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SFA JOURNAL by ネクストSFA

更新日:2024/11/20 

ファクタリングを利用する際の仕訳|会計処理の方法や注意点を解説

ファクタリングを利用する際の仕訳|会計処理の方法や注意点を解説

【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬

ファクタリングは売掛金の売却により、本来の支払期日よりも前に現金を得られる方法としてよく知られています。売掛金を売却し現金を得るまでに、最短1日で行えるスピードの早さも特徴の一つです。

例えば売掛先から支払いが行われる期日までに、他社に支払わなければならない請求が発生するケースはよくあるでしょう。その際に自社に支払う資金があれば問題ありませんが、支払うための資金が無かった場合は現金を用意しなければなりません。そうした際にファクタリングをうまく活用することで支払いが可能です。
ファクタリングは比較的新しい取引方法であることからも、会計処理の方法や会計処理における注意点などについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事ではファクタリングの会計処理の基本を確認した上で、仕訳の際のポイントなどについて解説していきます。

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会計処理の異なる2つのファクタリング

ファクタリングには債権自体を売却する買取型と、売掛債権の回収が不能になるリスクを回避できる保証型があります。買取型と保証型では会計処理が異なるため、ファクタリング利用の際はそれぞれの会計処理の違いについてきちんと理解しておかなければなりません。

ここでは買取型と保証型について説明します。

買取型ファクタリング

買取型ファクタリングは一般的に売掛債権の売却を行い、ファクタリング会社に買い取ってもらう方法です。利用者は売掛債権から手数料を引いた分の現金を受け取ることができます。売掛金の支払い期日よりも前に代金を回収できるため、支払いのための資金調達を行いたいときに役立ちます。契約において審査はなく、資金調達をスピーディーに行えます。

ただし買取型ファクタリングの利用には注意点もあります。ファクタリングは取引先との契約書において債権譲渡を禁止する事項が記されている場合、利用することはできません。また売掛先から支払が行われた後、ファクタリング会社へ支払いを行いますが、支払は原則として現金で一括送金のみです。分割払いはできないため注意しましょう。

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの違い

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。両者の違いを簡潔にまとめると以下のとおりです。

  • 2社間ファクタリング…取引先に知られることなく資金調達を行える
  • 3社間ファクタリング…ファクタリングを行う際に取引先から合意を得なければならない

2社間と3社間との最大の違いは取引先からファクタリングを行うことについて合意を得る必要があるかどうかという点です。2社間では売掛金の回収後、利用者がファクタリング会社にお金を振り込むため取引先からの合意は必要ありません。一方で3社間の場合は取引先がファクタリング会社へ売掛金の支払日にお金を入金します。そのためファクタリング会社と契約する時点で利用者は取引先にファクタリングを行うことに合意をもらう必要があります。

2社間と3社間では仕訳の方法も異なるため、仕訳時にも注意が必要です。本記事の後半で解説しているように売掛債権譲渡時や取引先から売掛金が入金されたときの仕訳には特に注意するようにしてください。

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングは取引先からの代金の支払いをファクタリング会社に保証してもらう方法です。売掛債権の回収不能リスクを減らすことを目的としたファクタリングです。

保証料をファクタリング会社に支払うことで、取引相手が倒産し、売掛債権の回収を行えなくなったとしても、設定しておいた保証額までの現金が受け取れます。貸倒損失を回避できるため、自社が取引先の未払いが原因となって倒産に追い込まれるといった事態を防ぐことが可能です。

ただし保証型は売掛債権の現金化に時間を要することがほとんどであるため、資金調達には向いていません。保証型は保険と同様の仕組みで、売掛先が倒産したなどの回収不可などの事態が生じた段階で現金の受け取りができるようになります。

また保証型のファクタリングを利用できるかは取引先の返済能力や信用力が深く関係します。ファクタリング会社が対象の取引先を調査し、返済能力や信用力に問題があると判断した際にはファクタリングを断られることになるでしょう。

【買取型ファクタリング】会計処理のタイミング

買取型ファクタリングは会計処理において決められたルールがあります。買取型ファクタリングの会計処理のタイミングは以下の5つです。

  • 売掛金が発生したとき
  • ファクタリング契約をしたとき
  • 売掛金の譲渡代金がファクタリング会社から入金されたとき
  • 取引先から売掛債権の入金があったとき
  • ファクタリング会社へ債権を弁済するとき

また3社間ファクタリングでは売掛先からファクタリング会社に売掛金が直接振り込まれます。そのため3社間ファクタリングは以下の工程は発生しません。

  • 売掛先から売掛債権が入金された際の仕訳
  • ファクタリング会社へ債権を弁済するとき

上記を踏まえて、買取型ファクタリングの会計処理のタイミングについて詳しく解説していきます。

売掛金が発生したとき

売上が発生したときは、取引先に対して請求書を作成した時点で売掛金と売上の仕訳を行います。これは通常の会計処理と同じです。

例えば100万円のファクタリングなら、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
売掛金 100万円売上 100万円

ファクタリング契約をしたとき

売掛債権の譲渡契約を結んだら前述の表にある売掛金を削除し、未収入金と記入します。未収入金とは資産の売却を行い、売却金額が記入後に入金されるお金のことです。契約を締結した後、ファクタリング業者から入金されるまでの期間に使用する勘定科目となります。

例えば100万円のファクタリングなら、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
未収入金 100万円売掛金 100万円

売掛金の譲渡代金がファクタリング会社から入金されたとき

ファクタリング会社から譲渡代金が入金されたことを確認したら仕訳を行ってください。

例えば100万円のファクタリング(手数料(売上債権売却損)は5万円)なら、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
普通預金 95万円未収入金 100万円
売上債権売却損  5万円 

ファクタリング業者から入金された95万円は借方欄の普通預金に仕訳します。またこの段階の手数料は売上債権売却損として計上してください。例えば以下の表に記載のように、ファクタリング会社に手数料として5万円差し引かれたら、借方欄の売上債権売却損の箇所に5万円と記載しましょう。

この仕訳を行うことで入金された未収入金のプラスマイナスはゼロになります。

ファクタリング契約と入金が同日の場合の仕訳

前述のようにファクタリングには売掛金の支払い期日よりも前に代金を現金として手にできるというメリットがあります。そのためファクタリングでは契約後すぐに入金を確認できるというケースも珍しくありません。

2社間ファクタリングでは取引先に対する債権譲渡の通知や承認の必要がなくなるため、契約と入金が同日で完了する場合もあります。
即日入金が行われた際は、会計処理において売上金発生時と、ファクタリング契約と売掛金譲渡代入金時の2つにまとめることが可能です。

取引先から売掛債権の入金があったとき

2社間ファクタリングの場合、売掛金は支払期日までに取引先から入金が行われます。売掛債権の入金が確認ができたら以下のように仕訳をします。

例えば100万円のファクタリングなら、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方摘要
普通預金 100万円預り金 100万円○社(企業名)から売掛金入金

3社間ファクタリングでは売掛金の支払いは取引先からファクタリング会社へ直接行うためこの経理処理は発生しません。

ファクタリング会社へ債権を弁済するとき

売掛先から売掛金が入金されたらファクタリング会社に債権を弁済してください。この工程も2社間ファクタリングのみが発生します。

例えば100万円の弁済を行うときの支払いは以下のように仕訳を行います。

借方貸方
預り金 100万円現金・預金 100万円

【保証型ファクタリング】会計処理のタイミング

保証型ファクタリングにおいても、会計処理のルールがあります。保証型ファクタリングの会計処理のタイミングは以下の4つです。

  • 売掛金が発生したとき
  • ファクタリング契約をしたとき
  • 売上債権が回収されなかったとき
  • ファクタリング会社から保証金を受け取ったとき

それぞれについて詳しく解説していきます。

売掛金が発生したとき

売上が発生したときは、取引先に対して請求書を作成した時点で売掛金と売上の仕訳を行います。これは通常の会計処理と同じです。

例えば100万円のファクタリングなら、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
売掛金 100万円売上 100万円

ファクタリング契約をしたとき

保証型ではファクタリング会社に支払うお金は保証料のみです。例えばファクタリング会社に対して保証料として1万円を払った場合は以下のように仕訳します。

借方貸方摘要
支払手数料1万円普通預金 1万円○社(企業名)に対してファクタリング契約に基づき保証料を支払う

ファクタリング契約を行ったときに手数料のみの支払いとなる点は、買取型との大きな違いです。

売上債権が回収されなかったとき

取引先から期日になっても支払いが行われず、売掛債権の回収ができないと判断された場合には、ファクタリング会社から支払いが行われます。

例えば100万円のファクタリングなら、以下のとおり仕訳を行ってください。

借方貸方
貸倒損失 100万円売掛債権 100万円

ファクタリング会社から保証金を受け取ったとき

続いてファクタリング会社から保証として入金された金額を雑収入で処理を行います。

例えば100万円のファクタリングなら、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
普通預金 100万円雑収入 100万円

ファクタリングの仕訳で注意する3つのポイント

ファクタリングの仕訳は、注意するポイントを把握していない状態で処理をしてしまうと、取引先との契約や、ファクタリング会社との契約内容に反してしまうこともあります。
ファクタリングの仕訳で注意するポイントは、主に以下の3つが挙げられます。

  • 契約書にファクタリングを禁止する条項がないか
  • ファクタリングに消費税はかからない
  • 契約から入金までに決算期末を挟む場合

それぞれについて詳しく解説していきます。

1.契約書にファクタリングを禁止する条項がないか

買取型ファクタリングを利用する際は、取引先と交わした契約書に債権譲渡を禁止する旨が記されていないか確認するようにしてください。契約書に債権譲渡の禁止について記載がある場合には、ファクタリングを利用することはできません。

特に、3社間でのファクタリングには注意が必要です。3社間でのファクタリングを行うためには取引先からの合意が不可欠である他、売掛金の支払日以降のファクタリング会社への返済は取引先が行うことになります。

また取引先によっては契約書にファクタリングを禁止する条項を明記していなくても、ファクタリングを行う必要のある経営状況である企業とのやりとりを懸念し、取引の中止を求めてくることもあるため気を付けてください。

2.ファクタリングに消費税はかからない

ファクタリングにおける売掛金の譲渡は金銭債権などの譲渡に該当しています。この譲渡は非課税取引となるため消費税は発生しません。

ファクタリング会社は取引金額や手数料に対して消費税を請求できないことを把握しておきましょう。ただしファクタリング会社が売掛金の債権譲渡登記を行う費用については消費税が発生します。

上記のようにファクタリングにおいて発生する費用には消費税が発生するものとしないものがあるので、取引や経理処理の際にはきちんと確認をしなければいけません。

3.契約から入金までに決算期末を挟む場合

ファクタリングの契約時から現金の入金までの期間において決算期末を挟む場合、入金されていなかったとしてもその売上には税金が課されます。

売上が現金化されるよりも先に売上を元に計算した消費税や法人税を支払わなければなりません。

仕訳に注意して上手にファクタリングを活用しましょう

ファクタリングを行うことで売掛金を最短1日で現金化できるため、すぐに資金が必要な場合に活用できます。ファクタリングは売掛債権の売却を行う取引のため、借入のように保証人や担保の必要はありません。ファクタリングを利用するには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらがよいか、買取型と保証型のどちらが自社に向いているのかなど慎重に決めることが大切です。

また、ファクタリング会社を選ぶ際も複数の会社の手数料を比べたり、見積もりを行うなどして、事前に調査をするようにしましょう。金融庁が高額な手数料のファクタリングについて注意喚起を行っているように、高額な手数料を取る業者も少なくありません。

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