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更新日:2022/10/18 

労働時間とは?労働基準法や36協定など複雑な関係を分かりやすく解説します

働き方改革が推進され、労働環境についての関心が高まっています。
その中でも労働時間については多くの方が気になっているのではないでしょうか。

法律で定められている労働時間は?
休憩は労働時間に入るの?
そもそも労働時間とは?
労働基準法?サブロク協定って?
などなど、今回は「労働時間」についてのさまざまな疑問を解消していきます!

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労働時間とは?

では「労働時間」とはいったい何なのでしょうか。
労働基準法での労働時間は下記のように定められています。

労働時間(第三十二条)
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

ここでの使用者とは企業や会社のことであり、労働者は従業員のことを指します。
このように、労働基準法で定められた労働時間を「法定労働時間」と呼びます。

労働時間の考え方

上記の労働時間の意味をふまえたうえで、さまざまな労働時間についてまとめてみました。

法定労働時間労働基準法で定められた労働時間
 →1日8時間 週40時間以内
所定労働時間企業が定める労働時間(法定労働時間内で設定)
 →8時間労働 1時間休憩の場合 8時間が所定労働時間
 →7時間労働 1時間休憩の場合 7時間が所定労働時間
実労働時間実際に働いた時間(休憩は含めない)
 →9時~18時の間で働いたが、その内1時間の休憩をとった場合
   8時間が実労働時間
拘束時間実労働時間と休憩時間を合わせた時間
 →9時~18時の間で働いたが、その内1時間の休憩をとった場合
   9時間が拘束時間

休憩・休日と労働基準法の関係

「仕事が始まった途端に休憩や休日が待ち遠しい!!」そんなことを思うのは私だけではないはず…!
労働時間の対となる存在、休憩や休日についてもおさえておきましょう!

休憩

労働基準法では休憩についてこのように定めています。

休憩(第三十四条)
労働時間が6時間を超える場合は、45分以上の休憩時間を与えなければならない。
労働時間が8時間を超える場合は、1時間以上の休憩時間を与えなければならない。

このように6時間を超える労働を行う場合、休憩は必須です。
しかし、労働時間が6時間ちょうど、または6時間未満の場合は休憩は必須ではありませんし、8時間ちょうどの場合は、休憩は1時間ではなく45分が必須時間ですのでしっかり理解しておきましょう。

このほかにも休憩についてはいくつか注意点があります。

休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない

「8時間を超える勤務を行った後に、1時間の休憩をとる。」という休憩の与え方は認められませんのでご注意ください。
休憩時間は、労働時間と労働時間のあいだで付与しなければなりません。

休憩は一斉に与えなくてはならない

休憩時間は社員一斉にとることが原則として決められています。(一部の業種除く)
しかし、社員全員が一緒に休憩に入ってしまうと業務がストップしてしまって難しい、、、というように一斉の休憩が難しい企業もあるでしょう。

そういった企業は、労使協定において休憩時間をずらしたり交代制にすることを取り決められれば、休憩時間を別々に付与することが可能です。

休憩時間に給与は発生しない

休憩時間は労働時間と区別されていますので、給与は発生しません。
逆に言うと、休憩時間なのに労働せざるを得ないという状況は「労働時間」になります。

当てはまる方は、企業側の休憩時間の認識に間違いがあるケースもありますが、休憩時間に関して間違った現場ルールがある可能性もありますので、業務改善や相談を行いましょう。

休日

労働基準法では休日についてこのように定めています。

休日(第三十五条)
毎週1日以上の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない。

この休日を「法定休日」と呼びます。
よく混乱するケースとしては、「7日間連続で労働させられたら違法なのではないか」という疑問です。
この場合、他の3週間で4日以上の休日があれば法定休日として認められます。

また、休日には企業が定める「所定休日」があります。
就業規則や労働契約などで定められている休日で、夏季休業や企業の創立記念日などの休日もこれにあてはまります。

残業・休日出勤と36協定(サブロク協定)の関係

労働時間というと、残業や休日出勤が気になりますよね。
働き方改革でも注目されている「長時間労働」ですが、自分の残業や休日出勤は正しく管理されているのか、、、不安なところをチェックしていきましょう。

前にも記述しましたように、労働時間には労働基準法で決められた法定労働時間があります。
「じゃあ、法定労働時間を超えた労働は違法なんじゃないか」と思われる方もいらっしゃると思いますが、36協定を締結し労働基準監査署に届け出ることで法定労働時間を超えた労働が行えます。

逆に言えば、36協定を結ばないと、法定労働時間外での労働や法定休日の出勤は認められません。

36協定

では、36協定とは何でしょうか。
36協定は「サブロク協定」と呼ばれ、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届」のことです。
労働基準法の36条(時間外及び休日の労働)に定められていることから36協定と呼ばれることになりました。

使用者(企業)が労働者に法定労働時間を超える労働時間(法定外労働)を課す場合や、法定休日での労働を課す場合に必要となる協定で、締結には労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要です。
注意する点としては、法定労働時間内の残業や法定休日を確保したうえでの休日出勤には36協定は必要ありません。

例えば、
所定労働時間が1日7時間の企業で1時間残業をしたとしても、法定労働時間(1日8時間・1週間で40時間)に収まるので届け出は不要です。

また、
完全週休2日制の企業で所定休日に1日だけ休日出勤した場合でも、法定休日(毎週1日・4週間で4日)が確保されていれば届け出は不要です。

このように、法定労働時間と企業で決められている所定労働時間、法定休日と企業で決められている所定休日の区別をしっかりとしておく必要があります。

36協定の上限

36協定には、1か月45時間・1年間360時間の延長労働時間の上限があります。
通常はこの上限を超えないように労働時間を管理するものですが、繁忙期や急な大型受注などによって1か月45時間を超える労働を労働者に課している企業が存在します。

一見違法と思われる労働時間ですが、あらかじめ特別条項付き36協定(サブロク協定)を締結しており、かつ1か月45時間を超えた労働が年間6回(6ヵ月)以内であれば限度時間を超えての時間外労働が可能です。

通常の36協定に特別条項を盛り込むことによって上記の協定の書面は作成できますが、こちらも通常の36協定と同様、労働基準監督署に届け出と認可が必要です。

あくまで臨時的な労働時間超過に対する対応なので、特別条項には限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情や限度時間を超える一定の時間などを定める必要があります。
しかし、届出後にそれを取り締まる罰則がないため、無制限の残業や休日出勤を行う企業が存在してしまい問題視されるようになってきました。

新36協定

働き方改革の影響もあり、無制限と化していた長時間労働問題の解決策として36協定は新36協定に改正されることになりました。
改正法の施行は2019年4月からですが、中小企業は1年間の猶予期間を設け2020年4月から施行されています。(一部猶予期間が異なる業種・業務あり)

大きな改正としては、時間外労働について法律による上限が設けられたことです。
これらは、特別条項付き36協定の場合でも守らなければなりません。

・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について、
 「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

引用:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

引用:厚生労働省 働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)

アルバイトやパートは?労働時間の上限や休憩のルール

雇用形態がアルバイトであろうとパートであろうと正社員であろうと、法律上では使用者(会社・企業)と労働者(従業員)の関係は同じであるため、労働関係の法令に関してはアルバイト・パートにも基本的に適用されます。
そのため、今まで記述してきた法定労働時間や法定休日もアルバイト・パートにも適用します。

また、法定労働時間や法定休日を超えた労働には36協定の締結も必要です。
それをふまえた上で、アルバイトやパートの労働時間についての注意点を解説します。

労働時間(第三十二条) 
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

休憩(第三十四条)
労働時間が6時間を超える場合は、45分以上の休憩時間を与えなければならない。
労働時間が8時間を超える場合は、1時間以上の休憩時間を与えなければならない。

休日(第三十五条)
毎週1日以上の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない。

労働基準法におけるアルバイトの労働時間

アルバイトをおこなっている18歳未満の方も多いのではないでしょうか。
18歳未満の方に22時~翌日5時までの深夜労働をさせることはできません。

他にも、何かと立場が弱いと思われがちのアルバイトですが、労働時間における法律上の立場は正社員と区別がないことを理解することが大切です。
その他、アルバイトをする上でよくある疑問や相談をまとめたサイトを厚生労働省が作っていましたので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

参考:確かめよう 労働条件

労働基準法におけるパートの労働時間

パートとは「短時間労働者」(パートタイム労働者)とも呼ばれ、通常よりも労働時間が短い労働者とされています。
アルバイトと同様で、法律上、パートも正社員も労働者という立場での区別はありません。

当然ながら、法定労働時間や法定休日もパートにも当てはまりますが、多くの方はその他にも社会保険の扶養内に入るか自ら社会保険に入るかを気にされているのではないでしょうか。

近年、社会保険の適用範囲は広がりつつあり、加入条件も変動してきています。
企業の規模や勤務年数、賃金の条件のほか、1週間あたりの決まった労働時間(所定労働時間)が20時間以上であることも社会保険加入の条件になっています。
詳しく知りたい方はこちらのリーフレット、または厚生労働省のサイトをご確認ください。

参考:リーフレット(短時間(パート等)で働く方向け)

労働時間の計算方法は?月や一日の労働時間を確認

それでは最後に、労働時間の計算方法を例をあげて紹介します。

例1 所定労働時間8時間で 9:00~20:00まで勤務した場合

所定労働時間が法定労働時間上限と同時間に設定されているため、所定労働時間を超えた労働(ここでは18時~20時の間)は法定外労働になります。
この場合、36協定の締結が必要です。

法定労働時間8時間以内
所定労働時間9:00~12:00 + 13:00~18:008時間
休憩時間12:00~13:001時間
法定内残業0時間
法定外労働18:00~20:002時間
実労働時間9:00~20:00 – 休憩時間10時間
拘束時間9:00~20:0011時間

例2 所定労働時間7時間で 9:00~20:00まで勤務した場合

所定労働時間が法定労働時間上限より1時間少なく設定されているため、所定労働時間を超えた労働(ここでは17時~18時の間)でも法定労働時間の上限までは法定内残業になるため、ここまでは36協定は不要です。

しかし、法定労働時間を超えた労働(ここでは18時~20時)は法定外労働であるため36協定の締結が必要です。

法定労働時間8時間以内
所定労働時間9:00~12:00 + 13:00~17:007時間
休憩時間12:00~13:001時間
法定内残業17:00~18:001時間
法定外労働18:00~20:002時間
実労働時間9:00~20:00 – 休憩時間10時間
拘束時間9:00~20:0011時間

まとめ

労働時間に関して様々な情報をお伝えしてきましたが、正直なところいくら調査してもし足りないといった感想です。

労働者は企業と比べ立場が弱いイメージがありますが、労働者を守るための法律や制度がいろいろ存在することを認識していただけたら嬉しいです。

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