前フェーズであるSTP分析と整合性がなければいけません。

ここで埋める内容は「企業視点」であることに注意しましょう。
次に4Cの例を紹介しますので、見比べてみてください。

4Cとは?

4Cは、「顧客視点」の打ち手です。
顧客価値(Customer Value)・顧客が払う経費(Cost)・
顧客利便性(convenience)・顧客とのコミュニケーション(Communication)、
4つの要素の頭文字を取ったものです。

顧客価値(Customer Value):顧客が受ける恩恵や価値
顧客が払う経費(Cost):顧客が出す経費や時間
顧客利便性(convenience):購入までの流れや支払い方法などのスムーズさ
顧客とのコミュニケーション(Communication):メッセージが正しく伝わっているかどうか

4Pの各要素を、顧客視点に切り替えたフレームワークになります。

「良いものを作れば売れる」時代から、
「顧客ニーズを満たさないと売れない」時代に変わったことから、
4Cは誕生しました。

それでは、先ほどのTシャツの例を4Cに置き換えて考えてみましょう。

例)20代後半前半~30代の男性向けのTシャツ

顧客価値:シンプルな色・高品質な素材…着心地良くて汎用性が高い
顧客が払う経費:10,000円~の高額…質が良いし衝動買いできるレベル
顧客利便性:首都圏の実店舗…Webに比べれば面倒だが、自分の目で商品を選べる
顧客とのコミュニケーション:CMとWeb広告…スマホや動画といった日常生活で接点あり

上記は架空の設定ですが、同じターゲットへの商品販売にも関わらず、
4Pと4Cでは全く出てきた結果が違いますよね?

このように4Pで考えた打ち手を顧客視点でも検討してみます。
企業目線だけ、顧客目線だけにならず併用することが大切です。

顧客目線を優先して不可能な戦略を立てては元も子もありません。
逆もまた然りで、ビジネス観点で美味しい戦略も、
お客さんが満足しなければ成功はしません。

マーケティングにおける4P・4Cのポイント

ここからは、4P・4C(マーケティングミックス)を上手く活用するためのポイントを見ていきます。

POINT

1. 前段階のマーケティング戦略に基づくものにする
2. ビジネスモデルは簡単には変更できないことを頭に入れておく
3. 要素間の整合性、相乗効果を考える

1.前段階のマーケティング戦略に基づくものにする

冒頭で述べた通り、4P・4Cはマーケティング戦略立案のフレームワークです。
前提となる指標(市場調査やSTP分析)が明確でなければ、
現実の実態と乖離した、ちぐはぐな戦略になってしまいます。

現実のターゲット顧客に受け入れられることで、マーケティングミックスは成功します。
必ず、「環境調査・市場機会の発見」と「STP分析」で方向性を明確にしてから、
マーケティングミックスに移りましょう!

2.ビジネスモデルは簡単には変更できないことを頭に入れておく

一度、本格的に製品・サービスを製造・販売を始めてしまうと、
「製品」「価格」「流通」の3要素は簡単には変更できません
マーケティングそのものにもコストはかかりますので、当然ですよね。

リスクを減らすための対策としては、
他にもあるとは思いますが、テストマーケティングが考えられます。
「小さな規模」「短い期間」「本番と同じ(近い)環境」で実際に販売を行い、
ユーザーのフィードバックを元に実行戦略を改善する方法
です。

3.要素間の整合性・相乗効果を考える

4P・4Cは、複数の要素の整合性やバランスが取れていることで効果を発揮します。

例えば、「高額」「高品質」「富裕層向け」の製品Aが、
スーパーやコンビニで流通していたらどうでしょうか?
コンビニで買える、というイメージで高級感が消えてしまい、
ターゲットにリーチできる可能性が下がるだけではなく、
ブランドに対するイメージにも影響が出てしまう可能性があります。

逆に、製品Aを特定の店舗でしか扱わず、価格も高めに設定すれば、
プレミア感が出てターゲット層を惹きつけることができるかもしれません。

上記は「価格(Price)」「製品(Product)」は問題ないですが、
「流通(Place)」に問題があるといえるでしょう。
このように4P・4Cは各要素が密接に関わっている、ということを忘れないでください。

事例紹介-成功例

実在する企業を例に、4P・4Cの成功事例を紹介します。

世界的に成功しているAppleを例に4P・4C分析を行ってみました。
4Pを4Cに当てはめて、まとめています。

ここまで紹介したポイントを振り返りながら、ご覧下さい。

<Apple>

〇製品・顧客価値
4P
・「高品質」「ハイセンス」「革新的」な
ハードウェア製品・デジタルコンテンツサービス
・Apple careと呼ばれるサポート・修理体制も用意しており、高付加価値を提供
・近年では、プライバシーの保護にも注力

4C
・快適な使い心地と、持っているだけでモチベーションが上がるようなデザインが魅力
・サポートがわかりやすくて、壊れたときにも安心
・セキュリティ面で安心

〇価格・値段
4P
・Macの最安モデルは10万円~、iPhoneも最新モデルは7万円~と、
他社と比べて高価格
・Apple musicやTVなどのデジタルコンテンツは、
月額課金のフリーミアムモデルで提供し、手軽にお試しが可能
*フリーミアムモデル:基本サービスを無料提供、
機能拡大で課金してもらうモデル

4C
・PCやスマホは高額だが、高品質・ハイセンスという価値に見合う
・デジタルコンテンツは、無料から入れるので開始のハードルが低く、
使ってみて判断できる

〇プロモーション・コミュニケーション
4P
・「革新性」や「ハイセンス」といったブランドの価値を一貫して発信
・新製品発表のイベントは、世界中のメディアに取り上げられる

4C
・洗練されたイメージがあり、ブランドそのものに対して価値を感じる
・ファンも新規ユーザーも楽しめる大規模な発表イベントは嬉しい

〇流通・利便性
4P
・オフラインでは、自社店舗であるApple Storeや家電量販店
・オンラインでは公式サイトやAmazonで多角的に販売

4C
・店舗で買うのは少し面倒だけど、実物を見られるし、店員さんに質問もできる
・オンラインで購入できて楽

Appleは、美しいデザインや革新性といったブランディングにより、
「顧客が製品を持っている」「製品を使っている」ことそのものにまで価値を与えています。

価格に関しては多くのユーザーとの信頼関係が構築されており、高額での販売を可能にしています。
また、信頼関係に基づく価格の高さは高品質の裏付けともいえます。
スマホであれば、「とりあえずiPhoneなら安心」と思う方も多いのではないでしょうか?

プロモーションも様々なチャネルで実施し、
あらゆる層のユーザーに一貫したメッセージを伝えています。
購入方法も多角的で非常に便利です。

Appleのマーケティングミックスを紐解くと、
要素間の整合性・相乗効果がしっかりと取れていることが分かります、さすがですね。

事例紹介-失敗例

次は、ある服飾産業会社が食品業界に進出した際の失敗事例をご紹介します。

非常に良いサービスに見えますが、何が失敗の要因だったのでしょうか?

・主婦のニーズに答えられていなかった
ターゲットである主婦(主夫)には、
野菜以外の食品も1カ所で購入を終わらせたいという要望がありました。

その視点を考慮すると、野菜のみしか販売していなかった本サービスよりも、
スーパーマーケットのほうが優位性が高くなります。

・届け日を指定できなかった
服飾業界の生産工程と異なり、野菜は栽培工程を完璧にはコントロールできず、
出荷日をすべてを事前に確定させることはできませんでした。

主婦(主夫)からするといつ届くか分からないと、
献立が立てづらいことは想像に難しくありません。

一見良さそうに見えるサービスも、顧客目線でみると失敗要因が含まれていることがあります。
4Pの要素間の整合性を確認するだけではなく、
必ず4Cで顧客からの視点も把握するようにしましょう。

まとめ

マーケティングミックスは、マーケティング戦略全体の中の実行前の戦略立案にあたります。
前提となる、方向性を明確にしたうえで行うようにしましょう。

その際、要素間の整合性や相乗効果、顧客視点を意識しないと、思わぬ失敗となるかもしれません。
また、市場環境や上流の戦略の変化に合わせて、ブラッシュアップも忘れずに行ってくださいね。

げんきんぐ
げんきんぐこの記事の執筆者

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